あるテーマについて、どこまでも深く語り合う『JEF TALK』。
今回は特別編として、今季の命運を懸けた名古屋グランパスとの大一番について、
キャプテンとして最終ラインを統率する近藤直也が
チームの意志を代弁し、そして自身の“今”について語ります。

インタビュー・文=細江克弥

平常心。それしかない。

近藤直也選手
近藤直也選手

―― 正直なところ、V・ファーレン長崎(第34節)と京都サンガF.C.(第35節)に連敗した時は……。

近藤「終わった」と思ったでしょ(笑)。いや、たぶんみんなそう思ったと思いますよ。ただ、そこから何が劇的に良くなったとか、そういうことじゃないんです。「こうやれば勝てる」なんて方程式はサッカーじゃあり得ないし、そこから5連勝したことに対して、具体的な要因なんてない。

―― それが分かったら、5連勝どころか42連勝できるかもしれない。

近藤そう。

―― できることを、ただひたすらやり続けているだけ。

近藤うん。だから、何も変わっていない。やるべきことは同じだから。1年を通じて考えれば、緩やかに変化していることはたくさんありますよ。例えば、今年のウチのトピックの一つである「ハイライン」。細かいことはアレだけど、シーズン開幕当初と今とではだいぶ違いますよね。対応が柔軟になったというか、自然に、必然的にそうなったというか。

―― 分かります。

近藤それに、5連勝して可能性が残っていると言っても、あくまで“他力”の状態は変わってないからね。だからなおさら、5連勝したからと言って、僕らのメンタリティが変わることはない。
それは、このチームのいいところだと思うんです。勝っても負けても、どーんと上がったり、どーんと落ちたりしない。今だって、全く浮かれていない。だから、キャプテンとして、どんより沈んでいるチームを「何とかしなきゃ」と感じたこともないんですよ。

―― 近藤選手のことは柏レイソル時代から見てきたけど、なんとなく変わりましたよね。キャラクターというか、立ち居振る舞いというか、佇まいというか。

近藤そうですか? 自分を客観視したことがないから、自分では分からないけど。

近藤直也選手

―― なんかね……ひとことで言えば「冷静」。

近藤そこはやっぱり、そういうポジションに就いたからかな。キャプテン。監督は「もっと感情を出していい」と言うんだけど、あえて“普通”に務めているところはあるかもしれません。キャプテンじゃなかったら、そうはならなかったと思う。まあ、年齢もあるよね。34歳にしてワーワー言ってても、おかしいでしょ?

―― そりゃそうだ。

近藤そりゃそうだよ。

―― じゃあ、改めて質問。リーグ戦の残り2試合、もっと言えばプレーオフを含めて残り4試合、「どうしたら勝てる?」と聞いたらたぶん怒られるので、「どうしたい?」とお聞きします。

近藤どう聞かれても怒らないですけど(笑)、「どうしたい」なんて特にないですよ。本当にそのまま。変えることも何もない。やってきたこと、持っているものを出し切って、それでもし負けちゃったらそれが自分たちの実力だから。相手どうこうでもないですよね。うん。だから、その質問の答えは「何もない」かな。

近藤直也選手

―― 何も変わらないとしても、単純に勝ち続けることによる特別な充実感というプラスアルファの要素はあるのでは?

近藤うん、確かにそれはあります。だって、ジェフに来てから、去年も今年も3連勝なんてずっとなかったから(笑)。「なんで?」と思うくらいだったけど、選手としてはやっぱりつらくて、モヤモヤしたところもあって……。自分はレイソル時代に“勝ち続ける経験”をさせてもらって、今は、それに近いとまでは言わないけど、遠いなりに同じような感覚を持てている。

近藤直也選手

―― それは頼もしい。

近藤いや、でも、まだ、闘いの最中だからね。今、それを言うのは早いかもしれない。とにかく次ですよ、次。相手は名古屋だし、J1のチームと対戦するような感覚。そういうチームに対してどこまで闘えるか。名古屋が“J1仕様”と言っても、プレーしているのは同じ人間ですから。ビビることはないし、むしろ向こうのが「ここでジェフと当たるのはちょっとイヤかも」なんて思っているかもしれない。さっきも言ったけど、ウチは他力に頼らざるを得ない状況ですから。気負っても仕方ない。

―― 平常心。

近藤それしかないでしょ。

―― ですよね。

近藤ですよ。