試合後の関塚隆監督は、少し照れ笑いを浮かべながら会心の逆転劇の要因をこう話した。

「これだけ多くのサポーターが応援に駆けつけてくれたこと。それから、今日は私と阿久井（陽輔）トレーナーの誕生日でしたから、運も味方してくれたと思います」

アウェイに乗り込んで迎えたザスパクサツ群馬との第38節は、1点をリードされ迎えた終盤に2ゴールを奪って劇的な逆転勝利。今季初の4連勝を達成し、悲願のJ1昇格へ向け大きな勝点3を積み上げた。

この日のシステムは4-2-3-1。GKは高木駿。DFは右から山口慶、キム ヒョヌン、山口智、中村太亮の4人。佐藤勇人と佐藤健太郎がボランチでコンビを組み、2列目には右に幸野志有人、トップ下に町田也真人、左に谷澤達也が並んだ。1トップは3試合連続得点中のエース、森本貴幸が入った。

「選手たちの動きが少なく、難しい試合展開だった」

関塚隆監督がそう振り返ったように、前半のジェフは自陣ゴール前に組織的な守備ブロックを形成する群馬を攻めあぐねた。放ったシュート数はわずかに「1」。一方、守備面ではゴールこそ許さなかったものの、ダニエル ロビーニョと平繁龍一の2トップの得点力を活かす群馬の素早いカウンターに手を焼いた。

スコアレスで迎えた後半、ジェフは試合の均衡を破られてしまう。53分、左CKにファーサイドで合わせたのは、前回対戦でもゴールを許した青木孝太だった。ジェフは5試合ぶりに先制点を許す。

失点直後、指揮官は幸野に代えて井出遥也をピッチに送り込むと、その6分後には町田に代えてケンペスを投入した。立て続けに攻撃的な交代カードを切って2トップに変更したジェフは、前への推進力を高めて徐々に群馬を押し込む。

すると、0-1で迎えた86分、途中出場のケンペスが待望の同点ゴールを奪う。相手陣内ほぼ中央でボールをキープすると、前方の谷澤へパス。そのリターンを再びケンペスが受け、左足で強烈なシュート。ボールはGK富居大樹の手を弾き、ゴールへと吸い込まれた。

さらに試合終了間際のアディショナルタイム、逆転へ向けて勢いを増したジェフは値千金の逆転ゴールを奪う。左サイドで谷澤からパスを受けたケンペスが左足を振り抜くと、シュート性のボールはファーサイドへ。これが宮崎泰右のオウンゴールを誘い、ジェフが土壇場で試合をひっくり返した。

2得点を演出し、逆転勝利の立役者となったケンペスは、ヒーローインタビューで自身のプレーに胸を張った。

「リードを許す難しい状況の中でピッチに入ったが、短い時間の中で自分の仕事ができたと思う。今日の勝利はチーム全員でつかんだ勝利。大事な試合で貴重な勝点3を獲得できたのは大きい」

リーグ戦は残り4試合。劇的な勝利で波に乗るジェフは、次節、昇格を巡るライバルのジュビロ磐田をフクアリに迎える。