0-1とリードを許したまま突入した後半アディショナルタイム。ここからジェフの大逆転劇が始まった。

まずは90+3分。左サイドから中央に切り込んだ井出遥也が長澤和輝につなぎ、右サイドに展開。このパスを受けた山本真希がクロスを放り込むと、飛び込んだ吉田眞紀人が豪快なヘディングシュートでゴールネットを揺らす。まずは、同点。

反撃ムードがピークに達したジェフはなおも攻勢を強め、90+6分、井出との連係で左サイドをえぐった阿部翔平がクロス。吉田が競ってこぼれたボールから山本と船山が立て続けにシュートを放ち、最後はこぼれ球に反応した長澤が押し込んで逆転ゴールを奪った。その瞬間、フクアリは大歓声に包まれた。

「正直に言って、ホッとしています。非常に良い準備で開幕を迎えられたと思っていましたが、やはり本番はそう簡単に勝たせてもらえる戦いではないと。非常に拮抗した戦いになったと思います」

関塚隆監督は安堵の表情を浮かべ、こう続けた。

「前半は、徳島ヴォルティスさんのほうがスムーズな動きや形が多く出ていたのかなと思います。ホームでの開幕ということもあり、我々のほうが硬さがありました」

この日のフォーメーションは、プレシーズンと変わらず4-4-2。GKは佐藤優也。最終ラインは右から多々良敦斗、イ ジュヨン、近藤直也、阿部翔平の4人。中盤はボランチにアランダと富澤清太郎が入り、右に小池純輝、左に井出が位置。2トップにはエウトンと船山貴之が並んだ。

立ち上がりから「硬さ」が見られたジェフは、徳島に主導権を握られ後手に回った。チャンスに結びついたのは時折見せるカウンターのみで、主体的にボールを保持して相手を揺さぶるという展開に持ち込めなかった。

後半の立ち上がりこそ攻勢に出たものの、59分にはセットプレーから失点。関塚監督は小池純輝に代えて長澤、エウトンに代えて吉田、富澤に代えて山本と次々にカードを切り、状況の打開を試みた。ビハインドを負ってから相手の意識が守備に傾いたことで、次第にボールの主導権はジェフに移り、パスをつないで試合をコントロールする時間が続く。

それでも決定機を作ることができず、試合はアディショナルタイムに突入。敗色ムードが漂ったかに見えたこのタイミングから、ジェフの猛反撃が始まり、大逆転勝利を手にした。指揮官が振り返る。

「誰が出てもおかしくなく、メンバー（選考）も迷う中で、スタート（先発選手）、交代選手で結果を出してくれました。次に向けて、チーム全体としての士気もより高めていけるのではないかと思っています。この雰囲気を何とか続けていきたい」

内容を見ればポジティブな側面ばかりではないが、それでも手にした勝利が持つ意味は大きい。まずは1勝。大きな弾みとなる大逆転劇によって、新生ジェフの新たなるステージは幕を開けた。