アディショナルタイムの劇的な同点ゴールが、チームを敗戦の危機から救った。殊勲のヒーローとなったのは、最終ラインを統率する守備陣のリーダー・近藤直也。そして、阿部翔平のCKに迷わず飛び込み近藤のゴールをお膳立てしたのは、ゴールマウスを守り続けた守護神・佐藤優也だった。

この日のジェフは4-2-3-1の布陣。GKは佐藤優也。最終ラインは右から多々良敦斗、イ ジュヨン、近藤直也、阿部翔平の4人。ボランチには若狭大志と長澤和輝が並び、2列目には右に吉田眞紀人、トップ下に町田也真人、左に今シーズン初スタメンとなる北爪健吾が位置。1トップには船山貴之が入った。

試合の立ち上がりは、ジェフが攻勢に出てペースを握った。

開始直後の1分には左サイドから北爪がクロス。逆サイドに流れたボールを船山が拾ってもう一度クロスを上げると、飛び込んだ吉田がダイビングヘッドを放つ。12分には長澤の縦パスに北爪が反応し、CKを獲得。このチャンスに多々良のヘディングシュートを放つなど積極的な攻撃姿勢で相手ゴールに迫った。しかし、以降の時間帯は中盤での激しい主導権争いが続き、どちらも決定機を作れず静かな展開が続く。両チームとも、前半のシュート数は3本。試合が動いたのは後半に入ってからだった。

迎えた後半も、立ち上がりはジェフがペースを握った。48分には北爪が自陣からドリブルでボールを運び、カウンター攻撃を発動。51分には町田がミドルシュートを放ち、直後の53分にも右サイドから多々良と吉田のコンビネーションでチャンスを作った。関塚監督は65分、町田に代えて井出遥也を投入。吉田を最前線に上げた4-4-2の右サイドに入った井出は、キレのあるドリブルと抜群のキープ力でいくつかの好機を演出した。

ところが75分、先制点は京都に生まれた。京都のカウンター攻撃に対してジェフ守備陣は十分な人数を割いて対応したが、相手のFWエスクデロ競飛王の単独突破によって組織をこじ開けられ、最後はMF堀米勇輝のシュートがDF近藤に当たってゴールへ。主導権を握りながら先制点を奪われたジェフは、78分にDF多々良に代えて菅嶋弘希、81分にFW船山に代えてFWエウトンを投入。同点ゴールを狙い、分厚い攻撃で相手ゴールに迫った。

待望の同点弾が生まれたのは、試合終了直前のアディショナルタイムだった。エウトンの粘り強い守備によってCKを獲得すると、相手ゴール前まで上がっていたGK佐藤優也がニアサイドで競り合い、こぼれ球に反応した近藤がスライディングシュート。これがネットに突き刺さり、歓喜の輪の中で近藤が拳を握った。

ゴールデンウィークの3連戦は、2分1敗。勝点を「2」しか積み上げられなかったことを考えれば厳しい結果と言わざるを得ないが、戦いはこれからも続く。次節のロアッソ戦、続くFC岐阜戦はいずれもホーム開催となる。この3連戦で失った勝点を取り戻すため、なんとしても本拠地フクアリで連勝を飾りたい。