ジェフは4-2-3-1の布陣。GKは佐藤優也。DFは右から多々良敦斗、イ ジュヨン、近藤直也、阿部翔平の4人。ボランチにはケガから復帰した山本真希と長澤和輝が並び、2列目は右に船山貴之、トップ下に町田也真人、左サイドに井出遥也が位置。最前線にはエウトンが入った。

前半の立ち上がりは、前線から勢いよくプレスをかけてきた熊本の圧力に押される時間が続いた。3分にはMF清武功暉にミドルシュートを打たれ、直後の4分にもゴール前の混戦から決定的な場面を作られたが、いずれもGK佐藤優也がファインセーブで失点を回避した。ジェフは9分、左サイドから阿部、井出、長澤のパスワークで左サイドを崩し、最後は町田がシュート。12分には長澤、多々良、船山の連係で右サイドからチャンスを作るなどテンポのいいパスワークで応戦した。しかしゴールを奪うことはできず、スコアレスのまま前半を折り返す。

迎えた後半、関塚隆監督は井出と船山のポジションを入れ替えた。待望の先制点は、この采配が奏功する形で生まれた。

56分、ハーフウェーラインでパスを受けた町田がドリブルで運び、右サイドの井出にパス。井出のクロスは逆サイドに流れたが、待ち構えた船山がボレーシュートを放った。これは当たり損ねてこぼれたものの、この攻撃の起点となった町田が素早く反応し、思い切り蹴り込んでジェフに先制点をもたらした。

さらに、74分には再び町田がゴールネットを揺らす。ボールをキープしていた相手GKに素早くプレスを掛け、クリアを体に当ててマイボールに。そのまま無人のゴールに蹴り込み、リードを2点に広げた。試合後、殊勲の14番は次のように振り返った。

「（1点目の）ワンタッチゴールについては常に意識しているんですが、あの位置に入れたというのは今までなかった感覚なので、少しずつ、そういう感覚を持てるようになってきたのかなと思います。2点目については、ああいう形でしたけど、これまで2点目を取り切れないという試合が続いていたので、チームとして改善したいと考えていました」

このリードを最後まで守り切ったジェフは、第7節ツエーゲン金沢戦以来、6試合ぶりの白星を獲得した。試合後、関塚監督は次のように振り返っている。

「熊本さんはこの1カ月、コンディションの面などで難しい状況にあったと思いますが、最後まで諦めず、勝利を目指して戦う姿に私自身が心を打たれました。我々も応援してくれるサポーターやファンのために、プロとして勝利を追求する姿をお見せしたいと思っていましたし、『しっかりした戦いをしよう』と声を掛けながら試合に臨みました」

試合前には両チームのサポーターがエールを交換し、試合後には大きな拍手で健闘をたたえ合った。ジェフにとっても、計り知れないほど大きなものを得た試合だったことは間違いない。