第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会（以下、天皇杯）は2回戦を迎える。フクアリに迎える相手は、同じJ2に所属するツエーゲン金沢。メンバー選考について、長谷部茂利監督代行は“1回戦と同じ姿勢”であることを強調した。

「ベストメンバーでいきます。今できる、一番“勝てる”と思うメンバーでいきます」

1回戦で北海道教育大学岩見沢校と対戦したジェフは、エウトンの4得点を含む5得点で5-0と快勝した。プロとアマチュア、J2と大学生という格の違いがあるとはいえ、負けたら終わりのトーナメントでしっかりと差を示して勝利できたことは大きい。試合後の会見で指揮官が「もっと点を取れるチャンスはあった」と振り返ったように、課題となるのは、どんな試合でも迎えたチャンスを確実に決めて勝利という結果を手にする勝負強さだ。J2リーグ終盤においても、それがチームの命運を左右する大きなポイントとなることは間違いない。1回戦で途中出場した北爪健吾が言う。

「まず勝つことが前提です。そして、プラスアルファで何ができるか。相手どうこうよりも、まずは自分たちらしさを出すのが今は一番大事だと思っています。もちろん個人としても結果を出さなければいけないし、良い感覚でプレーできていても常に危機感はあります。良い準備をして、チーム一丸となって戦いたい」

一方の金沢は、1回戦で福井県代表のサウルコス福井（北信越リーグ1部）と対戦し、4-1で勝利。背番号10の熊谷アンドリューが2得点を奪う活躍で存在感を示し、リーグ戦で出場機会の限られたメンバー中心の構成だったとはいえ、こちらも相手との力の差をしっかりと見せつけた。自身としての対戦経験は今シーズン第7節の1度しかないが、金沢の印象について、アランダは次のように話した。

「クオリティーの高いチームだということは分かっています。チームとしてもすごくオーガナイズされていて、勝利に対する執着心という精神的なものもすごく強かった印象があります。相手のやり方に対する準備をしながら、自分たちのサッカーをしっかり見せる意思の強さが大事」

昨シーズンのJ2リーグで快進撃を見せた金沢だが、今シーズンは苦戦を強いられ、第30節終了時点で最下位に位置する。もっとも、アランダが振り返る今シーズンの対戦はもちろん、昨シーズンは2戦2分けに終わっており、決して“差”がある相手ではない。だからこそ、チャンスを確実にものにしてゴールを奪い、チーム一丸となって守り、サポーターの後押しを受けるホームのアドバンテージを利用して勝利を手に入れなければならない。町田也真人が言う。

「フクアリでできることは、すごく大きいアドバンテージです。アシストやゴール、または体を張ることなど、とにかく目の前の敵に自分が勝つことによってチームが乗れるようにしていきたいです」

キックオフから1時間半後の19時30分からは、ジェフレディースが悲願の初タイトルを懸けて日テレ・ベレーザとの「2016プレナスなでしこリーグカップ」決勝に臨む。“クラブ”として大きな一歩を踏み出すためにも、フクアリからいいニュースを届けたい。


長谷部 茂利監督代行
（リーグ戦と天皇杯は）大会が違いますし、同じレギュレーションではなく延長戦やPK戦もあります。でも金沢とはJ2のチーム同士なので、（リーグ戦と）同じ感覚でできると思います。ましてやホーム（本拠地のフクアリ開催）ですし、頑張りたいですね。（メンバー選考については）1回戦のときも話しましたが、ベストメンバーでいきます。今できる、一番“勝てる”と思うメンバーでいきます。
（金沢のイメージは）外国籍選手のダビ選手が“やりそう”な雰囲気を持っています。そして前回対戦時は加入前だった中美慶哉選手。途中加入した選手が、それまでチームに足りなかった得点の部分に色を付けてきています。パワーを発揮しているので、そこに注意したいと考えています。


大久保 裕樹
（1回戦は）大学生という相手のクオリティーもあるかとは思いますけれど、自分にとっては久々の公式戦出場でしたし、ディフェンダーとしてはしっかりと無失点に抑えることができたので良かったです。リスク管理についても特に問題はなかったと思いますが、自分としては試合勘というところもポイントだったので、そういったところを意識してプレーしていました。
金沢は同じカテゴリーですし、（リーグ戦で）順位が下のほうなので、リーグ戦に良い形でつなげたいという思いを持って試合に臨んでくるのではないでしょうか。会場がフクアリで、相手にとっては敵地での試合ということになるので、勢いを持って入ってくると思います。その相手の勢いに対して受けて立つのではなく、こっちから仕掛けていくような試合展開にしたいと思います。


若狭 大志
（1回戦で）相手にはチャンスというチャンスを与えませんでした。それは前線の選手がしっかりディフェンスしてくれたからこそ、僕らのところ（最終ライン）まで来させないようにできたのだと思います。ただ後半に1本ミドルシュートを打たせてしまったので、プロとしてそういうチャンスすら与えないようにできれば良かったですね。
（2回戦の）金沢は同じカテゴリーのチームですし、対戦したこともあるのでイメージはあります。すごく頑張りますよね。今年は失点が多いようですが、（大分でチームメイトだった）作田裕次選手はディフェンスリーダーで体が強いし、守備は堅いという印象です。東洋大の後輩・馬渡和彰選手は運動量があるし、両足で蹴ることができる選手。馬渡選手とは、もしかしたら初対戦になるかもしれません。そのあたりは楽しみにしたいと思います。


北爪 健吾
（1回戦の5点目につながったクロスについて）トレーニングゲームでも（井出遥也選手からのロングパスは）やっていました。自分のことを見てくれていて、特長を生かしてくれるような形でしたし、こういった場面でゴールやチャンスを作れるという感覚はありました。少しボールが長かったですが、自分の仕事であり見せ場だったので、（ライン際で）追い付けて良かったし、結果的にエウトンが決めてくれてアシストになったので良かったです。
（2回戦は）まず勝つことが前提です。そして、プラスαで何ができるか。相手どうこうよりも、まずは自分たちらしさを出すのが今は一番大事だと思っています。もちろん個人としても結果を出さなければいけないし、良い感覚でプレーできていても常に危機感はあります。良い準備をして、チーム一丸となって戦いたいです。


アランダ
天皇杯は、1回戦のように、一般的には格下と言われるチームとの対戦もあるので、そこで相手をなめずにいつもと同じ集中力を持ち、相手をリスペクトした上で、球際だったり手厳しさをしっかり持って試合に臨むことが大事になってきます。金沢は、一度対戦して、クォリティーの高いチームだということは分かっています。チームとしてもすごくオーガナイズされていて、勝利に対する執着心という精神的なものもすごく強かった印象があります。リーグ戦の対戦で、（勝利はしたが）1-0という数字が表しているように、非常に難しい相手だということを認識しています。相手のやり方に対する準備をしながら、自分たちのサッカーをしっかり見せる意思の強さが大事だと思います。ホームであるフクアリでプレーできるので、そのメリットを最大限に利用して我々の姿勢を見せられるようにしたいです。


町田 也真人
天皇杯1回戦の相手は大学生でしたが、勝ち癖をつけたかったので勝てたことは良かったです。一方で、もっともっと得点を決められるシーンや、詰めなければいけないシーンがありました。金沢は（リーグ最下位で）ギリギリのところで戦っているチームです。天皇杯ではありますが、金沢も勝ち癖をつけるためにとにかく勝ちにくると思います。（1回戦の相手も）けっこうラインを浅く取るチームだったのですが、そこで自分たちでディフェンスの裏に放り込んで、リズムを悪くしてしまう部分がありました。受け手と出し手の意思疎通をしっかりできれば得点につながるし、裏をかくだけにならないようにしていきたいです。（2回戦を）フクアリでできることは、すごく大きいアドバンテージです。アシストやゴール、または体を張ることなど、とにかく目の前の敵に自分が勝つことによってチームが乗れるようにしていきたいです。


エウトン
（1回戦は1試合4ゴールの活躍に）家族も喜んでくれました。ただ、もっと多くのゴールを決めてもおかしくないゲームだったと思います。フィニッシュのトレーニングは引き続きやっていくので、次はそれを結果につなげたいです。チームはいましっかりハードワークができているし、雰囲気も良いです。
2回戦はもちろん、1回戦とはまったく違う戦いになるでしょう。チームワークを守って、良い守備から良い攻撃につなげていきたいです。そして攻撃においては、精度を高めて確実に決める。そういうゲームをしないと勝ち切ることはできません。難しい戦いになるでしょうが、我々が勝つと信じています。勝利を求めて、ピッチで歯を食いしばって頑張ります。延長戦にもつれた場合の準備もしていきますが、もちろん90分で決着をつけられるように戦いたいです。


天皇杯1回戦の結果
ツエーゲン金沢 4-1 サウルコス福井


最近の戦績
08/07　金沢 1-1 北九州
08/11　東京V 4-1 金沢
08/14　長崎 0-0 金沢
08/21　金沢 1-3 C大阪
08/28　金沢 4-1 福井


最近の対戦
15/05/17　千葉 1-1 金沢
15/07/08　金沢 0-0 千葉
16/04/09　千葉 1-0 金沢