アディショナルタイムの90+4分、途中出場の指宿洋史が値千金の追加点を奪い、ジェフの勝利が決定的となった。

「（ボールを）運んでいるときは無心です。もともとドリブル得意じゃないので（笑）。前が空いたので、運よくああいうふうに抜けてよかったなと思いました。チームが勝つために、何らかの形でしっかり力になれたらと思っています」

それまでの時間帯は、1点リードしているとはいえ苦しかった。退場者を出して1人少ない相手に対してゲームの主導権を握りながら、数多くのチャンスを作っても、それをゴールに結びつけることができない。勝利したとはいえ課題も少なくない試合だったが、この勝点3で得た勢いを、何としても次につなげなければならない。

スタメンは4-3-3の布陣。GKは佐藤優也。最終ラインは北爪健吾、若狭大志、近藤直也、キム ボムヨンの4人。アンカーに熊谷アンドリューが入り、中盤に町田也真人と高橋壱晟が位置。前線の右サイドに清武功暉、左サイドに船山貴之、中央にラリベイという布陣でゲームをスタートした。

立ち上がりの時間帯は、ジェフがチャンスを作った。まずは3分、清武、町田、高橋と横パスをつないでラストパス。これを受けた船山は足を滑らせてシュートに持ち込むことはできなかったが、スペースに飛び込む動きで相手ゴールに迫った。7分には近藤がインターセプトからミドルシュート。12分には船山がシュートを放ち、ボールを支配したジェフが次々とシュートを放った。

迎えた14分、徳島ヴォルティスの馬渡和彰が退場処分となると、数的優位に立ったジェフはさらにボール支配率を高めた。17分には船山のクロスに飛び込んだ高橋がヘディングシュート。20分には清武のCKにラリベイがヘディングで合わせる。

先制点は23分。清武のスルーパスを受けた高橋が放ったシュートが、ゴール左隅に決まった。その後も攻勢を保ったまま、ジェフは前半を1-0のリードで折り返した。

しかし後半、ジェフは追加点を狙ってさらに攻勢を強めたが、チャンスメークの場面で精度を欠いた。アンカーのポジションで90分間出場した熊谷が言う。

「後半に入ると“自分たちの時間”が少なくなってしまう傾向にあるので、そこを修正しなければいけないと思います。自分たちのペースで試合を運べている時に、2点、3点と奪えるようじゃないと。パスは回せているかもしれないけど、最後の最後、フィニッシュに持ち込む段階での質が下がってしまっている」

フアン エスナイデル監督は、65分、清武に代えて羽生直剛を投入。75分にはラリベイに代えて指宿洋史を投入するが、相手にカウンター攻撃を仕掛けられる場面も少なくなかった。最終ラインを統率する近藤は、厳しい表情で試合を振り返った。

「チーム全体としてミスを減らして精度を上げること。今の精度では勝ち続けられないということをもう一度しっかりと自覚して、取り組まなければいけない」

迎えた90+4分、指宿が見事なドリブル突破から追加点を奪うまでは、終始主導権を握ったとはいえ決して楽な試合ではなかった。近藤はキャプテンとして、危機感を募らせた。

「相手が1人少なかったことを考えれば、当然、この結果には満足できません。今日は当たり前のように4-0、5-0で勝たなければいけない試合。僕たちの目標は1つ勝つことじゃない。2つ勝つことでもない。だから手応えはありません。2-0で勝ったからといって「良かった」と思える試合ではありませんでした」

次節はアウェイのカマタマーレ讃岐戦、その次にはツエーゲン金沢戦と敵地での戦いが続く。この勝利を楽観視することなく、“精度”の向上と勝利を同時に手にいれなければならない。