社長就任から2シーズンを闘い、明確な光明が見えてきた。
経営者としても、クラブ全体のトップとしても手応えは大きい。
そこに至るまでにクラブが取り組んできたプロセスについて、前田社長に話を聞いた。

インタビュー・文=細江克弥

ポジティブな変化。

前田英之 代表取締役

―― 高橋GMに続いて「JEF TALK」で前田社長にご登場いただけるということで、サポーターの皆さんはいろいろな意味で期待していると思います(笑)。

前田いやいや、緊張しますね。どうしましょう(笑)。

前田英之 代表取締役

―― まずは2017シーズンの結果について、社長という立場からどのように受け止めていますか?

前田ファン・サポーターの皆さんにとっても、スポンサーの皆さんにとっても、「J1で戦うジェフを見たい」という絶対的な希望があることは十分に理解していますから、その意味においては「あと一歩及ばず、申し訳ありませんでした」と言わざるを得ません。ただ、経年的に見てみると、クラブは一定の財政規模を保ちながらも、2012年をピークとしてチーム成績は下がっていたと思うんです。ここ2年は順位も勝点も下がっていたのが現実で、費用対効果は年々悪化していました。

そこで、2017シーズンはある仮説を立てながら、高橋GM、フアン エスナイデル監督、スタッフと一緒になっていろいろな手を打ちながら、悪化する流れには歯止めをかけられたと思っているんです。だからこそ、次の1年からは反転攻勢をかけていける。我々が「このクラブはこうありたい、このチームはこうありたい」と考えていることについては、これを続けていくことに価値があると実感できたシーズンでもありました。希望や期待、成長に対して手応えをつかめたシーズンだったと思います。

―― ただ、やっぱり結果が出なかったことについては誰もが悔しい思いをしたと思うのですが、前田社長個人として、その悔しさはいかほどのものだったのでしょう。

前田それはもう……死ぬほど悔しいっすよ! ハハハ!(笑) だって、私が知っている限り、誰もが懸命に、本当に一生懸命に努力しましたから。1年遅れの「REVOLUTION」と言うんですかね。私は2016シーズンのこのスローガンが決まった状態でクラブに来たので、内心では「どれだけレヴォリューションできるんだろう」と思っていたんです。ただ、やっぱりクラブ全体に昔からやってきたことを変えることに対する恐怖心や不安を強く感じていて、残念ながら言行が一致しないもどかしさを覚えました。

ただ、今年に関しては「Pasión」なんだと、チームだけでなく事業部門や総務部門などクラブスタッフ全員が腹をくくって、文字どおり情熱を持って仕事に当たってくれた。結果は残念です。でも、最後の最後にプレーオフに進出できたことは、みんなの頑張りが少し報われた気がして、私としてはすごく嬉しかったんです。

―― でも、やっぱり悔しいですよね(笑)。

前田そりゃあもう! 我々は「闘うクラブ」なので、勝てなかったことはめちゃくちゃ悔しいです。ただ、経営者の観点で言えば、うまくいったことの中にも課題はあるし、うまくいかなかったことの中にも財産はあると思うんです。そういう意味では、これからクラブがもっともっと強くなるために何を獲得すべきなのか、それを見つけられたという意味では、充実感を口にしても悪くない1年だったと思います。

―― なるほど。

前田レギュラーシーズンでもありましたが、自分たちが予期しない状況、つまりカオスに陥った時に平常心でいられるか。その部分に宿題を課されたのがプレーオフだったと思います。それはビジネスでも同じ。貰った宿題それ自体を財産と考えれば、これを克服すれば、僕たちは階段をもう1段上がれるんだと明確に自覚できるので、それもまた大きな成果だったと思います。

前田英之 代表取締役

―― 1年を戦った上で得られるポジティブな感情やネガティブな感情を、クラブ関係者だけでなくファン・サポーターを含めた“全体”で共有できていることが大きい気がします。

前田同感です。シーズン前半から中盤にかけての結果が出なかった時期でも、「もう少し我慢して見てみようか」というありがたい雰囲気を感じていましたし、同時に「このクラブが自分たちの姿を作ろうとしている」というプロセスを感じてもらえた気がするんです。それが最後の最後に結果につながって、7連勝で終えることができた。

もちろん、7連勝はあの時間軸だけで切り取れるものではありません。プロセスがあっての結果だと思うので、その感覚をみんなで共有できたことは本当に大きかったと思います。シーズンが終わってからスポンサー様への挨拶回りをしているんですが、「今年のチームは見ていてワクワクした」「最後に結果がついてきてくれて嬉しかった」という言葉を本当に多くいただいています。