社長就任から2シーズンを闘い、明確な光明が見えてきた。
経営者としても、クラブ全体のトップとしても手応えは大きい。
そこに至るまでにクラブが取り組んできたプロセスについて、前田社長に話を聞いた。

インタビュー・文=細江克弥

“社是”を定める。

前田英之 代表取締役

―― ヘンな質問をします。“経営者”としてのご自身をひとことで表現するなら?

前田うーん……。そうですね、私自身は“人”が持つパワーを絶対的に信頼していますし、それを活用することに重きを置くタイプの組織マネージャーであると思っています。信念として、人が持っている可能性、人が持っている潜在力というのが、企業の資産の中で最も価値のあるものだと思っていますから。ジェフに来て、改めてそう強く感じています。

―― 非常に残念なのは、ジェフの場合、親会社からやって来る社長が、ある一定のスパンで次々に入れ替わってしまうことです。それについては、どのように説明されますか?

前田私個人のことを言えば、フアン エスナイデルと同じように、私自身もこの組織のトップとして送り込まれているわけですから、「いつかどこかに帰って、どこかの会社でもっと偉くなる」や「自分の本職はあっちだから」などとは一切思っていません。そもそも、そんな指揮官には誰もついてこないですよね(笑)。

私はこれまでにも大きな組織をいくつかお預かりしてきましたが、常に自分の中では「ここが最後」という気持ちでいます。つまり、自分自身の退路を断つことで、その覚悟をきちんと示しながら結果を残したい。

もっとも、企業において経営者が替わることは、いたって普通のことであるという側面もあると思うんです。その時代の経営者が自分の持ち味を出しながら、その時代において企業を輝かせればいい。ただし、このクラブが目指す理想、このクラブが大切にする価値観に関してはちょっと違う。時代が変われども一貫すべき“社是”のようなものですよね。それは絶対に変えられないものだと思っているので、今はそれを改めて定めている途上と言えるでしょうか。正しいか間違いかではなく、必要なのは、心から信じられる、すべての人の腹に落ちる普遍的なものとしての“社是(しゃぜ)”だと思います。企業としてのジェフはその一貫性に課題を抱えていたと思っているので、私の役割としては、「このクラブは何者なのか」を今一度、ファンやスポンサーなどを含めクラブに関わる全ての人たちの共通認識にしていく作業にあると考えています。

前田英之 代表取締役

―― 前田社長……「ジェフに来て良かった」と思いますか?

前田心からそう思っていますよ。だって、ものすごくエキサイティングな日々を送っていますから(笑)。