今回の『JEF TALK』は、1年目にして抜群の存在感を誇る鳥海晃司。
アカデミーで育った彼には、ジェフに対する特別な思いが、
“ネガティブ”と“ポジティブ”の両面にある。
だからこそ、ピッチに立つことの使命感と責任感は人一倍強い。

インタビュー・文=細江克弥

やっぱりジェフでプレーしたい

鳥海晃司

―― 鳥海選手はジェフU-15、U-18から明治大学を経て、今シーズンからトップチームに加入しました。まずは、改めてその経緯から教えてください。

鳥海去年の3月の終わりくらいから、トップチームの練習に参加させてもらいました。ユースまでいたクラブだから特別な緊張感はなかったんです。ただ、その時はサイドハーフとしてプレーすることが多くて、裏に抜け出してシュートを打ったりしていたから手応えみたいなものも特になくて(笑)。具体的なオファーをいただいてからは、1週間くらい考えて決断しました。それで、自分の誕生日である5月9日にリリースしてもらったんです。

―― ジェフじゃなくても、プロになることを現実的な目標としていたんですか?

鳥海いや、まったくです。明治大学はプロになることが決まっている選手も就職活動をすることになっているので、僕もちゃんと就職活動をしました。その過程で「カッコいいな」と思える大人の方に何人も出会うことができて、素直に「サッカーの世界じゃなくてもカッコいい人はたくさんいるんだ」と気づきました。だから、プロになるべきなのかどうか、本気で悩みました。

鳥海晃司

―― どんな就職活動を?

鳥海大学3年の12月くらいから勉強を始めて、いろいろな企業の方にOB訪問したり……。それまでサッカーしかやってこなかったから、サッカー選手になることが一番だと思っていたんです。でも、少し視点を変えると、サッカー以外の世界にもカッコいい大人の人がたくさんいて。結果的には、いくつか“内々定”をもらう形で進んでいたんですが、そのタイミングでジェフの練習に参加することになりました。

―― 鳥海選手、就活に強そう。

鳥海いやいや(笑)。やっぱり、勉強しなきゃいけなかったので、そこはちょっと弱点でした。ただ、いろいろな人から「人間性を気に入ってもらえれば大丈夫」と言われていたので、そこで勝負したいなと。お会いさせていただいた先輩を一生懸命“ヨイショ”しました(笑)。

鳥海晃司

―― 素晴らしい(笑)。

鳥海ある企業の試験では、『PowerPoint』で資料を作って「なぜ大学サッカーで日本一になれたのか」をプレゼンしたこともありました。企業理念とリンクするようなものを作ったんですけど、本当に大変で……。でも、すごくいい経験になりました。

―― じゃあ、ジェフから具体的な話をもらっても、簡単に首を縦に振る感じではなかったんですね。

鳥海はい。人生で一番悩みました。そもそも僕は、プロになるための登竜門として大学選抜に入れなきゃそのレベルに達していないと考えていたんです。僕は関東選抜どまりだったので、やっぱりそのレベルにはないんだ」と思っていて。そしたら、大学3年の終わりに大学選抜の海外遠征に呼んでもらって、それが大きな転機になりました。「サッカーをやってもいいんじゃないか」と思えたし、自信になった。それまではプロになれる選手じゃないと思っていたので。

―― オファーをもらって1週間、どのように考えてプロになることを決めたんですか?

鳥海いろいろな人に話を聞きました。OB訪問させてもらった人にも意見を求めたんですが、みんなが口を揃えて「プロになったほうがいい」と言ってくれました。中には「プロになってみて、ダメだったらウチに来ればいい」とまで言ってくれた人もいて、そういう話を聞いて、僕自身、「これまで支えてくれた人のためにも、今はサッカーをやるべきじゃないか」と思えたというか。

鳥海晃司

―― そもそもユースに在籍していた頃から、トップチームに昇格したいという気持ちは強かった?

鳥海はい。正直に言うと、高校3年のクラブユース選手権が終わった時点で、クラブからは「寮に入って、1カ月間トップチームに合流して、そこで昇格できるかどうか見極める」と言われていました。その時点でいくつかの大学から話をもらっていたんですが、それをすべて断って、トップチームに合流する準備をしていたんです。

両親からは大学を経由せずにプロになることを反対されていました。だけど、僕自身はプロになりたいという気持ちが強かったから、一生懸命に説得したんです。そうしたら、トップチームに合流する直前にクラブの人から電話がかかってきて、1カ月間の合流予定が2日間に変更されたと言われて……。もちろん、寮にも入らなくていいと言われました。

鳥海晃司

―― 突然の変更だったんですね。

鳥海僕にとっては大きな人生の岐路で、強い決意を持って大学に断りを入れました。その分ショックは大きかったです。

―― それでもジェフに戻ることを決めた。

鳥海あれから数年経って、少しずつ、自分の中に「やっぱりジェフでプレーしたい」という気持ちが戻ってきていたんです。当時はジェフのフロントや選手が大きく入れ替わった時期で、明治大でお世話になった指導者の方々もそのことを知っていたので、「ジェフに対する複雑な気持ちがあるかもしれないけど、もう、お前が知っているジェフじゃないかもしれない」と言ってくれて。僕自身、練習参加をした時にそれを感じて、新鮮な気持ちでプレーすることができました。それでやっと、「ジェフに戻ってもいいんじゃないか」と思えるようになったんです。

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『責任感と使命感』

―― “プロのレベル”についてはどう感じていました?

対面した1対1には自信があるんです。でも、基本的にはもうひとりのセンターバックに競ってもらって、自分はカバーをしたいタイプ。だから、身体がデカい選手に対してのアプローチとかは、プロならではのレベルの高さと難しさがあるというか。そういう部分は、マスさん(増嶋竜也)がめちゃくちゃうまいですよね。

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