トップとしてクラブを率いて3年目のシーズンが終わった。
過去最低の順位に終わった1年をどのように位置づけ、
解釈するか。前田社長に率直な言葉を求めた。

インタビュー・文=細江克弥

「2歩下がる」ことの重要性

―― まずは改めて、結果について率直な気持ちを聞かせてください。

前田これはもう、ひとことに尽きます。期待に応えられず、申し訳ありませんでした。フアン エスナイデル監督体制になって2年目、クラブに対する期待の大きさが並々ならないものであったことは、私自身も肌で感じていました。だからこそ、心から申し訳ない。そんな気持ちしかありません。

前田英之 代表取締役

―― 結果が出なかった要因として、高橋悠太GMは「結果として“2年目のチーム”の完成が遅れた」と話しました。

前田昨シーズンのプロセスと結果を冷静に見た中で浮き彫りになった課題が、「すでに解決している課題」なのか、それともシーズン終盤の連勝によって「解決が先送りされただけの課題」なのか。それをきっちりと判断しなければならなかったと思います。その判断がうまくできなかったからこそ、高橋GMが言うところの“2年目のチーム”の完成が遅れてしまった。そう思います。

私自身の未熟さを悔やむしかないのですが、昨シーズンの課題に対して、終盤の連勝によって「解決した」「克服した」と思ったことは確かでした。だからこそ、今シーズンは“そこから先”に進めるだろうと勘違いしてしまっていた。よく「3歩進んで2歩下がる」と言いますが、重要なのは3歩進んだら必ず2歩下がって足元をしっかり見つめることなんですよね。それができずに、前に進もうとばかりして、結果的にはズルズルと順位を下げてしまったシーズンだったのではないかと思います。

―― ただ、そういう空気感は、クラブの内部だけでなくどこにでもあった気がします。長くジェフを見ている人ほど昨シーズンの7連勝は「もしかしたら積年の課題を克服できたかも!」と思える気持ちのいいものだったし、だからこそ、現実が徐々に浮き彫りになっていくことがキツかった。

前田もしかしたら、そうなのかもしれません。ただ、私たちのようにクラブの内側にいる人間の仕事は、突きつけられた現実的な課題にリアルタイムで対処することですから。そういう意味では、やはり考え方や取り組みが甘かったということなんだと思います。

結果を出せなかったことについては、プロとして申し訳ないという気持ちしかありません。ただ、私たちが目指しているものはもっと先にあって、そこに到達するための歩みは、この1年にも確かにあったと考えています。私たちが昨シーズンからやり始めたことは、大きな目標を達成するためのプロセスを愚直に進めていくこと。単に最終ラインを上げることや、前から積極的にプレスに行くことではありません。プロセスのすべてが自分たちの経験値になり、持ち味を獲得したり、あるいは、今までできなかったことができるようになったりする。私たちは、そうした過程をしっかり踏むことで本当の意味での“強いクラブ”になりたい。その志は、今シーズンの結果だけで揺らぐものではありません。