結果が続かない、苦しい日々が続いている。
シーズン前半戦を終えて、白星はわずか「5」。順位は18位にまで沈んでいる。
それでも指揮官は言う。「今は我慢しなきゃいけない」
はっきりとした理由が、江尻篤彦の頭の中にある。

インタビュー・文=細江克弥

“行ったり来たり”では勝てない

江尻篤彦

―― まずは、江尻さんから見たチームの状態と順位の妥当性というか、そのあたりについて教えてください。

江尻その質問に対して「もっと上に行けるはず」と答えてしまうのは、おそらくちょっと違いますよね。現実として勝点を積み上げられていない状況に対して責任を強く感じているし、もちろん、満足できる順位じゃありません。

あたり前のことですけれど、ここから巻き返して勝点を積み上げなければ、上のステージは遠のくばかりです。だから、“毎試合が勝負”という状況であることは間違いないと思います。

―― 個人的には、シーズン途中の監督交替の難しさを改めて感じています。

江尻難しいミッションであると思います。第4節の水戸ホーリーホック戦終了後に監督に就任してから、2年プラスアルファでエスナイデル監督が作ってきた“いい部分”を継続しつつ、課題であった守備を再構築するところから再スタートを切りました。ただ、守備の改善が見られたかと思えば、攻撃のいいところが消えてしまう。で、その状態のまま攻撃に力点を置こうとすると、また以前と同じような失点を繰り返してしまう。チームとしての攻守のバランスをどこに設定するかについては、正直なところ、それを見極めて実行するのがとても難しいと実感しているところです。

―― 難しい理由はどこにあるのでしょう? 江尻さんの就任直後、守備は明らかに改善しました。守備における1対1の局面がものすごく減ったと感じていたのですが、それがなぜ、攻撃力の半減に直結するのかがよくわかりません。

江尻僕が意識付けしたのは、簡単に言えば「守備から入るよ」ということです。それに対して選手たちがものすごく素直に反応してくれたので、ある程度の結果を残すことはできました。監督交替によるショック療法的な効果もあったかもしれません。

ただ、その後は相手も対策を講じてきますし、ウチもケガ人が出たり、またはケガ人が戻ったりしながらメンバーを変えざるを得ない状況になりました。そうした中で起こる“微妙なズレ”に対応できなかった。

ウチにとって、「守備のラインをどこに設定するか」はとても大きなテーマです。

ただ、やや年齢の高い選手が多く試合に出ている中で、「守備から入ろう」という意識付けでラインを低く設定してしまうと、どうしても前に出て行く際の距離が長くなり、パワーが半減してしまう。フィジカル的な状態がいい試合序盤にはその力があったとしても、やはりゴール前の局面では相手も必死になって守るわけで、守られてしまえば、当然、また長い距離を走って守備の定位置につかなければなりません。

そうやって長い距離の“行ったり来たり”が増えてしまうと、比較的年齢が高く、体力よりも技術的な特長を武器とする選手が多いチームはやはり厳しい。しかも、これまでのトレーニングでは選手の特徴を活かすという意味で体力的な向上を目的としてこなかったわけで、実際に、残り20分を過ぎたあたりから運動量が落ちてしまう現象が起きています。

チームの現状を考えると、“行ったり来たり”のやり合いでは勝てない。そういう展開に持ち込みたくないからこそ、ボールをしっかり握り、守備の負担を軽減するためになるべく高い位置でボールを奪い、攻撃に転じたい。それは、エスナイデルさんが残してくれた“いい部分”ですよね。その2つにフォーカスしたサッカーをやらないと、現時点のチームが持っている力を引き出せないと僕は考えている。

僕自身は、相手に走り勝つ“行ったり来たり”のサッカーも好きなんですよ。でも、今のジェフには、たとえ相手がどこでもそういうサッカーに持ち込まれたらうまく戦えない。じゃあ、そういう現状を踏まえた上で、どのように勝点を積み上げるか。そこに直面する中で試行錯誤を繰り返しているというのが、現状における正直なところです。