結果が続かない、苦しい日々が続いている。
シーズン前半戦を終えて、白星はわずか「5」。順位は18位にまで沈んでいる。
それでも指揮官は言う。「今は我慢しなきゃいけない」
はっきりとした理由が、江尻篤彦の頭の中にある。

インタビュー・文=細江克弥

今はまだ、我慢の時

―― エスナイデルさんのサッカーは“行ったり来たり”をできるだけ少なくして、1回のアタック、1回のプレスで仕留めようとするスタイルでした。ただ、その「1回で仕留める」に大きなリスクがあり、結果的にはその弱点を補う方法を見つけられなかった気がします。

江尻簡単に言えば、そういうことだと思います。高い位置でボールを奪えれば、運動量は最小限に抑えられる。でも、奪えなければ守備面での1対1の局面を多く作られてしまうし、最終ラインを高く設定しているから、逆に一発でやられてしまう。

もちろん、それもチーム戦術の1つですから、「いい悪い」の話ではありません。実際のところ、エスナイデルさんのサッカーにはハマった時の強さがありましたから。ただ、僕自身は、それを90分間持続し、やり切るだけの体力とメンタリティを持った選手がウチには多くないと考えている。しかしながら、この2年間で染み付いたものを変えるのは簡単ではありません。さっき言ったように守備を整えれば攻撃に問題が、攻撃を整えれば守備に問題がというサイクルに陥ってしまったのは、やるべきサッカーと、自分たちが持っているもののギャップを埋めきれていない結果だと思います。

―― そのギャップが露骨に出てしまったのが、第10節の横浜FC戦(4月21日)だった気がします。

江尻それまでの3試合は「守備から入ろう」という意識で勝点を獲得することができたのですが、横浜FC戦では、攻撃のレベルを上げるために最終ラインの設定位置を高くし、前からプレスをかけようとしました。セットプレー絡みでしたが、そういうスタイルが機能して先制点を奪うことができたし、後半10分までは相手の変化にもうまく対応できたと思います。けれど、バックパスのミスから失点してしまった。それだけじゃなく、その時間帯からギアがまったく上がらなかった。

監督である僕も反省しなければならないところですが、ゲーム展開としては、最も避けなければならない流れですよね。前から行って1点目を奪う。でも、2点目、3点目を奪えずに自分たちから崩れてしまい、同点、逆転を許してしまう。あの試合の最後の失点については、こちらの足がもつれてしまうような状態で、17歳の選手にぶっちぎられました。田代(真一)に叩き込まれた2失点目のヘディングシュートもそうですが、結局、あの時間帯に体力がガクンと落ちて、マークさえもままならなくなってしまう状態だったんです。そういう意味で、確かにあの試合はあの当時のウチの状況を象徴していた。

江尻篤彦

―― 抱えている問題を解決することの難しさは、その後の試合にも表れています。第13節のモンテディオ山形戦、第16節のV・ファーレン長崎戦あたりは、横浜FC戦の失敗を繰り返したようなゲームでした。

江尻勝利したとはいえ、第12節のヴァンフォーレ甲府戦も内容的には同じことが言えると思います。山形戦は相手の切り札であるジェフェルソン バイアーノが投入された時点(58分)で1-0で勝っていたわけですから、そのまま粘って、勝利を拾うのが理想的な展開でした。でも、ピッチには20代半ばの鳥海が足をつっているという状況があった。

でも、それは鳥海の個人的な問題ではなく、監督である僕の問題であり、チームとして抱えている現実的な問題だったんです。

僕が監督を引き受けている以上は、そういう状況を僕自身の力でクリアさせなければなりません。実際に、鳥海に関しては第17節の栃木SC戦でフル出場することができたので、少しずつですが、トレーニングの効果が出てきていると感じています。

―― 江尻さんがここまで力を入れてきたのは、まさにその部分ですよね。戦術をある程度はっきりさせながら、トレーニングではフィジカルのベースを高めようとする。

江尻トレーニングの量は徐々に増やしていますし、練習試合を組んで試合に出なかった選手のコンディションを上げることにも努めています。日々のトレーニングの負荷についてもスプリント量を増やすなどの工夫をしていますし、体力を上げて、試合中に足をつったり、肉離れを起こすような選手を減らしたい。

もちろん、サッカーの内容についても同じです。トレーニングでは、常に対人プレーを入れながら、攻守の切り替えが常にあり、なおかつ考えさせるようなメニューを徹底して行っている。そうやって続けていけば、今のチームに足りない力は必ずついてきます。いきなり結果に表れるような甘いものではないので、今はじっくりと、辛抱しつつ、夏から秋にかけてフィジカルとメンタルの質をぐっと高める準備をしている。正直に言えば、今は我慢しなければいけない時期だと思っています。