チームとしての結果が出ない苦しい状況の中で、
鈴木椋大は冷静に、淡々と、GKとしての仕事をこなしている。
期限付き移籍によるジェフでの1年目だが、思いは同じ。
厳しい現状を打破するために、必死にもがいている。
(取材日/2019年8月30日)

インタビュー・文=細江克弥

自分たちの力でなんとかしなければ。

鈴木椋大

―― 率直にお聞きしますけれど、現時点での成績について、椋大選手自身はどんな心境ですか?

椋大本当に正直なところを言えば、僕自身は試合に出させてもらっている立場にありながら、少し前までは試合に出ることに対して自分の気持ちを整理し切れないところもありました。失点が減らないことに対してどうしたらいいのかわからなくなっていたし、試合が近づくにつれて「自分ができることはもっとないのか」と考えずにはいられなかった。もちろん「絶対になんとかする」というポジティブな気持ちで戦おうとしているけれど、そういうネガティブな気持ちがあったことも間違いありません。

―― でも、きっとそれが普通の感覚ですよね。この状況で、怖さをきちんと感じられないほうが不健全かもしれません。

椋大確かにそうかもしれません。

―― サッカー選手なら誰でも知っていると思うんです。“やれること”をどれだけ全力でやっても、どうしても結果が出ない時がある。それが続いてしまうこともある。ただ、ジェフにはこれだけ経験豊富な選手がいてそれを知っていながら、脱出できない理由はどこにあるのか。

椋大これは僕の感覚ですけれど、やっぱり、今はうまくいっていない状況の中で、勝たなければならない、絶対に負けられないというプレッシャーを強く感じ過ぎているところがあると思います。自分たちの強みを発揮することより、相手の良さを消すことを優先しすぎてしまう。試合前に「自分たちのサッカーを」と思っていても、試合が始まるとどうしても「やられたくない」という気持ちが上回ってしまう。

そうなると、「自分たちが勝つためにはどういうサッカーをするべきなのか」が見えにくくなりますよね。でも、本当は両方やらなきゃいけない。相手の良さを潰しながら、自分たちの強みを発揮することが求められていると思うんです。

ミスが続けば守備に追われる時間が増えるし、守備の時間が増えると、今度は「どこでボールを奪うべきなのか」の意見が攻撃の選手と守備の選手の間で割れてしまう。サッカーではよく陥りがちな負のサイクルなんですけれど、今はまさに、ジェフがそういう状況になってしまっている気がします。

―― 本当は、そういう状況で立ち返る“原点”のようなものがほしい。でも、今のジェフにはそれが難しい。

椋大シーズン途中に監督が替わったのだから、仕方ない部分はあると思います。それだけ開幕前のキャンプがとても重要で、そこからしっかりと作ってきているチームとの差は出てしまう。だけど、ジェフにはこれだけ経験豊富な選手がいて、技術的にも優れた選手がいるんだから、やっぱりそれを自分たちの力でなんとかしなければならないとも思っていて。ピッチの中にいる自分たちが、なんとかしなきゃいけない。みんながそう思っていることは間違いないんですけれど、それがうまくハマらず、お互いに意見を言い合ってもなかなかうまく解決できないというのが現状だと思います。

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