ジェフの魂。ジェフの象徴。ジェフのバンディエラ。
どう表現するのが正しいのかわからないほどジェフにとって重要な選手、
佐藤勇人が今シーズン限りでピッチを去ると発表した。
ただし、まだ終わりじゃない。残る数試合にすべてを懸ける思いを、
引退会見の直後の背番号7に聞いた。

インタビュー・文=細江克弥

今の俺たちじゃ難しい。そう言い切った。

―― まず、“今”のチーム状況についてどう見ていますか?

勇人今は、少し前の最悪な時期を抜け出して、いい意味で“堅いチーム”になってきたかなと思います。選手たちも少しずつプレッシャーから解放されてきて、もちろん降格の可能性はゼロじゃないから気を抜くことはできないけれど……。やっぱり、今シーズンもそういう部分でメンタルをコントロールしきれなかったところはあると思います。

だから、悪い流れにハマってしまうと落ちていく一方だった。そういう雰囲気を自分たちの力で消せなかった。最近になって少し、ガチガチのメンタリティから解放された部分は少なからずあった。

―― なるほど。

勇人一時期は、本当にギリギリのところにいたと思います。何連敗もしてしまっていた時期。自分の中では引退することを決めていたし、試合にもなかなか出られない時期だったので、正直、自分自身の気持ちもモヤモヤしていました。

佐藤勇人

―― スタメンで出るようになったのは、ちょうどその4連敗後。第30節のFC町田ゼルビア戦からでした。

勇人それまでのチーム状況はかなり悪かったし、チーム全体が暗かったので、あの町田戦の前にみんなの前で話をさせてもらいました。「もっとサッカーをやる喜びに目を向けようよ」と。ウォーミングアップの時から必要以上に言葉を発した気がするし、笑顔を作りながらという感じで。自分はどちらかと言うとひとりで集中したいタイプなのでウォーミングアップ中に笑顔を見せるなんてないんですけど、あの時はもう、そういうことが必要かなって。

―― モンテディオ山形にはチームとしての差を見せつけられる形で完敗してしまったけれど、ここのところは、安定的に勝点を得られるようになってきた。

勇人うん。ただ、こないだのアウェイのV・ファーレン長崎戦の前に選手だけで集まる機会があって、そこで言ったんです。とにかく、まずはJ2残留を少しでも早く決めなきゃいけない。もし最終節まで降格の可能性を残したまま最終節を迎えたら、正直、このチームじゃ難しいと。

―― そこまで言い切った。

勇人言いました。今の俺たちじゃ難しいと。聞いている選手たちはイラッとしたかもしれないけれど、それくらいの覚悟が必要だと思ったから。だから、その直後だったからこそ、長崎戦で手堅いサッカーをして勝点3を取れたことは嬉しかったし、大きかった。覚悟が必要なんですよね。この段階に来たら、これが現実と受け止めるしかないから。こういう状況でどう振る舞わなきゃいけないかとか、どういう言葉を伝えなきゃいけないかとか、最近はずっと、ない頭で自分なりに考えてきたんですけれど。