昨シーズンまで在籍した川崎フロンターレでは、
日々の努力が実ってようやくスタメンを勝ち取ったばかりだった。
それでも新井は「前に進むための移籍」としてジェフを選んだ。
再び激しいポジション争いに身を投じる守護神候補が、
期待に胸を膨らませる“新たなスタート”を語る。

インタビュー・文=細江克弥

尹さんは“外”から見て感じたまま。

新井章太

―― ルヴァンカップでMVPを獲った新井章太がジェフに来るということで、“噂の段階”からかなりジェフサポーターの間では盛り上がっていた気がします。

ホントですか? 嬉しいです。

―― ご自身としては、このタイミングで移籍することについてどのように考えていたんですか?

あの大会で少しだけ目立つことができただけで、それまでは本当に、いわゆる2番手の立ち位置ばかりでしたからね。出番が回ってくるのは、チーム状況を変えたい時やレギュラーのGKがケガをしてしまった時。そういう時間が長く続いていたんですけれど、でもやっぱり、それは変えないと。

何でもそうですけれど、そんなキャラでずっといたら自分のサッカー人生がそれまでだなと思って。うん。やっぱりこう、必要としてくれるチームに行って、とにかくしっかりと結果を残したい。そういう思いが、フロンターレで過ごした最後の時間に試合に出続けられたことによって芽生えてきたんですよね。まさにそのタイミングでオファーをくれたジェフに行くことを、すぐに決めました。

―― ルヴァンカップの活躍で踏ん切りがついた、ということではなく、ずっと考えてきたことだった。

試合に出られない時期から、そういうことをずっと考えながらやってきました。ただ、出られないからと言って、そのチームでレギュラーになることをあきらめるのは俺としては好きじゃないし、だから今回もあきらめたわけじゃないですけど、新しいチャレンジがしたかった。だから、自分自身としては「ステップアップした」と言える移籍なんです。

―― でも、J1リーグを連覇した川崎フロンターレという“環境”を捨てることに対する未練はあったのでは?

いや、それは全然。実際、尹(晶煥)さんが指揮を執ることが決まった時点で、僕は「ジェフに行きたい」とむしろ強く思ったくらいで。正直なところ、自分の中ではそれが第一条件でした。

―― どうして?

尹さんが監督をしていたチーム(セレッソ大阪)とルヴァンカップの決勝を戦った時(2017年)に、「歯が立たないな」と思ったんです。しかも、チームの雰囲気がめちゃくちゃ良くて。ルヴァンカップの決勝には前夜祭があって、もちろん選手全員が参加するんですけれど。その時に、何となくこっちはナーバスになっている感覚があるのに、あっちはめちゃくちゃ楽しそうだったんですよ。ずっと。

その時に思ったんです。「ああ、こういうチームは強そうだ」「イヤだな」と。あの印象がものすごく強くて、試合の印象だけじゃなく、きっと普段からこういう雰囲気のチームを作るんだろうなと感じて、それがものすごく魅力的だった。

―― ジェフ加入の決定打は尹さんだった。

しかも完全にイメージどおりでした。本当にいい移籍、いい決断だったと思っています。

―― 尹さんと言えば、一般的には“とにかく練習が厳しい監督”として知られていますよね。選手の感覚としては、それはちょっと違う?

僕の印象は「最高の雰囲気のチームを作る監督」で、ジェフに来てみたら本当にそのとおりの人でした。“イメージどおり”って、なかなかないじゃないですか。外から見て感じたまま。実際に選手としてかかわってみて、それはやっぱりすごいなと思いました。

練習はキツいですよ。キツいけれど、キツいだけじゃない。なんかこう、選手のことをちゃんと考えて質も量もコントロールしてくれるので、キャンプを通じて「すごく選手のことを考えてくれる監督だな」と思いましたね。監督としての魅力は、僕の想像以上でした。

―― ちなみに、他の選択肢は考えなかったんですか? ジェフ以外のチームに行くという。

いや、とにかく中途半端がイヤだったので。待てばオファーがあったかもしれません。でも、一番早く「ほしい」と言ってくれたジェフに行くことしか考えてなかった。そういう感じでした。

―― 年齢的には30歳を過ぎて、自分が選手としての結果を残すための決意の移籍だった。

はい。本当にそのとおりです。

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『サッカーは名前でやるもんじゃない。』

―― 加入に際して「今日からジェフにとってのマイナスな発言は控えてください」というメッセージがありました。

どんなにいい選手がいても、それだけで勝てるわけじゃない。だからこそ、みんなで戦わなきゃいけないし、そのための環境や雰囲気を自分たちの力で作る。それが大事だと思うんですよね。

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