鳴り物入りで加入した2017年、ルーキーイヤーにして
23試合に出場した高橋壱晟は、確かな存在感と可能性を示した。
それでも、2018年と2019年は期限付き移籍を決断。
背景にあった思い、3年ぶりの復帰について語った。

インタビュー・文=細江克弥

ピンとこない時期があった1年目。

高橋壱晟

―― 壱晟選手、おかえりなさい。

こんにちは。なんか、ちょっと緊張します。

―― マジですか(笑)。あれ? 戻ってきてからまだ取材受けてないんでしたっけ?

ほとんどやってないです。

―― クラブオフィシャルのインタビューなので気楽に。

いや、ダメです。緊張します。

―― (笑)。最近はどういう気持ちでトレーニングに臨んでいますか? なかなか難しい状況ではあると思うんですけれど。

日程的に厳しくなることは仕方ないし、僕らだけでなく他のチームも同じことなので、スケジュールさえ決まればそこに向けて「リスタート」という気持ちで取り組めると思います。今はチームの完成度を上げていくことが大事だと思っています。

―― 現時点(3月末日時点)では、J2リーグは5月2日からの再開に向けて動いているという流れですね。 ※4月8日時点で再開時期は未定

2週間ずつ様子を見て判断するというより、1カ月先でも、2カ月先でも、「ここ」とはっきり決まっているほうが選手としてはわかりやすいかもしれません。ただ、こればっかりは仕方ないことのほうが多いので、僕らも柔軟に対応するしかないですよね。再開するとなれば過密日程になることは間違いないと思うので、だからこそチーム全員で戦うことが大事だし、そのための準備をチーム全員でやらなきゃいけないと思います。

―― チームの雰囲気はどうですか?

練習試合もこなしながら、だいぶ上向きな状態にあると思います。仮に現時点での“スタメン”みたいなものがあるとしても、1カ月もあればきっと入れ替わることもあるだろうなと思っていて。そういう意味では気を抜けないし、逆に、毎日がチャンスでもある。僕自身はそういう気持ちでトレーニングに臨んでいます。

―― 少し振り返って話を聞きたいんですが、壱晟選手が加入したのは2017年。1年目から開幕スタメンで23試合に出場したけれど、シーズン終盤は出場機会を失い、2018シーズン開幕直前にレノファ山口FCへの期限付き移籍を選択しました。あの頃、どんなことを考えていました?

まずは、僕自身の実力が足りなかったということです。それから、正直に言うと「今ジェフでプレーすることが成長につながるのか」とずっと考えていて、それがあまりピンとこない時期があったんです。「今はどこか違うチームでやるべきなんじゃないか」という直感もあって、代理人に相談しました。

―― 試合に出ていた時期でも、「違うかも」と思うことがあった?

最初の頃は周りの皆さんに助けられて、本当に自由に、楽しくやれていたと思います。でも少しずつ自分自身に疑問を抱くようになっていって、1年目の途中から「もしかしたら来シーズンはジェフにいられないかも」と思っていました。今だから言えますけど。

―― そう思わせる原因はどこにあったのでしょう?

どうしてももっと成長したいし、うまくなりたいし、強くなりたいし、速くなりたい。それを考えた時に、「今ジェフでプレーすること」が、あの時の僕にとっては「違う」と直感的に思ったというか。チームのことは好きだったし、チームメイトにも恵まれていたし、だからはっきりとした理由があるわけではなく、「その時にそう思ってしまった」ということなんですけれど。

―― その感覚はわかる気がします。誰にだって「はっきりとした根拠はないけれど、こうしたい」と思うことはありますから。

あの頃の僕は、まず、「どうしたらいいのかわからない」という状況になってしまったんですよね。迷ってしまって、進む道がまったく見えなくなってしまった。何もうまくいかなかった。だから「何かを変えないと」という気持ちになったんだと思います。

―― ということは、よくある「若い選手が出場機会を求めて選択した期限付き移籍」ではなかった。

はい。

―― ちなみに、そういうタイプの期限付き移籍についてはどう思いますか? 「たとえ試合に出られなくても、そこで踏ん張ってこそ得られるものもある」という考え方もありますよね。

わかります。でも僕は、すべては本人の気持ち次第だと思います。残りたいと思えば残ればいいし、移籍したいと思えば移籍すればいい。ただ、僕の場合はそういうふうに出場機会を求めた移籍ではなくて、「今の自分が何をしたいか」を考えて選んだ道でした。

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『本気で、もうダメかと思いました。』

―― 能力的に劣っていたから試合に出られなかったわけではなかった。

「俺、マジで大丈夫なのか?」って。キツかったですね。自暴自棄にはならなかったけれど、自信は失いました。「俺のほうがうまいのに」って、何回も何回も思いました。「どうして? どうして?」って。でも、そのたびに「いや違う、そうじゃない。それじゃダメだ」と自分自身を戒めるというか。

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