2017年、「育成のジェフ」の再構築を託されて来日。
U-12の創設をはじめ過去3年間でアグレッシブな改革に乗り出し、
昨年はU-15が6年ぶりの全国大会出場を成し遂げるなど結果も出始めた。
アカデミーダイレクターとして、ホセが描く理想像とは。

インタビュー・文=細江克弥

すべての年代カテゴリーがそろったことの意味

ホセ マヌエル ララ

―― ホセさんがジェフに来て丸3年が過ぎました。アカデミーダイレクターとしてさまざまなことに取り組んできたと思うのですが、今回は、現時点におけるその成果や変化、今後の展望などをお聞きしたいと思います。

これまでの3年間は、アカデミーという組織、あるいは環境を再構築することに力を注いできました。私が来た2017年に中学1年生だった子どもたちは今年高校1年生になり、U-15からU-18に昇格します。そういった意味でも、3年という時間をかけて組織としてのレベルは間違いなく上がっていると感じています。

また、この期間でジュニア(U-12)を設立できたことは大きな変化でした。2018年度の小学4年生からスタートしたU-12は、今年、彼らが小学6年生となることで、トップチームからU-12まですべての年代カテゴリーがそろいます。つまり10歳からトップチームまで上がっていける環境が整ったことになる。私にとっては、その環境があって初めて次のステップへのスタートを切れる。そう感じています。

―― そうした土台作りの過程において、少しずつ成果や結果が出てきている気がします。

私が来た2017年、今年高校1年生になる選手たちは中学1年生だったわけですが、ほとんど“勝てないチーム”でした。しかし昨年、中学3年生になった彼らはクラブとしては6年ぶりとなる出場権を獲得し、日本クラブユースサッカー選手権(U-15)に出場しました。

もちろん、ただ出場したことを“成果”と考えているわけではありません。自分たちのスタイルを守りながら、そこにたどり着くことができた。今、私たちはアカデミー全体で「プレーモデル(目指すサッカーのスタイル)」を共有し、それを実現するためのメソッドを用いてジュニアからユースまで一貫性のある育成に取り組んでいます。昨年の日本クラブユースサッカー選手権(U-15)については、そのプレーモデルを表現する形で出場権を掴んだことに大きな意味があると思っています。

―― 実際に、昨年のU-15の選手たちは“自分たちのやるべきサッカー”についてしっかりと話していました。その姿はとても印象的でした。

同感です。彼らは個人として“戦う意識”を強く持ちながら、個人の意識や能力をチームに還元するという考え方を全員が守っている。それを実現したのが、現場の指導スタッフであることは間違いありません。私が伝えたいことは指導者を通じて選手たちに伝えられているので、指導スタッフの能力の高さも同時に感じています。

―― 逆に、この3年間で最も苦労したところは?

私が子どもたちに伝えたいサッカーは、基本的にはパスをつなぎ、ピッチに立つ選手が自分たちの頭で考えるサッカーです。しかし、日本のサッカー、ひいては日本の指導者には、ロングボールを蹴って戦うというサッカーが染みついてしまっている。

いわゆる“蹴るサッカー”は、私にとっては“ミスを怖れたサッカー”と同じです。つまり、指導者自身が選手のミスを怖がってしまっている。私が考える“いい指導者”とは、“ミスを怖れない指導者”であり、“ミスをしてでもチャレンジする指導者”です。その考え方を変えることは、私にとってとても難しい仕事でした。世界のあちこちで“いいチーム”や“いい指導者”を見てきましたが、彼らは皆、「サッカーではミスが起きる」という考え方をプレーする上での大前提としています。サッカーとは不思議なもので、そういうチームほど、驚くほどミスが少ないのです。

―― そうした“スタイル”を落とし込む時間を長く確保するためにも、U-12からユースまで、すべてのカテゴリーを持つことが重要だった。

そのとおりです。何かを始めるなら年齢が低いほどいい。“ジェフのサッカー”を仮に8歳から学び始めるとしたら、ユースを卒業するまでに10年間も学び続けることができますよね。より早く、そして長く。サッカーを学ぶ上で、その意味はとても大きいと考えています。