チャレンジを諦めない
17年ぶりに戻った舞台で、ジェフはどう戦うべきなのか。
指揮官の答えは“ジェフの現在地”そのものだ。
※取材日:2026年1月23日
※『United vol.318』掲載として実施したインタビューを“ほぼノーカット版”(後編)としてお届けします。
インタビュー・文=細江克弥
―― 慶行さんが言うところの総合的な「マネジメント」って、まさに現代サッカーにおいて監督が求められる最大にして唯一と言っていいくらいの能力だと思うんです。監督と向き合う選手個々にはっきりとした納得感さえあれば、それが勝手に連結して“グループ”になり、さらに“チーム”になるという感覚なんじゃないかなと。
そうですね。ただ一方で、相手のレベルが上がることで、それまでだったらある1カ所しか破綻しなかったはずなのに、ここもここも破綻させられてしまったという状況が起こり得るということだと思うんです。その状態が“見え方”として組織そのものの仕組がまるで機能していないように見える瞬間がある。そうなった時に重要なのは、個の勝負で負けたから破綻したのか、組織の仕組がマズいから破綻したのかを正しく見極めることなんですよね。
―― 例えば1つの失点シーンを切り取って、その原因が1対1の局面で負けたことが原因なのか、そもそもチーム戦術の設定ミスが原因なのかを正しく理解しなきゃいけないと。
はい。おそらくJ1の舞台で監督である自分に求められるのは、まさにその部分だと思います。その失点シーンについての選手たちに対するフィードバックを間違えてしまったら、マネジメントによってそれまで作ってきた信頼関係が一気に崩れてしまいかねない。
―― 間違えないために必要なことは?
明確な目標設定です。自分たちはどこを目指しているのか。どうならなければその目標に到達できないのか。そこさえ絶対にブレなければ、1つひとつのシーンに対する僕自身の捉え方や選手たちへのフィードバック、その基準や伝え方がブレることはないと思っているので。
―― 目標をはっきりと共有すれば求める基準がブレることはないし、それさえブレなければ個と組織の成長を同時に促せると。
おそらくJ1の舞台で体感する差のほとんどは“わずかな差”なんです。そのわずかな差の積み重ねによって大きな差に見えてしまうこともあると思うけれど、選手ぞれぞれが局面ごとに体感する差は絶対に追いつけないものではないはずで、だからこそ正しい目標設定、正しい基準、正しいフィードバックによって個の成長とグループの成長を引き出しながら「どこまで行けるか」の可能性を示したい。
―― その話は「百年構想リーグをどう戦うか」というテーマにつながりますよね。
まさに。この半年間があって、さらにその次の1年間があると考えた時に、オフの時間が短かったことも含めて、やっぱりチームとしてこれまで積み上げてきたこととは違う、まったく新しいことをやるという選択肢はあり得ないわけです。J1での経験と実績が豊富な新戦力を獲得したわけでもなく、昨シーズンまで同じリーグを戦ってきた優秀なタレントに来てもらったからこそ、戦い方としてはこれまでの積み重ねの力がさらに問われることになる。まずは、このメンバーで「どこまで行けるか」を正確に測らなければいけないですよね。
その意味で、現時点での自分は「絶対にやれる」と思っているんですよね。ただしそのためには自分自身のネジを1本外す必要があると思っていて、この世界で戦っている以上、今の自分が「絶対にやれる」と思えなかったらこの先数年間の自分たちの立ち位置は明確に決まってしまう。
―― J1で勝てないチームであることを認めてチャレンジを諦めてしまったら、数年後もJ1にいられるチームには絶対になれない。
そうです。とにかく最初の1年、半年後の2026/27シーズンがめちゃくちゃ大事だと思うんですよ。それがこのクラブの未来を決めると思っています。百年構想リーグはそこにつながるものすごく大事な舞台で、だけどこのタイミングで大掛かりな補強はできないからこそ、今の自分たちの個のレベルを上げることにとことんこだわらなきゃいけない。今までと変わらず競争を促すことでそれを実現しようとしながら、その中で「やっぱりスペシャルな個が必要だ」と思えば同時にそれも動かなければならないですよね。
その時に直面する問題は「じゃあどのポジションでスペシャルな個が必要なの?」というところなんです。当然、今いる選手たちに対しては「俺のポジションにそんな選手はいらない」「俺がいれば大丈夫」という姿勢と結果を示し続けてほしいと思っていますし、心底期待しています。期待しているからこそ、百年構想リーグの半年間でシビアにそこを見極めなきゃいけない。

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