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#67

「あの“ひとこと”があったから。」髙橋壱晟

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#67 あの“ひとこと”があったから。

新しい背番号とともに

髙橋壱晟のプライベートにおける報告と背番号変更は、
ファン・サポーターにとってオフ期間中の嬉しいニュースとなった。
キャリア7年目。歴史を紡ぐ新たな背番号2は、
静かな覚悟を持って2023シーズンのスタートを迎えている。
インタビュー・文=細江克弥



―― キックオフミーティングのトークセッションでも少し話しましたが、まずは結婚おめでとうございます。

ありがとうございます。周りからは「びっくりした」という反応が多かったんですけど、また新しい気持ちでサッカーに取り組めるかなと思います。ただ、メンタル的に大きな違いがあるかというとそうでもなくて、今のところは「なるほど、こういう感じか」と思うくらいなんですけど(笑)。

―― 結婚したからと言って、何かが急に変わるもんじゃないですもんね。

はい。でもやっぱり、いろいろな人に「おめでとう」と言ってもらえるので嬉しいです。頑張らなきゃいけないですよね。

―― 背番号の変更からもその決意が伝わってきました。しかも、自ら志願したと聞きました。

昨シーズンの終盤、新シーズンの契約についてクラブと話した時に「好きな番号を選んでいい」と言ってもらえて、自分はジェフのことが好きだし、ジェフで活躍したいという思いがかなり強いので、いいチャンスかもしれないと思って「2番をつけたい」と伝えました。

―― 背番号にまつわる背景をよく知っているからこそ、かなり気合を入れて志願したのでは?

そうですね。僕自身のジェフ歴はだいぶ長くなってきたし、ジェフに対する気持ちは年々強くなるばかりで。これまで2番をつけてきた偉大な先輩がいて、その後を継ぐ選手として認めてもらえるのであれば、つけない理由はないと思いました。

―― そもそも背番号に対しての思い入れは強いほう?

僕自身はそれほど強くありません。ただ、これまでつけてきた32番のユニフォームを購入してくださった人がたくさんいることは知っていたし、ピッチから見て、本当にたくさんの人に応援してもらっていることを実感していました。そういう意味での申し訳なさは感じていたので、特別な番号じゃなければ32番から変更する必要はないと思っていたんですけど。

―― なるほど。

でも、やっぱり、“2番”ですから。ここはもう一度気持ちを入れて、この背番号とともに戦おうと思いました。

―― キックオフミーティングでも聞きましたが、2番をつけたレジェンドのひとりである坂本將貴ヘッドコーチにもちゃんと連絡を入れたそうですね。

もちろんです。オフ期間中だったので、まずは「LINEですみません」とお伝えして(笑)、それから「つけてもいいですか」と。サカさんからは「覚悟が必要だぞ」と言っていただきました。

―― むしろ、そう言ってくれることがありがたいですよね。「そんなこと気にするな」と言われるよりずっといい。

本当にそう思います。「(中西)永輔さんにもちゃんと話しといたから」とも伝えてくれました。

―― 大きなトピックが2つもあった上で迎える新シーズン。始動してまだ間もないけれど、ここまでどんな感触ですか?

プロとしてこれまで6年やってきたんですけれど、シーズンのスタートとしては体調もかなりいいし、準備もきちんとしてきたので。それに加えて背番号の変更と支えてくれる人の存在があるので、すごくいい状態でスタートを切れている気がします。

ただ、チームの始動直後はみんながテンション高く臨めるものなので、これをきちんと続けていくことが大事だと思います。自分にできることを淡々と。そういう雰囲気でやっている感じです。

―― そういう話を聞くと「壱晟選手もそうやってキャリアを重ねてきたんだなあ」と感慨深く思うところが(笑)。

ですよね。この時期だからと言って「張り切ってやろう」みたいな気持ちはなく、平常心で日々のトレーニングに向き合えている気がするので……少しずつ変わってきているのかもしれません。僕自身も。

―― ちなみに例年よりも長いオフでしたが、どんな過ごし方を?

できる範囲内でしっかり練習していました。だって、ワールドカップであのフランス代表のエンバペのプレーを見て、モチベーション上がらない選手なんていないですよね(笑)。ワールドカップは最高に面白かった。普段は絶対に夜更かしなんてしないのに、決勝だけはライブで観てしまいました。自分がサッカーをしない時期に、ちゃんと真剣にサッカーを観る機会ってこれまであまりなかったんですよ。普段は1試合をフルに観る時間もなかなか作れないんですけど、やっぱりワールドカップの面白さは特別でした。

で、観ながら思ったんです。「世界のハイレベルな選手たちがこんなにすごい大会を戦っていて、しかも彼らは大会が終わればまたすぐにリーグ戦が再開するっていうのに、なんで自分はこんなに長い休みをもらってるんだよ」って。

―― なるほど(笑)。

仕方ないことなんだけど、「仕方ない」では済ませられないというか。昨シーズンはほとんど休んでしまったようなものだし、稼働率が低い僕が休んでる場合じゃないじゃんと。だから、むしろほとんど動いていました。

―― どういうトレーニングを?

一人でできるトレーニングよりも“サッカー”をやることが必要だと思っていたので、知り合いの方に連絡して草サッカーチームのようなコミュニティーに参加させてもらったり。できる限り人数のいるサッカーに参加することを心がけて、それができなければユナパに来てフィジカルを鍛えたり、トレーナーと相談しながらトレーニングしていました。

#67 あの“ひとこと”があったから。

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