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#69

「セットプレーは、サッカーそのもの」大和田真史コーチ

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#69 セットプレーは、サッカーそのもの

セットプレーは“おまけ”ではない。

2022シーズンに記録した“セットプレーからの得点”は「14」。
たった1年で、セットプレーはジェフにとって大きな武器となった。
選手が立役者として名前を挙げる大和田真史コーチは、 どのようなアプローチでセットプレー改革に取り組んだのか。
本人の言葉からその方法論を紐解く。
インタビュー・文=細江克弥



―― 今日はよろしくお願いします。実は昨シーズンから選手に話を聞くたびに「(大和田)真史さんがすげえ!」という話が必ず出てくるようになって……。

いやいや、ぜんぜん、そんなことないんですよ(笑)。

―― そうはいっても、攻撃のセットプレーであれだけ結果を残した1年で、それを担当しているのが新任の大和田コーチであったことにはかなりのインパクトがありました。中には「真史さんを日本代表に取れるんじゃないか」と心配する選手までいたくらいですから。

選手たちがそう言ってくれるのは嬉しいんですけど、僕がピッチでゴール決めているわけじゃないですからね。自分が「こうやりたい」と提案したことに対して選手がいい反応を見せてくれているだけで、彼らが名前を出してくれるほどの価値は僕にはありません。だから、本当は選手たちにインタビューしてほしいところなんですよ(笑)。

―― ただ、あまりに何度も名前が挙がるもんだから、やっぱり一度くらい本人に聞いてみたくなるじゃないですか。

ありがとうございます(笑)。もちろん、自分で良ければ話せることはちゃんとお話しします。

―― モンテディオ山形からジェフに来たのが1年前。最初にチームを見てどう思いました?「これじゃあセットプレーで点は取れない」とか?

いやいや、まったくそんなことはありません。ジェフに来るにあたって2021シーズンのセットプレーをひととおりチェックはしたんですけど、「入るか入らないか」の紙一重というシーンがたくさんありました。だから、何かを劇的に変えようと思ったとか、そういう感覚は一切ないんです。

―― となると、何をどう変えた?

そうやって聞かれると難しいですね。何を変えたのか……。

―― つまり、みんなが「真史さんがすげえ!」と言う理由はどこにあるのでしょう。あるいは、セットプレーを考える上でのご自身の特徴はどこにあるのか教えてください。

それはもう、点を取ること、チームが勝利することからの逆算でしか考えていないということだと思います。もちろん相手の分析もしますし、その中で一番「得点を取る」ために確率の高いと思う方法を準備するようにしています。それと、ピッチに立っている選手がどうすれば持っている力を発揮できるか、そこを大切にしています。というより、むしろそれしか考えていません。

―― セットプレー用の複雑な“戦術”ではない?

ないですね。選手たちによく伝えていることは、試合に勝つための1つの道具として、俺たちはセットプレーを持っておくということです。厳しい試合、苦しい試合でそれを発揮できるように、いつもちゃんと磨いておこうぜと。それを使って点を取ることができれば、俺たちは絶対に勝点を拾える。絶対に勝てる。そのことを選手たちにしっかり伝えるところからスタートしています。



―― セットプレーに対する選手たちの気持ちを“本気にさせる”という感覚ですか?

そのとおりです。チームによっては“おまけ”のような感覚でセットプレーを考えているところもありますし、現役時代の自分もそういう感覚でした。でも、そうではなく、セットプレーを取ったら「絶対に点が入るんだ」というマインドセットから積み上げていくことが大事なんですよね。ジェフに来て、まずはそこからスタートしました。

―― 選手たちのリアクションはいかがでした?

良かったと思います。いや、かなり良かったかな。僕のそういう話に食いついてくれる雰囲気があったし、初めて選手たちと向き合った時に「これならいける」と感じました。

#69 セットプレーは、サッカーそのもの

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