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#74

「シーズン終盤に向けて。」鈴木健仁GM

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#74 シーズン終盤に向けて。

苦しかったシーズン序盤戦

シーズン後半戦に入ってからの戦績は4勝2分1敗。
着実に順位を上げてきたチームは今、右肩上がりの状態にある。
ここまでの“積み上げ”とチーム状況の変化、さらに編成について強化担当の責任者である鈴木健仁GMに話を聞いた。
インタビュー・文=細江克弥

―― 今日は7月28日で第27節町田戦の6日後、第28節山口戦の前日というタイミングです。現時点での戦績は9勝8分10敗、勝点35で12位。まずは、この現状についてどのように見ていますか?

J1昇格を目標としてスタートしたシーズンですから、そういうチームの成績として満足できるものではありません。現時点での結果に対するファン・サポーターの皆さんの思いも理解しているつもりですし、その思いに応えなければならないという気持ちを強く持っています。ただ、シーズン序盤から厳しい時期が続いた中で、本当に少しずつですが、チームとして構築したいスタイル、やりたいサッカーを表現できるようになってきました。そこに対しては、僕自身は確かな手応えを感じているところです。

―― GMという立場からはっきりと表現するのは難しいかもしれませんが、僕自身は、個人的には「順調」と言っていい成長曲線を描けていると思っています。正しい順序で着実に成長していても紆余曲折あるのは当たり前で、遠回りはしてないけど近道なんて存在しない。だから、成長スピードとしては「ほぼ期待どおり」なのですが、鈴木GMはそのあたりをどう感じますか?

もちろん「早い」とは言えないかもしれないけれど、「遅い」とも思っていません。もっと早いタイミングで結果が出て順位が上がってくれば良かったことは間違いありませんが、監督が替わって、サッカーそのものを180度変えてチャレンジするシーズンでしたし、しかも小林監督自身にとっては自身初の監督経験です。それでも絶対にいいチームを作ってくれる、どれだけ時間がかかっても絶対に大丈夫という確信があったからこそ僕は彼にお願いしたわけですが、実際、シーズン序盤にあれだけ勝てない時期が続いてしまったことでかなり苦しかったことは間違いありません。正直に言えば、チームが壊れてしまうかもしれないと思えるギリギリの状況も何度かありました。それを経験しての今なので、コーチングスタッフや選手に対して「よく持ちこたえてくれた」と思っています。

―― もちろん結果を無視することはできませんが、内容については、鈴木GMが以前から言っていたとおり「ゴール前の攻防で思わず腰を浮かしてしまうような試合」がかなり増えました。それでも第2節から8戦勝利なしという厳しい状況に追い込まれてしまったわけですが、GMとしてあの状況をどう見ていたのでしょう。

結果を無視することは絶対にできないので、かなり厳しい現実を突き付けられたという感覚でした。ただ、内容に目を向けると自分たちが表現したいと思っていたことが特に攻撃の部分ではっきりと見えていたし、すごくポジティブなデータが出ていたことに手応えを感じていました。守備についても相手に終始押し込まれるような展開だったり、ずっとボールを握られるような展開はほとんどありませんでした。だから、僕自身は「これを続けていれば必ず好転する」と思っていました。



―― 僕自身もまったく同じ感覚だったのですが、第9節の藤枝MYFC戦はそれまでとはちょっと違うゲームでしたよね。つまり、あの試合は内容もボロボロだった。絶対に負けられない試合を落としたというショックも大きかった。それまでは結果が出なくても自分たちがやっていることを信じるために“内容”を根拠にすることができたんですが、あの試合はそれさえできませんでした。

そうですね。9試合を戦って勝点「6」。順位を考えれば「内容」は言い訳にしかならない状況に陥ってしまいました。やはり、あのタイミングではほとんどの人が「この戦い方を続けていくべきなのか」を考えたと思うんです。それほどショックの大きい負け方でした。もちろん小林監督をはじめとする現場もそう考えていて、迎えた次節の東京ヴェルディ戦では守備のスタートポジションを下げる戦い方を選択し、それを勝利につなげることができました。あの勝利によって選手たちの顔が上がったと強く感じたので、非常に大きなターニングポイントだったと思います。

―― あの時期、小林監督とはどのような話を?

藤枝戦の前は「信じて続けよう」という話をしました。ただ、東京V戦後に話した時は、結果とその後の選手たちの表情の変化を受けて互いに「内容も大事だけど結果を出さなければ選手が自信を失ってしまう。それでは自分たちのやりたいことも表現できなくなってしまう」と確認しました。戦い方について僕が口出しするようなことはないので、改めて考え方や方向性を確認して、あとは彼の判断に任せようと考えていました。

#74 シーズン終盤に向けて。

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