正直、落ちました
勝負のプロ2年目、2024シーズンは背番号10を身にまとう。
覚悟を決めた小森飛絢は、今の素直な思いを言葉にした。
インタビュー・文=細江克弥
―― 契約更新の流れについては、新体制発表の記者会見で鈴木健仁GMから説明がありました。その詳細を知りたいわけではないんですけど、小森選手自身の素直な気持ちとして、何をどう感じていたのかなと。
そうですね……。素直な気持ち……。
―― もちろん契約優先とはいえ、気持ちとしてはJ1クラブへの移籍を希望したとしてもおかしくないと思うんです。やっぱり、特に大卒選手には“時間との勝負”みたいな感覚があると思うので。
そうですね。めちゃくちゃ正直なところで言うと、J1に行って……もちろんジェフでJ1に行ければ最高でしたけど、それが叶わなかったので……やっぱり、より高いレベルのJ1でプレーしたいという思いがかなり強くありました。だから“お願い”するような形で「自分には大きな目標があって、だから進めるならどんどん進みたい」という話をさせてもらったことは事実です。でも、契約上の問題でそれを実現することはできなくて。
J1でプレーできないことが決まった瞬間は、正直、すごく落ち込みました。ジェフを離れたいということじゃなく、やっぱりJ1でプレーしたいという気持ちがかなり強かったので。
―― そういう気持ちはジェフに対する思いとは別軸のものとしてありますよね。それはぜんぜんおかしくない。個人としての目標を現状よりはるかに大きなところに設定しているから、「どんどん前に進まなきゃいけない」と思っただろうし、実際にその意志を伝えなきゃいけないと思ったということですよね。
そうです。
―― それが叶わなかったから落ち込んだと。
僕の場合は大卒の時点で「できればJ1で」という思いがあったので、正直、かなり落ち込みました。ジェフのサポーターの皆さんには「は?」と思われてしまうかもしれないけど、“J2でもう1年”という現実に対してショックを受けてしまったんです。それが正直な気持ちでした。
―― わかります。
自分でも“行けるもの”だと思い込んでいたので、改めてプロの世界の厳しさを思い知ったところもありました。当たり前のことですけど、選手の希望がすべてそのとおりに実現するわけじゃないというか。
―― そうですね。
でも、親にも、それから代理人を務めてくれているエージェントさんにも「落ち込んでいる場合じゃない。自分でやらなきゃ何も変わらない」と言われて、確かにそうだなと思いました。上を目指しているからこそ「ここでちゃんと切り替えられる選手じゃなきゃダメだ」と強く思ったので、しばらくは落ち込みましたが、それからちゃんと切り替えました。
そういう意味も含めて、今シーズンは昨シーズン以上の結果、ゴールなら倍以上の結果を残さなきゃいけないし、内容面でももっともっとレベルアップして、もっと注目してもらって、自分で自分の道を切り開くしかないと思っています。今は完全に、ちゃんと前を向いてそう考えています。
―― そこまでの強い気持ちがあっての“自ら希望した元日発表”だったなら、ちょっと印象が変わるかもしれない。自分の中で相当の決意と覚悟を持って迎える2年目だからこそ、サポーターの皆さんにもその気持ちを示したかったというか。
そうです。どうせなら「一番目立つ形で」と思ったので、クリスマスの発表も考えました。でも、やっぱり2024年一発目のほうがいいかなって。自分の中にはそれを自分でお願いするくらいの覚悟があるので、サポーターの皆さんにもそれを知ってもらって、少しでも盛り上がってくれたらいいなと。
―― 新シーズンの始動から数日が経過しました。ここまでどうですか?
チームとしてやるべきことは昨シーズンから変わらないです。とにかく練習から100%。そこはぜんぜん変わらないと思います。
―― 新チームに対する現時点での印象は?
かなり楽しみです。前線の選手で言えばミチくん(林誠道)やヨコくん(横山暁之)が入ってきて、特にヨコくんは昨シーズンの対戦で“かなりイヤな相手”でしたから。いいパスが出てくるんじゃないかというワクワク感がありますし、ここまでの練習でも自分の動きを常に見てくれていると感じています。「こうしたほうがいい?」と聞いてくれるので、自分のことを少しは認めてくれているのかなと思っています。
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