JEF TALK!ジェフトーク!

#58

「サイドからゲームを作る。」福満隆貴

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#58 サイドからゲームを作る。

「これだ!」という感覚

東京五輪による中断期間を目前にして、
福満隆貴は右サイドのウイングバックにポジションを変えた。
以降、その存在感はチームにとって不可欠だ。
今シーズンの葛藤と変化、現状の手応えについて聞いた。
インタビュー・文=細江克弥



―― これまでなかなかゆっくり話す機会がなかったので、今さらながらではありますけれどジェフに来ることになった経緯から教えてください。

オファーをもらったのは昨年の終わりくらいです。もともと対戦相手として感じていたフクアリの雰囲気が好きで、勝手に「魅力あるクラブだな」とは思っていました。だから、話をもらった瞬間から前向きに考えて、かなり早めに決断しました。

―― 昨シーズンはアビスパ福岡でプレーしたけど、所属はセレッソ大阪でした。“次の1年”についてはどう考えていたんですか?

セレッソに戻る選択肢もあったけれど「別のクラブで挑戦したい」という気持ちもあって。

―― ついつい刺激を求めてしまうタイプ?

どちらかと言うと、挑戦したくなるタイプかもしれません。

―― 過去のキャリアを見ると「残ろうと思えば残れた」のに移籍を決断したというケースが多い気がして、だからかなり冒険心が強くて、どんどん新天地を求めるタイプなのかなと。

何を優先するかというと、選手としての自分を必要としてくれるクラブでプレーしたいという気持ちなんですよね。だから自分に対する熱意は決断する上ですごく大事にしているし、そういう意味では、今回はジェフに対して自分の中でピンとくるものがありました。もちろん行ってみなければわからないこともたくさんあるけれど、自分はプロになるまでのキャリアも挑戦を積み重ねてきているので、そこは継続したいと思っています。

―― ジェフへの移籍にあたっては、セレッソ時代の監督でもあった尹(晶煥)さんとの関係性もフィーチャーされました。

移籍に際して尹さんから直接的に言葉をもらったわけではなく、以前、対戦した時に「またどこかで一緒に」という話をしたことがある程度でした。ただ、尹さんのサッカーについてはある程度理解しているつもりだったので、それもジェフを選んだ理由の1つではあります。

―― セレッソ時代からの尹さんの変化はありました?

いやあ……そこまで大きく変わったという印象はないですけど、うーん……まあ、ちょっとお腹が出てきましたよね(笑)。もちろん本人には言えないんですけれど。

―― それは僕も感じていました(笑)。

あれって、もしかしたらジェフに来てからですかね? “変化”という意味で気づいたのはそれくらいです(笑)。え?いやいやいや、本人には言えませんよ。

―― でも、尹さんってそういうことを伝えても笑って許してくれるタイプですよね?

そういう意味では、かなりギャップがありますよね。僕も最初はめちゃくちゃビビってましたから。ただただ怖い、めっちゃ練習するという情報しか持っていなかったので、ちょっと怯えながら接していた記憶があります。でも、実際に話してみると優しいですよね。まあ、そうは言っても監督なので、尹さん自身も選手との距離感を大事にしていると思います。選手たちもみんなそれをちゃんと理解した上で接していますよね。それはどのチームでも同じだと思いますけれど。

―― 「意外」という意味では、ジェフに来てからの尹さんのサッカーはかなり大きく変化してきました。

そうですね。僕が見ていた昨シーズンのジェフのサッカーとはぜんぜん違うし、それは今シーズン、システム変更をしたあたりから一気に変わっていった気がします。守備のことを強く意識しながら、なるべくボールを保持しつつ縦の速さも持つ。現時点の状態には選手たちも手応えを感じているし、大量失点することもなく“やりたいサッカー”ができ始めていると感じています。

―― 選手としては「これだ!」という感覚になっている?

その感覚はあると思います。今やっていることの質を上げることで「これだ!」と思えるものに近づけることは、選手もスタッフも同じように感じている。あとは結果だけ。昨シーズンから知っている人にとっては「やっと」と思われるかもしれませんが、現状をベースとして積み上げていこうという思いは強いし、実際にそういう方向に向かっていると思います。

#58 サイドからゲームを作る。

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