悩んだところで何も始まらない
出場時間が限られる苦しいシーズンを送っているが、松田はひたむきに万全の準備を整える。いつか必ず、チャンスは来る。
インタビュー・文=細江克弥
―― 6月12日の天皇杯2回戦、中京大戦で公式戦では久しぶりにピッチに立ちました。
やっぱり、久しぶりの公式戦だったのは、試合勘という意味ではなかなか難しくて。試合の入り方のところで苦戦したところはあったんですけど、やっているうちに少しずつ慣れてきたというか、そういう感覚を自分で感じられたことは良かったと思います。
―― やっぱり、相手が大学生という難しさもありましたよね。
特に立ち上がりですね。大学生といっても、実際に同じピッチに立つと一人ひとりは普通にうまくてびっくりしましたし、普段の練習試合とは違って、公式戦となるとチームとしての勢いがぜんぜん違うので改めて難しいなと。後ろからボールをつなぐのもうまくて、守備の人間としてはかなりやりにくかったです。
―― 見ていても驚きました。かなりいいチームでした。
いい時間帯に点を取ることができたから良かったですよね。ただ、もちろんコンディション的にも試合勘的にも難しかったんですけど、ピッチに立ってプレーしていることに対する充実感みたいなものを感じられたことが良かったです。試合は楽しいです。やっぱ、フクアリってめっちゃいいんですよ(笑)。
―― そっか(笑)。今シーズンはルヴァンカップの鹿児島戦以来の出場だったわけですけど、チーム内における自分自身の現状については、どう受け止めていますか?
そうですね……昨シーズンの序盤は試合に出させてもらっていて、でも、チームは勝てない状況が長く続いて。メンバーが入れ替わる中で自分が試合に出られなくなっていった感じでしたけど、でも、そういう状況で同じようになかなかピッチに立てない先輩たちもいて、そういう人たちの振る舞いを自分なりにちゃんと見てきました。だから、自分もそうでなきゃいけないという気持ちを強く持っていたし、練習に集中しようと思っていました。
―― 苦しいチーム状況もあって、自分自身のコンディションを上げるのも大変だったと思う。
そうですね。確かに自分自身のコンディションがなかなか上がっていかない感覚がありましたし、その中でメンバーから外れるようになって。でも、「それでもやるしかない」と思っていました。常に準備して、チャンスが来るのを待つしかないという感じで。
―― 悩む時期もありました?
いや、最初の頃にちょっとそういう時期もありましたけど、結局のところ、悩んだところで何も始まらないので。毎日の練習に淡々と向き合っていくというか、そういう感じで取り組んでいました。
―― 気持ちが途切れることはなかった。
なかったです。昨シーズンは後半戦に入ってからチームの調子がどんどん良くなって、順位が上がるほど状態はさらに良くなっていったので。チーム全体で喜び合える雰囲気があったので、もちろん悔しい気持ちもありましたけど、順位が上がって、自分が試合に出るチャンスがあれば見てもらえるチャンスも増えると思っていて。
―― 一人ひとりのそういうメンタリティーが、シーズン終盤戦のチーム力につながったんでしょうね。
うん、そう思いますね。練習からずっといい雰囲気でやれていたし、「チーム全体で」という意識はかなり強かったと思います。
MEMBER ONLY
このコラムの続きは会員限定です。
下記ボタンよりログイン・会員登録をお願いします。