とにかく自信があった。
感情を大きく揺さぶられ、自分自身と戦い続けたシーズン。
最優秀選手賞(J2)の受賞に際して、改めて今の気持ちを聞いた。
インタビュー・文=細江克弥
―― おつかれさまです。ちょっとだけ久しぶりですね。
そうですね(笑)。いつもすみません。よろしくお願いします。
―― こちらこそ。まずは2024シーズンの最優秀選手賞受賞おめでとうございます。
ありがとうございます。
―― これで個人賞総ナメです。得点王に輝いただけでなく、2024シーズンから新設されたJ2リーグの年間優秀選手賞に選出され、2年連続でJ2ベストイレブン。先日は選手会主催の「JPFA J2アワード2024」で最優秀選手賞を受賞し、さらにJリーグが選出する最優秀選手賞も受賞しました。これは本当にすごいことだと思うんですけど、受賞を聞いてどんなことを思いました?
うーん、そうですね……。開幕前に、個人としては何としても得点王になることを目標として掲げたシーズンだったので、それを達成できたことについてはすごく嬉しいです。ただ、やっぱり得点王というタイトルは監督やスタッフ、チームメートはもちろんですけど、ジェフにかかわるすべての人のサポートがなきゃ取れない賞だと思うので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
―― 最優秀選手賞については驚きもあったのでは?
いやいや、驚きしかなかったです。やっぱり、最優秀選手賞は優勝チームから選ばれるのが普通だと思うし、7位のチームから選出されるなんて思ってなかったので、めちゃくちゃびっくりしました。
―― でも、個人として残した結果を見れば、それほどの違和感はないかもしれません。
自分のプレーを見た人がそう評価してくれたということならもちろん嬉しいです。それって、得点もそうだし、1シーズンを通してジェフというチームがJ2リーグでインパクトを残したということだと思うので。だからこそ自分が目立つことができたんだと思うので……やっぱり、大事なのはチームだなと改めて思いますね。
―― さっきも言っていたとおり、今シーズンは得点王を取ることにめちゃくちゃこだわっていて、その思いの強さも十分に感じられました。ゴールを決める役割の自分が結果を残せば、必然的にチームも目標達成に近づけると考えたと思うんですけど。
はい。まさにそう考えていました。
―― 小森選手の何がすごいって、それを実現しちゃうことですよね。残念ながらチームとしての結果はついてこなかったけれど、逆に、だからこそ得点王を取ることは簡単じゃなかったはずで。
そう言ってもらえるのは嬉しいです。自分としても個人のことについて有言実行できたことはホントに良かったなと思うんですけど、でもやっぱり、一番ほしかったのはそこじゃないので。何としても“それ以上のもの”を手に入れたかったという思いが強くて。
―― 最優秀選手賞を受賞しても、気持ちとしては複雑なところがある。
そうですね。やっぱり、あります。
―― そっか。
ただ、自分はどこでプレーしていても、FWとして得点王というタイトルを取りたいという気持ちはめちゃくちゃ強くて。学生時代からずっとそうだし、実際に取ってきたからこそそのこだわりは強いと思います。「得点王」という言葉が好きだし、たぶん、今シーズンもJ2リーグの中で「得点王になりたい」という気持ちが圧倒的に強かったんじゃないかなと。試合が終わるたびに“誰が取ったか”を確認するくらいずっと気にしていたし、プロ1年目の手応えもあって「絶対になれる」と思い込んでいたので。
―― 「絶対になれる」と思っていた。
うん。思ってました。
―― 愚問ですけど、どうして?
なんでだろう……。自分でもわからないんですよ。なんでこんなに自信満々なのか。その自信がどこから来ているのかもわからなくて。
―― とはいえ、シーズン中盤は得点ランキングトップとの差がそこそこあった。それでも疑わなかった?
はい。「ダメかもしれない」と思ったことは一度もなくて。確か、5点か6点くらい差がありましたよね。それでもぜんぜん。「そんなの1試合で埋められる」と思ってましたし、実際にそう言い聞かせていました。あきらめるなんて気持ちはまったくなかった。ゼロでした。
―― 『United』vol.314でインタビューさせてもらったのが10月9日。あの時点の小森選手はそれこそ“ノリノリ”で、ものすごい勢いでゴールを重ねていたし、自信に満ち溢れていた。でも、そこから先については少しペースダウンしていった。あの頃、何を考えていた?
うーん……。いや、でも、このチームは本当に本気でJ1に昇格できると思ってたし、その前に、J1昇格プレーオフには絶対に進出できると思っていました。あのインタビューでも話しましたけど、完全に流れができているというか、ストーリーができ上がっていると信じていて。
だから、山形に負けて結果が出ても、信じられなかったんですよね。まさかあそこで終わるなんて少しも思ってなかったし、ぜんぜん信じられなくて。もちろんホーム最終戦の長崎戦で自分がPKを決めていればという話なので、負けたという現実をわかってはいるんですけど受け入れられなかったというか。そう簡単じゃないってことを、思い知らされたという感覚でした。
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