プライドとの葛藤
チーム最年長。ジェフ歴ももちろん最長。
いつのまにか36歳になったヨネが語る今の自分。
インタビュー・文=細江克弥

―― ヨネさん、おつかれさまです。ちょっと待たせてしまって。
いやいや、ぜんぜんです。もしかして走って来ました?
―― 走りました(笑)。U-18との練習試合、お客さんがすごくて。
暖房消しましょうか。僕も暑いんで。
―― 助かります。
いえいえ。
―― じゃあ、始めますか。
お願いします。
―― いきなり本題ですけど、正直、もしかしたら引退してしまうかもしれないと思っていました。
ああ、はい。
―― 去年の夏くらいから。このままだったらヨネ引退しちゃうかもって。
そうですよね。わかります。ぶっちゃけ、頭の中にはその考えもありました。はい……というか、結構、傾いちゃってましたよね。実際のところは。
―― いつから?
具体的にどの時期というか、とにかくケガが治らなくて、でも、自分なりには治すために必死にやってきたから、それで治らないなら仕方ないと思うようになっていて。チームという意味で役割があるにしても、やっぱり、選手としては試合に出ることがすべてじゃないですか。
―― そう考えているだろうと思っていたから、「あるかもな」と。
ですよね。うん、だから、そのタスクをまったくこなせないなら、個人的にプライドが許さないというか、それならもう、やめるしかないかって。
―― うん。
考えましたね。真剣に。
―― でも、踏みとどまった。
自分の存在価値をチームに評価してもらえていたことが、まずは嬉しかったし、単純にありがたくて。チームの一体感を作り出すために必要な存在として、もし仮に試合に出られなくても自分がいる意味はあると。
ただ、やっぱり、個人的には選手としてのプライドが自分自身を許さないというか、やるんだったら自分自身が全力でプレーできなきゃ意味がないと思っている中で、昨シーズンはそれができなかったもどかしさがめちゃくちゃあって。精神的にもかなりしんどかったんです。
―― なんとなく想像はできる。
ベテランだから“追い込まれている感”を出すわけにもいかないしね(笑)。試合に出られなかった自分を自分で評価することは絶対にないんですけど、それでも評価してもらえて、もちろん選手としてピッチに立つことも期待してもらって……それからいろいろなことを考えて……うん……で、やろうと。
―― 決めた。
決めましたね。だから、やるからにはやると。どこまでやれるかわからないけど、今年もやり切らなきゃいけないなと。
―― そっか。ケガの具合は? 復帰までにはもう少し時間がかかる?
状態について細かいことは言えないんですけど、今はまだ復帰に向けてリハビリをしていて、新しく入ってきた選手たちのキャラクターをピッチの外から探っているという感じで。もちろんそれも最年長選手の自分に期待される仕事のひとつだと思っているので、まずはそこをクリアしたいなと。
―― 観察?
そう。でも、サッカーだから一緒にプレーしてみて初めてわかることって多いじゃないですか。今はそれができないから、かなりの工夫が必要なんですけどね。まずは自分自身のコンディションを上げて練習に戻ること。順調ならそれほどの時間はかからないと思うので、焦っても仕方ないんですけど“戻ること”にまずは自分の力を集中したいなと。

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