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2015 December12

2015.12.20 UPDATE

高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プリンスリーグ関東・参入決定戦 レビュー(vs武南高校)※コメント動画あり

レポート

見せた“気持ち”

ジェフユナイテッド市原・千葉U-18 2-3 武南高校(埼玉県代表)
2015.12.19 駒沢第2球技場





プリンスリーグ関東への“昇格”は、今シーズンのU-18にとって「悲願」だった。試合後、キャプテンの辻周吾が言った。

「アカデミーだけじゃなく、ジェフ全体にとって、いいニュースを作りたいという気持ちが強かったので……。プリンスリーグに上がればアカデミー全体が盛り上がるし、トップに昇格できる選手ももっと増える。そうじゃないと、ジェフを変えられないと思うし、自分たちで変えたかった。そのために、まずはプリンスリーグに上がるという強い気持ちを持っていました」

最後尾からチームを支える守護神として、辻は最後までチームメイトを鼓舞し続けた。しかし、その思いはあと一歩届かず、ジェフでの「最後の試合」になるかもしれない一戦は幕を閉じた。武南高に奪われた3つのゴールを、彼は最後まで悔やんだ。

「チームメイトが2点奪い返しくれたので、GKである僕が3失点のうちひとつでも止めていれば、チャンスはありました。だから、今は“やり残した”という感覚でいっぱいです。これで引退という実感がまだ沸かないので、悔しい気持ちしかありません」

埼玉の名門・武南高との熱戦は2-3で幕を閉じた。この試合に勝ち、もう1試合に勝利すればプリンスリーグ関東へ昇格できる――彼らの思いは、惜しくも散った。

強すぎた意気込みのせいか、それとも「負ければ終わり」という独特の緊張感からか、キックオフ直後からU-18の動きには硬さが見られた。

その隙を突かれ、前半から後手に回る。開始直後の4分には右サイドのスローインからクロスを放り込まれ、ファーサイドで豪快なボレーシュートを叩きこまれて失点。27分にはカウンターから左サイドを突破され、再びクロスを押し込まれて2点目を奪われた。江尻篤彦監督は選手交代で流れを変えようと手を打つが、後半に入っても武南のペース。53分にはカウンターから左サイドに大きく展開され、縦への突破を許して3点目を奪われた。

個々のタレントを見比べても、もちろん大差はない。しかし相手のマンツーマンディフェンスに攻撃の活路を見いだせないジェフに対し、武南高はシンプルにサイドへつなぎ、タッチライン際から縦への突破を試みた。失点はジェフの“硬さ”を助長し、逆に武南高は得点によってのびのびと躍動した。その差が、0-3という得点経過に表れた。

しかしここから、ジェフも食い下がった。

江尻監督は55分、65分、70分と立て続けに選手交代。攻撃のテンポが変わったことで少しずつ躍動感が見え始める。75分には、左CKからDF柳田健太郎がヘディングでゴール。これで追い上げムードに火がつくと、試合終盤のジェフは完全に主導権を握った。

83分には相手のシュートがポストに弾かれるピンチから、一気にカウンター。中上貴博が右サイドを突破して中央にパスを送ると、途中出場で流れを変えた氣田亮真が見事な切り返しで相手をかわし、2点目を奪った。メインスタンドではジェフの関係者や選手の家族が、バックスタンドではサポーターやベンチ外の選手たちが声を張り上げ、「あと1点」の反撃ムードを強く後押しした。

しかし、アディショナルタイムの4分を過ぎて無情のホイッスルが鳴ると、選手たちはピッチに崩れ落ちた。「あと1点」に届かず、ジェフU-18のシーズンは幕を閉じた。

来シーズンからトップに昇格するDF岡野洵も、他のチームメイトたちと同様に涙を流し、目を晴らしたままインタビューに答えた。

「自分たち(守備陣)のラインアップやスライドの遅さが失点を招いてしまったので、反省しかありません。自分たちがアクション、相手がリアクションという形を作りたかったんですが、それがうまくできなかった。こういう大切な試合で、いかに勝つかということがチームにとっても、個人にとっても課題だと思います。最後は、気持ち。そこが武南よりも足りなかった」

今シーズンからこのチームを率いた江尻監督も、岡野と同じところに着目している。

「我々がこれからやらなければならないのは、“勝負”で生まれる少しの差を、こちらに引き寄せるということ。うまいだけじゃ勝てない。ハーフタイムには、相手のほうが戦っているし、球際も強い。もっともっと気持ちを出して戦わなければいけないと伝えました。大切なのは、勝負に勝つということ。彼らはプロになる選手もいれば、大学で続ける者、ここでサッカーから離れる者もいるかもしれません。でも、これからの人生は勝負の世界。そこで勝つことの大変さを、彼らは今日感じてくれたと思います。これを糧に、次の目標に向かっていってほしい」

勝負に勝つために必要な何か――。おそらくそれは、ジェフ全体が直面し、最も手に入れたいと願っているものである。U-18の悲願は成し遂げられなかったが、彼らはそのヒントを、しっかりと示してくれた。







試合後コメント