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2020 November11

2020.11.12 UPDATE

【レポート】山根恵里奈選手引退会見レポート

レポート

ジェフユナイテッド市原・千葉レディースでは、11月10日(火)に、山根恵里奈選手の現役引退会見をオンラインで実施いたしましたので、その模様をお知らせいたします。



冒頭挨拶(山根恵里奈選手)

今日は、たくさんの方に、オンライン会見に参加していただき誠に感謝申し上げます。
クラブから、先日発表がありました通り、今シーズンをもって現役を引退することを決めました。自分が引退にあたって会見を開くようなキャラでも器でもないと思っていたので、今日は驚きもありますが、一つ一つ、きちんとお答えをして、最後のひと仕事だと思って頑張りたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

まず、引退を決めた理由・どうしてこのタイミングだったのかということをお話させていただきます。今年、新型コロナウイルスの影響でリーグの開幕が延期になり、ずいぶんとイレギュラーなシーズンになったということで、7月にリーグが開幕した時には、『自分は来年も選手を続ける』ということを、何の疑いもなく思っていました。
本当に、その思いはずっと自分にあったと思っていたのですが、ある日、ある時期から、突然、自分の中に来年ユニフォームを着てピッチに立っているイメージが全く浮かばなくなっていることに気づいて。本当に突然だったので自分も最初びっくりしたんですが、自分の中でそのイメージが無くなったという時に、『自分はまずどうしたらいいんだろう』ということを、少し動揺しながらも考える時期はあったのですが、やっぱり、何をしても何を考えても、イメージは浮かばないままだったんですね。それで、ずっとモヤモヤしていた時期もあったんですけど、『あぁ、もうこれは、ひとつそういうタイミングであり、流れであり、ここが決め時なんだな』というのを自分の中でふと思う瞬間もやってきて。その時に引退というのを自分自身で決めました。
そう思った時から、かなり気持ちはすっきりして、じゃあ残り何をしよう、何ができるかなということを考える方に自分の頭も気持ちもシフトしていったので、今は本当に穏やかな気持ちで、最後だからというわけではなく、今は本当にジェフレディースの一人として、チームに対してとか、一人の女子サッカー選手として現役の内にやれることをやりきりたいとか、そういう思いで1日1日を過ごしているところです。

あとは、皆さまからの質問で色々と掘り出していただければうれしいなと思うので、私からお伝えしたいことは以上です。ありがとうございます。




質疑応答

―選手としてまだ活躍できると思う中で引退されるということで、引退後の夢、やりたいことはあるのでしょうか。

まず、やりたいことは、ジェフレディースの試合を観客席から、いちファンとして応援することを全力でやりたいです。立場は変わりますが、ジェフは一番大好きなチームなので。このチームで育った一人の女子サッカー選手だと思っているので、その恩返しをしたいなと思っています。あとはどういった形であれ、なでしこジャパン、ジェフレディースの選手、女子サッカー選手というキャリアは、これからも生かしていきたいと思います。
女子サッカーは、これからWEリーグも始まり、活性化していくだろうと期待しているので、それに対して自分のキャリアを何か還元できる方法だったり、お仕事だったりがあれば、積極的にやらせてもらいたいなと思っています。

―具体的ではないということでしょうか。

今はまだ漠然としている段階ですが、何か形としてご報告できるようになれば、皆さんにしっかりお伝えしたいなと思います。それが恩返しの第一歩だと思っているので、待っていてください。

―チームメイトに引退を伝えた時は、どのような反応だったのでしょうか。

私も話すのに一生懸命で、皆の表情までは見られなかったのですが。若手の子たちは、動揺じゃないですが、『どう受け取ったらいいんだろう。どうしたらいんだろう』という表情をしている子もいたのかなと思っています。逆にベテランは、言った直後からいじってきて。『もう1年やる?』とか『今ならまだ間に合うよ』とか。今でも言われるんですけど。多分、皆私の性格を分かっていると思うので、一回こうだって決めたことは絶対に揺るがない、変わらないって知ってくれているので。そこはしっかり受け止めてくれたんじゃないかなと、私は思っています。

―10月にはリーグ戦100試合出場を果たしましたけれども、山根選手自身が積み上げてきた中で、一番心に刻まれている、思い出に残っている試合というものがあれば教えてください。

一番新しい所になっちゃうんですけど。思い出というか一番本当に印象に残ってる試合は、今年の9月のアウェイ・西が丘でのベレーザ戦ですね。そこが多分、多分ですけど私の思う、現役史上最高の試合だと思うので、そこが今本当に印象に残ってますし、それを今このタイミングでできたっていうのも、すごく私としては嬉しく思ってます。100試合ほとんどというか、もうほぼ全てをジェフで出させてもらったので、そこにも、これまでの歴代のスタッフ陣だとか、チームメイトに心から感謝をしたいなと思っています。

―GKは、ベンチ入りしない選手も含めて一つのチームとして戦うと言われることがありますが、ともに戦ってきた船田麻友選手・木稲瑠那選手に伝えたいこと、伝えたこと、託したいことがあれば教えてください。

伝えたいことは、本当に『ありがとう』の一言だけです。
船田選手とは15歳で出会っているので、本当に人生の半分、一緒にサッカーしているようなものなので、長きに渡って厄介な性格の面倒くさいこの私にお付き合いいただいて本当にありがとうございましたと伝えたいです。瑠那に対しては、2019年の夏にいきなりポーンと私が入ってきて驚いた部分もたくさんあったと思うのですが。先日、100試合達成の時に、皆からいただいたメッセージの中に、瑠那からの『恵里奈さんの体の動き方・使い方を見て、勉強させてもらってます。ありがとうございます』というメッセージがありました。彼女も女子の中では、比較的長身の選手で、なんとなく私の体の使い方とか動き方に感じる部分があるんじゃないかなっていうのを、一緒にやっていて思うこともあったので、そういう風に言ってもらえて、私も本当に一緒にやれて良かったなって思います。残り少ないですが、まだ参考にしてもらえることがあったら、一生懸命伝えたいなという風に思っています。

―『ある時期から突然』思い至ったとのことでしたが、今振り返るとどの辺りで、何がきっかけだったと思うのか、もしくは今振り返っても本当に突然でわからないのでしょうか。

何がきっかけかは、分からないです。
時期っていうのも、本当に、『ふと気づいたら』という言葉がぴったりはまるぐらい。
いつなんだろうか。具体的にいつって言われたら『いつなんだろう?』という感覚なので、自分自身も本当にびっくりして。
『どうしたらいいんだろう』っていう状況になったのが最初だったので、さっきお話した通りなんですよね。本当に、いつ・何がというのが分からないんです。
ごめんなさい。こんな答えで。

―今年は、イレギュラーなシーズンであって、開幕が何度も延びて、考える時間も多くあったと思うのですが、そういうシーズンだったからというのも関係はあるのでしょうか。

そこは関係ないのではないかなと思います。
むしろ『こういう状況になったから、私はきっと来年も続けている』っていうのが、最初の私の考えだったはずなので、そこは関係なくて。ただ長い自粛期間の中で、色々なことを考えて、自分の今後の人生どうするっていうようなことも、確かに考える時間はありました。そこに何をアクションしていくかっていうことを考えて、今、2014年の夏から三井住友海上火災保険株式会社で働かせていただいているのですが、保険の勉強を、ちゃんとしよう、資格もちゃんと取ろうと思って、テキストを読んだりして勉強をし始めたというくらい、人生について考える時間はあったのですが。ただ本当に選手を続けるというのは、リーグのスタートの時点では何の疑いもなく思っていたというのは確かです。

―今季は、ご自身で代表合宿の時に言っていた通り、パフォーマンスもよくて、それでも来年、ピッチに立つ姿が想像できないというのが変わらなかったのでしょうか。10月に代表合宿に呼ばれたときには、『今季で終わる』という考えで参加されてたと思うんですけど、その時はどういう心境でいたのかというのを教えてください。

まず、自分の頭の中に『代表』っていうワードが入っていなくて、メンバーに入る、合宿に呼ばれるってことは全く想定してない状況だったので、呼ばれた時は本当に驚きと、ただ本当に調子が良くて、もしかしたら気持ちが『またもう一度』っていう風になるんじゃないかっていう期待もあって。それをしっかり確かめてみようと思いながら、参加したんですけど、気持ちは全く変わらなかったというか。イメージが全然沸いてこなかったので、もうこれは『本当にないんだな』というのを痛感したというか、確信しました。それで、帰ってきてすぐに、チームにお話をしました。

―来年、WEリーグという、女子サッカーに新たなステージができますが、そのことが現役を続ける・続けないというのを考える要素になったということはありますか。

WEリーグに対しては、希望をすごく持つ部分もありますし、いち選手として、色々な物事を見て、色々な経験をさせてもらった身としては、不安に思う部分も正直あります。それをWEリーグに自分も選手として参加して、そこにある不安をなんとか払拭したいというか、チーム内で話していても、やっぱり若い選手の中には不安に思っている子もいるので、一緒にやりながらそういう部分をサポートしていけたらっていうのも、本当にそれも正直な気持ちでした。
ただ、自分の中のイメージには、逆らえなかったというか。イメージがないことはできないなと思ったので、それを決めました。
WEリーグでやりたい気持ちがあったのも確か。不安があったのも確か。しっかりサポートしようと思っていたのも確か。ただ、最終的な決断については、自分自身のイメージというか、自分自身の問題で決断した、というのが流れというか。本当に自分の問題ですね。

―光永亮太(bayfm)です。こんにちは。
僕の先入観なのかもしれないですが、ゴールキーパーは、 30歳ぐらいから熟練の技に入っていって、これからが一番いい時期なのかなっていう風に思っていたので、引退と聞いてびっくりしたのですが。
悩み始めてから決定するまでのプロセスの中で、どのくらい時間がかかったんでしょうか。それで、誰に一番最初に報告したのでしょうか。

正直、まだ全然できると思うというか。今、現役生活の中で一番ノリにノッていると、私自身も思っています。ただ、これまで何を決めるときも、中学校を卒業してJFAアカデミーに入ったときも、高校を卒業してマリーゼに入ったときも、震災があってジェフに来たときも、ベティスに、海外に行くっていうのを決めたときも、自分の中にイメージが浮かんだことを、正直に私はやってきたタイプで。なのでイメージがないことはできないというか、イメージが浮かんだほうに進むっていうことをずっとやってきたので、今回もその自分のイメージ通りに従っただけというか。従って決断したというのが、この結果なので、これからをまた新しい立場でしっかりと自分の人生をちゃんと頑張っていけたらなと思っています。
最初に報告したのは、誰だったか覚えていないのですが、親には、『たぶん私は今年で引退をすると思います』というのをLINEで伝えました。親にはもう、それ以上のことは言わずに、次に連絡をしたのは『リリースが出ます』というような感じの連絡でした。
そうなると、一番最初に報告した人となると・・・なでしこリーガーだと、 アルビレックス新潟レディースの川村優理さんですね。

―WEリーグも始まりますし、2023年にはオーストラリア・ニュージーランドでの女子ワールドカップもあります。もし、途中でやっぱりビジョンが見えてしまった時、復帰の可能性というのはあるのでしょうか。

無いです。

―100%ない?

無いです。
一度、『こうだ』と言ったことは、そうにしかならないので。
ここからまた逆転現役復帰っていうビジョンは、私の中には存在しないです。遊びでサッカーをやることはあると思うのですが、ガチガチの現役復帰は本当に100%ないです。

―bayfmのリスナー、サポーターに向けて、一言いただけますでしょうか。

突然のご報告で驚かせてしまったと思うのですが、私自身、すっきり納得したうえで、これがベストだと思った決断なので、どうかこれからも温かく見守っていただけたらうれしいのと、今後のこともちゃんとお伝えしていけたらとは思ってるので、もし気が向いたら、いちサッカー人としての私を応援していただけたらうれしいなと思ってます。本当にありがとうございました。

―『これはもう引退かな』ということが、山根選手の頭の中に浮かんでから、ゴールが決まったからこそ頑張れたということはありましたか。

ゴールが決まったからとは思ってないんですけど。イメージが無くなったときにどうしたんだろうという動揺から、決断して、ちょっとふっきれたというのはあるんじゃないかなとは思ってます。最初にもお伝えした通り、今は、本当に穏やかに過ごしているという状況で。正直、自分が決めたことなんですけど、終わりに向かっているっていう実感はあまりなくて。本当にナチュラルに、練習も試合もチームメイトと時間も、仕事の部分もそうですね、いつもと変わらない毎日を、日常を過ごしているっていう感覚なので。なんかすっきりしているっていう心だけかな、今は。と思います。

―2015年のワールドカップの決勝のときだったと思うのですが、ホープ・ソロ選手と山根選手が最後に握手をして『彼女のことを、まじまじと見てしまいました』と言っていたのを覚えています。対戦してきた中には、ホープ・ソロ選手のように世界的なプレイヤーとか、なでしこリーグの中にもいっぱいいたと思いますが、山根選手が特に影響を受けた選手っていうのは、今思い返してみるとどんな選手でしょうか。

印象的だったと言われるとやっぱりアメリカ代表選手のホープ・ソロ選手が、やっぱり本当に世界のトップのゴールキーパーだったと思うので、一番印象があると言われたら、ホープ・ソロ選手かなと思います。
でも、影響を受けたという部分では、私はベティスの選手・スタッフ陣に、ベティスというチームに、選手として良い影響を受けたと思っています。

―引退を決めたとはいえ、まだシーズンが残ってますよね。そこに向けて、最後までこうやりたいとか、ここを見てほしいというのがあれば教えてください。

これといってここを見てくださいってないんですけど、身長188センチの女子のキーパーは、とりあえずしばらく見納めだと思うので、『あぁ山根でかいなぁ』と思って見ていただければいいかなと思います。(笑)
試合に関しては、ナチュラルに、自然に日々を過ごしているので、その状態のまま、いつも通り試合に臨んで、皆と『本当に試合楽しかったね』って、最後まで1試合1試合言えたらいいなと思ってます。

―山根選手からは『ジェフが大好き』というのが、すごく見えるんですけれども、ジェフのどんなところが好きですか。

ジェフの好きなところは、あったかいというか、サポーターもそうですし、クラブスタッフもそうですし、一緒にやっている選手・監督・コーチもそうですし、自然体で過ごせる空間だなというのをすごく思っていて、それが自分にすごく合っていたというか有難かったというか。だからこそ多分、好きになっていったと思います。例えば、海外に行ってから帰ってきたときに、『これがジェフだな』って思える瞬間がたくさんあったので、そういう部分はこれからも残していってほしいなと思います。
サッカーの部分でも、これからWEリーグも始まるので、女子もちゃんとそこに入れてもらって、ジェフファミリー一体で、新たに上を目指していく集団になっていってもらえたら、私もすごくうれしいですし、自分もそこにいちファンとしてOGとして加わっていけたらなって思っています。それが続いていってくれたらいいなと思います。

―先ほど、会社の話が少しでましたけれども、会社にはすごくサポートをしていただいたと思います。社会人として生活していたからこそ成長できた部分もあると思うのですが、そういった部分ではどうでしょうか。

私は社会人になって、東京電力で3年間、その後約1年間はアルバイトみたいな感じでしたけれども、その後、ジェフのスポンサーの株式会社千葉ステーションビル(ペリエ)さんで約2年、そして、三井住友海上火災保険株式会社で、一番長く社会人として経験を積ませていただいたんですけれども、自分がお世話になった会社全部で、関わった皆さんが本当に温かくて、サッカーのこともお仕事のこともすごく全力でサポートしてくださって。私は、良い状態で仕事に関してもサッカーに関しても、過ごすことができたなというのを本当に心から感謝したいなと思っています。それぞれの会社で、色々な違いというか特徴というかあって、その一つ一つが、サッカーしかやってこなかった自分にとって本当に勉強になりました。色んな方と関わる中で、仕事の最前線で活躍されている方々は、ほとんどアスリートだと私は思っているので、そういう部分でもいい刺激をいただきました。皆さんと一緒に私がいる価値っていうのは何なんだろうなっていうことを考えさせていただいたこともたくさんありますし、それが自分自身の人生を考える、キャリアをどう捉えるかっていう部分にも大きくつながったのだと思います。それは本当に仕事をしながら社会人として働きながらプレーを続けてきたなでしこリーガーだったからこそ得られたものだと思っているので、本当にお世話になった皆さんには感謝しかないです。これから、また立場は変わりますが、お世話になった一人として、しっかり恩返しをしていきたいなという思いを持って次に向かいたいなと思っています。

―今の率直な気分はどうですか。

すっきり!そして一安心。

―ほっとしたっていう感じですか。

ほっとしてます。 毎日、フラットにすごく穏やかなので。
すっきり、ほっと一安心。という感じです。

―それがプレーにも出ている感じでしょうか。

出てますか?
それはあるんじゃないかと思います。メンタルとプレーは直結してるんだなと感じることは、これまで自分もすごく経験してきたので、そのことを私は身をもってわかったんで。それを次の世代に『それはごくごく自然なことであって、大丈夫だよ』と、伝えていきたいなと。それが私の今後の目標の一つでもあります。この決断も経験も今持っている思いも全部生かしていきたいと思います。

―来年プレーしているイメージがわかないので引退を決めたということでしたが、それまでは、引退を決めるまでは、来季に向けてどんなイメージを持って臨まれていたのでしょうか。

来季については、『これから立ち上がる女子プロリーグWEリーグで、そこで一人の選手としてプレーをするんだと』思ってました。WEリーグ発足が決まったとき、ジェフが申請を出すというのは、もう早い段階からクラブから聞いていたので。あとは広島県出身なのでサンフレッチェ広島が申請を出したっていうことを聞いたときは、素直に本当にすごくうれしくて。サンフレッチェにレディースチームができるというのは、私が勝手に思ってただけかもしれないですけど、広島でサッカーをしていた者としては念願ではあったので、それが実現するかもしれないと思ったとき、本当に気持ちは動きましたね。ただ今季を過ごしていく中で、本当に突然イメージが・・・っていうところで、この決断をしたので。サンフレッチェのWEリーグ加盟も決まりましたけれども、自分の地元にプロチームができるというのは本当にうれしく思っていますし、ジェフレディースも、無事加盟チームの一つに決まって、それに対しても本当に心からうれしいと思ってますし、そこに選手として参加できないことは、申し訳なくというか、自分自身の人生の決断なので、そこは私のこれからの活躍で何かお返しできることがあればお返ししたいなと思いながら、今はいます。
本当に、ジェフもサンフレッチェも、WEリーグ全体が成功と成長に向かって良いスタートというか、来年からしっかり走り出していってほしいなと思いながら、私も自分自身のこれからやっていくこと、やるべきことを頑張っていきたいなと思ってます。

―後輩たちもたくさんいらっしゃると思いますが、技術的なこと、メンタル的なことも含めて、ジェフのエンブレムを背負うにあったって、後輩たちにこんな風な思いでプレーして欲しいというところがあれば教えてください。

これを言ったら甘いと言われるかもしれないですけど、まず自分自身を本当に大事にしてほしいなって思ってます。というのも、自分自身をまず大事にできないと多分チームメイトのことも自分がプレーしてるチームのことも大事に思えなくなってくるんじゃないかなっていうのをすごく感じることがあって。
日本には、褒められた時に謙遜するっていう文化があると思うんですけど。『いやいやそんなことないです』っていう。そうじゃなくて、褒めてもらったら、素直に『ありがとうございます』って言って、 吸収して自分の力にしてどんどん良いプレーを出していってほしいなと。ミスも失敗も誰にでも必ず起こるっていうことを、まず理解して、そういうものを振り返ってしっかり見直すっていうことは大事だと思うんですけど、それ以上に自分にこれができるとか、これが強みだってことを理解して進んでいくことの方もそれ以上に大事じゃないかなっていうことを自分の現役生活の中で感じました。
あと、ベティス時代の監督に言われた一言が『あなたは自分で自分を傷つけてる』っていうことを言われたことがあって。その言葉をもらって、すぐには受け入れられなかったですけど、時間をかけてなんとなく、こう自分の中にその言葉が入ってきたなって思ったぐらいから『自分ちょっと変わったのかな。なんか物事の捉え方とかが変わったのかな』と思ったので。自分で自分を傷つけない。自分を大切にして、いい選手生活、現役生活、そしてこれからプロ選手としての生活を送っていってほしいなっていうのが、私の願いです。
ただ、それは自分自身で、自ら理解はなかなかできないと思っているので、そのヒントを、私は、これからみんなにヒントを提供することはできると思うので、そこをやっていきたいなというのを思っています。

―ベティス時代の監督が、山根選手が謙遜するのを見て、そういうことを仰ったんですか。

ミスをすごく重く受け止める部分だったりとか、負けた試合の後の私の表情だったりとか。監督だけじゃなくてチームメイトもそうだったんですけど。私は私のことをいい選手だと思っていないっていうことを、サッカー以外で言ったことがあって、そういうのを『そうじゃないから。あなたはとても素晴らしいから、今ここにいて私と一緒に仕事をしていて、自分でまずそういうことを理解して、そう思わなきゃいけないよ』っていうことを強く言われ続けた2年間だったので、それが私に対してのベティスの皆からのヒントというか、説得くらいの勢いで言われていました。それだけ言ってもらって、ベティス時代にそれを素直に受け取れなかったのが、私の一つ後悔ではあるんですけど。今はそれを受け入れることができて、ベティスのみんなにも感謝したいですし、それをこれから本当につなげていきたいなという風に強く感じます。

―今ベティスのお話が出ましたが、先日、引退を発表された後、ベティスのツイッターがメッセージをくださっていましたが、逆に山根さんからベティスの選手・スタッフへのメッセージを、ぜひスペイン語でお願いします。

え!?今急にですか!?
それは別録りしましょう。


―先週の土曜日の試合が、フクダ電子アリーナでの最終戦でした。
試合終了の笛を聞いた後はどんなお気持ちでしたか。

内容が良くない試合だったので、みんな本当にうまくいかないっていうストレスを抱えた中で、ずっとやってたと思うんですけど最後の最後に、ロスタイム残り1分とか、それぐらいに点が取れて、その瞬間は結構あの勝てないのかなこの試合って思ってた部分を、一気に私の気持ちを変えてくれたゴールだったので、そこは一生懸命走って戦ってくれたフィールドの選手の皆に心から感謝の気持ちと、勝ちたかったけど、まぁこれも私っぽいのかなと思う部分もあって。本当にやり切ったなというか、これが最後だっていうのも本当に実感はないんですけど、ああいう展開も最後だと思ったら、ふさわしい試合だったのかもしれないなと思いました。

―今のメンバーとサッカーをやるのは、リーグ戦2試合と皇后杯で本当に最後になると思います。メンバーとどんなサッカーをして、山根選手をこれまで応援してくれたサポーターにはどんな姿をピッチ上で見せたいでしょうか。

どんなサッカーをしたいかと言われると、本当に一つだけです。
ジェフらしい、ジェフレディースらしいサッカー。走る、戦う。本当にがむしゃらに90分やり続ける。ただそれを、ここから最大7試合、できるところまでやりきるというのが今の思いですね。
あとはジェフで一緒にやった皆とはここで終わるご縁じゃないと思ってるので、これからも何かしらの形で、一緒に戦った仲間としてご縁が続いていくことを私は願ってます。ちょっと私が、あの…なんていうか人間関係とかドライな人間なので、あんまり皆寄ってこないかもしれないですけれども、ご縁は確かに続いていくのでということをちゃんと伝えてからさよならしたいと思います。

―ここで花束の贈呈です。
クラブを代表して取締役・麻生恭一より、



麻生恭一取締役
「現役生活お疲れ様でした。これからも有意義なサッカー人生をお過ごしください」

―続いて、レディース選手を代表してゴールキーパー船田麻友より、贈呈させていただきます。

サプライズじゃん!全然来るなんて言ってなかったじゃん!


船田麻友選手
「中学3年の時から15年も一緒にやっていたので、腐れ縁ですね。腐れ縁らしく、最後までやれたらと思います。とりあえず、お疲れ様でした」