「前半、思ったような展開にならず、攻撃やセカンドボールを拾えず、後半にメンバーを代えて勢いやサポートが入るようになり得点が生まれました。みんなが色々な役割をしながら狙いをもった攻撃を出来たことが良かったと思います」と、この日の試合を三上尚子監督は総括した。
プレナスなでしこリーグカップ1部決勝トーナメント準決勝のINAC神戸レオネッサ戦は1対0でジェフユナイテッド市原・千葉レディースが勝利し決勝進出を果たした。
先発にはGK根本望央、DFは右から若林美里、櫻本尚子、西川彩華、上野紗稀、中盤の右ワイドには千野晶子、ボランチに磯金みどりと瀬戸口梢、左ワイドに深澤里沙、そして2トップには成宮唯と小澤寛が構えた。
立ち上がり、相手の勢いに押されるが、しっかりと守備から入ることを約束事としていたチームはアグレッシブなプレーで、これを跳ね除ける。8分、裏を通され危険な場面を作られゴールを狙われたが、これを上野がかき出した。
ボール奪取から速攻につなげたいジェフユナイテッド市原・千葉レディースだが、パスミスと球際で競り負ける部分も散見し、ブロックを敷き耐え凌ぐ我慢の時間が続いた。
押される展開となった前半だったが無失点で乗り切ると、ハーフタイムに三上監督は「裏のスペースへの準備」、「ボールの出所を抑える」、「攻守の切り替えを早く」、「全体でのサポート」の指示を送ると同時に後半の頭から小澤に代え鴨川実歩をピッチに投入した。
心配された後半の立ち上がりだったが、48分、右サイドで攻撃を作り成宮がクロスを入れると、逆サイドから深澤と鴨川が折り返し、それを千野が左足で押し込み、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースが先制に成功した。
「良い形で鴨川選手が折り返してくれたので当てるだけでした。右から左に抜けたので折り返しが来ると信じていました。得点の流れはチームとして狙っているモノだったので良かったと思います」(千野)。
ボールの出所を抑えるために選手は走り、チームの狙いが形となる。相手が前がかりなることでスペースを生かすと57分には、鴨川が敵陣でボールをインターセプトし、鋭いセンタリングを上げると、これを成宮がヘディングシュートするも相手キーパーに収められた。
厚みのある攻撃を仕掛けるINAC神戸レオネッサに対し、しっかりと中央を締め全員が体を張り続けた。
73分には、ゴール正面、およそ18メートルの位置で与えたフリーキックを根本がファインセーブしピンチを救う。
ここで指揮官は77分、千野に代え安齋結花を入れ“追加点を取りに行く”メッセージをピッチに送った。
しかし泥臭く守備に奮闘するなかで90分、中盤で駆け回り足が攣ってしまった瀬戸口に代え鶴見綾香を入れ逃げ切り体勢を整える。
電光掲示板にアディショナルタイム2分が表示されるが、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースは最後まで集中を切らさずにプレーを続け無失点で試合を締めた。
試合終了後、キャプテンの上野は「相手のペースの時間、耐える時間が多かったのですが決め切るチャンスを決めたことで、この日の結果につながったと思います」と振り返ると「(去年の決勝戦では)4対0で大敗をしてしまいました。相手は違いますが今年はそのリベンジをしたいです」と決勝戦への意気込みを話した。
去年の悔しさを晴らすには優勝を掴み取るしかない。いままでの自分たちを超えるためにも、チームは“全員守備・全員攻撃”を武器に決勝戦の舞台へ向かって行く。