「前半は自分たちがボールを持ちながら、いい流れでシュートチャンスを作りました。ただ得点を取り切れなかったことで、相手に勢いを与えて苦しい展開になってしまいました。しかし粘り強くプレーをしながら延長前半に得点を決めてくれました。勝てたことは本当に良かったと思っています。」と三上尚子監督は振り返った。
第39回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会準々決勝、AC長野パルセイロ・レディース(以下:AC長野)戦が18日(土)に栃木県グリーンスタジアムで、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース(以下:ジェフL)は、1対0で勝利を掴み準決勝に駒を進めた。
先発には、GKに根本望央、DFは右から若林美里、櫻本尚子、西川彩華、上野紗稀、ボランチには瀬戸口梢と磯金みどり、右ワイドには千野晶子、左ワイドには成宮唯、そして2トップには安齋結花と深澤里沙が構え4-4-2の布陣で、ジェフLボールで試合は始まった。
前線からのプレッシングで敵陣内でボールを奪取。相手を押し込むことでセットプレーのチャンスを作っていく。10分にはコーナーキックから深澤が押し込むが相手キーパーにブロックされ、11分には1対1を安齋が決め切れずにいたが、サイド攻撃と裏を狙うことを徹底したことで試合の流れはジェフLが握り続けた。
守備面でも、櫻本や西川がこぼれ球に素早く反応しピンチを未然に防ぐと“守護神”根本も体を張りゴールを守った。
ただボールを保持しチャンスを創出するが最後の一刺しができず前半が終了。深澤は「後半は相手もどんどん前にくると思っていました。前半のようには回せない、裏を突くこと、ゴールに結びつくプレーをしっかりピッチの中で出そうと考えました」と切り替えてピッチに立った。
54分には、左サイドで起点を作り逆サイドの千野がシュートを放つが守備網に引っ掛かる。ジリジリとした展開が続くなか指揮官は72分に、安齋に代え鴨川実歩を投入し、ゴールをもぎ取りにかかるもAC長野が局面の打開を図る。ジェフLが裏を取りきれず、ボールを大事にする時間が増えてしまったことで橙色が息を吹き返し、87分にはペナルティーエリア内に侵入されピンチを迎えたが根本が身を挺し、これを防いだ。
その後、両者の決め手がないまま、試合は0対0で前後半30分の延長戦に突入する。
95分には、敵陣ゴール前の混戦から磯金がシュートを狙っていくがクロスバーを超える。ここで指揮官は若林に代え大矢円佳を投入すると2トップの一角に配置。98分には、その大矢が鴨川のクロスボールをヘディングで合わせ先制に成功した。
「あれが精一杯のコースでした。クロスが上がり、一か八かでした(笑)。倒れてしまい、入ったかどうか分かりませんでしたが、みんなが駆け寄ってきてくれたので、それで得点したと分かりました(笑)」(大矢)。
そして、前がかりになった相手の隙を突き102分には成宮が強烈なシュートを放つもクロスバーに嫌われた。
相手の猛攻に合いながらもジェフLは最後まで粘り強いプレーと高い集中力を切らさずに戦い1対0で熱い激闘を制した。
黄色のハイエナジーが橙色の壁を打ち砕いた。
12月24日(日)に皇后杯を掲げ、歴史の1ページに名を刻むまで“ジェフL特急”は止まらない。