第39回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会の準決勝の舞台に3年ぶりに駒を進めたジェフユナイテッド市原・千葉レディース(以下:ジェフL)は、初のベスト4入りを果たしたノジマステラ神奈川相模原(以下:ノジマ)と対戦した。
先発には、GKに根本望央、DFは右から若林美里、櫻本尚子、西川彩華、上野紗稀、ボランチには瀬戸口梢と鴨川実歩、右ワイドには千野晶子、左ワイドには成宮唯、そして2トップには安齋結花と深澤里沙が構え4-4-2の布陣で試合はスタートした。
前半は三上尚子監督が「スタートをして、相手のプレスや勝ちたい意欲を強く感じた試合で、自分たちの思うような展開に持ち込めず」と話すように、試合の入りから苦戦を強いられたが、3トップの相手に対しスライド守備を徹底し、サイドチェンジにも対応。我慢強くしっかりと「守備から入る」ことがハマり耐えることが出来ていた。
両者が裏のスペースとゴールを狙い続けるなか、ジリジリとした展開が続く。その中で、ジェフLはセットプレーから攻撃の糸口を見いだそうとする。25分、瀬戸口が蹴ったセットプレーのボールは相手キーパーにセーブされ、32分のコーナーキックでは、こぼれ球を拾い、二次・三次攻撃につなげたが決め切れない。
ミスが増え、嫌な時間帯が続くと、35分にはノジマの強烈なミドルシュートがクロスバーを叩いた。
後半早々、ジェフLにビッグチャンスが訪れる。成宮のクロスボールのこぼれを、鴨川がミドルで狙うが僅かに逸れて行く。すると、これが流れを呼び込み、ジェフLのショートカウンターが点火。「スペースに出て行くことや動き出しであったりが出てきました。そこで奪われても前からの守備が出来はじめたことでリズムが生まれました」(三上監督)。
ここで指揮官は、74分、成宮に代わり小澤寛を投入し1点をもぎ取りにかかるが、チャンスは巡ってこない。ジリジリと時間だけが経過した。ラスト10分、オープンな展開となり攻守の入れ替わりが激しくなるなか、勝ち上がりたい者同士の“意地と意地の張り合い”が続き、試合は90分間では決着がつかず延長戦に突入した。
延長前半の95分には、小澤が右サイドを突破し、中央で安齋が合わせるがゴールキーパー正面。その後も決め手を欠くと、延長前半アディショナルタイムの105+1分、ノジマに押し込まれて失点を喫した。
追いかける立場となったジェフLは、延長後半の頭から、負傷した西川に代わり佐藤瑞夏を投入。延長後半の110分には、小澤に代わり林香奈絵をピッチに送る。交代後、ジェフLは右サイドから果敢にシュートを狙うが、相手キーパーの正面でゴールを割れない。続くコーナーのこぼれ球に若林がミドルシュートを放つも決まらない。最後まで諦めず前にボールを運ぶジェフLだったが、この最少ビハインドを跳ね返せず0-1で試合終了。
若林は言う。
「セカンドやルーズボールを拾えず、取ったボールを失ってしまい、自ら厳しい展開に持ち込んでしまいました。それが出来ないと試合を支配できません。結果的にゴール付近に行けず、足も振れず、シュートすら打てない。それを90分の中で変えられないことが敗因です」
サッカーでの借りはサッカーでしか返せない。この悔しさと課題を来シーズンへの宿題にしていかなければならない。
最後にキャプテンの上野は来シーズンの抱負を話した。「来シーズンは、リーグでも上位を目指して、カップ戦優勝、皇后杯優勝を目指して頑張っていきたいと思います」
来シーズンに向けての戦いは、この瞬間から始まっている。