「試合を左右したのは『入り方』の悪さだった」
試合後、フアン エスナイデル監督は試合を総括してそう話した。結果は1-2。ジェフは東京ヴェルディとの開幕戦に敗れ、2018シーズンは黒星スタートとなった。
スタメンは4-3-3の布陣。GKはロドリゲス。最終ラインは右から山本真希、近藤直也、増嶋竜也、高木利弥の4人。アンカーに熊谷アンドリューが入り、インテリオールに矢田旭と茶島雄介が位置。前線は右に町田也真人、左に為田大貴、中央にラリベイが並んだ。
試合が動いたのは立ち上がりの9分。東京Vのロングフィードがジェフの最終ラインの背後に抜け、独走したFWドウグラス ヴィエイラに増嶋竜也がタックルを仕掛ける。ファウルの笛がなり、増嶋はレッドカードを受けて退場処分に。数的不利に立たされたジェフは、町田に代えてDF鳥海晃司を投入し、システムを4-4-1に変更した。
指揮官の指摘どおり、11人で戦った立ち上がりの時間帯は、相手に主導権を握られた。最終ラインの背後を狙ったシンプルなフィードに対し、うまく対応できない場面も何度か見られた。左サイドバックの高木が言う。
「全体的に少し硬かったかもしれません。プレーしている分にはそこまでの違和感はなかったのですが、外から見て、そう見えてしまう雰囲気はあったのかもしれません。もう少し、自分たちでリスクマネジメントがうまくできれば良かった」
それでも、10人になったことによる混乱は長く続かず、試合はむしろジェフのペースに傾き始めた。ベンチからは「前から行け」との指示が飛び、それを確認して運動量を増やすと、プレスが機能し始め、相手のミスを誘った。
26分には矢田が左サイドに展開し、高木がダイレクトで折り返して為田がボレーシュート。続く28分には右サイドから中央に切れ込んだ茶島がドリブルシュートを放ち、35分にはCKの流れから近藤がヘディングシュート。いずれもゴールには至らなかったが、10人のジェフが東京Vを押し込んだ。
0-0のまま迎えた後半、ジェフは立ち上がりの48分に失点を喫する。右サイドから放り込まれたクロスに飛び込んだのは、前半から再三脅威となっていたドウグラス ヴィエイラ。ヘディングシュートが決まり、ジェフは1点のビハインドを負った。
フアン エスナイデル監督は早めに動いた。まずは55分、為田に代えて指宿洋史を投入。システムを4-3-2とし、前線に厚みを持たせた。68分には山本に代えて小島秀仁を投入。戦術的な仕掛けは徐々に効果を発揮し、75分には厚みのある攻撃から決定機を作った。しかし、茶島のクロスに飛び込んだラリベイはあと一歩届かなかった。
同点弾は86分。カウンターの流れで右サイドに展開し、茶島がまたしてもピンポイントクロス。この攻撃の起点を作ったラリベイが長いランニングでゴール前に飛び込み、見事なヘディングシュートで同点ゴールを奪った。
しかし、直後の90分、コーナーキックを畠中槙之輔に押し込まれ、1-2のまま試合終了を迎えた。矢田が振り返る。
「1点は仕方ないにしても、みんなで頑張って、最後に追いついて。あの流れだったら引き分けで終わらせなきゃいけなかった。よりによってセットプレーからの失点だったので、すごく残念な結果になってしまいました」
試合の入り方が悪かった。流れを引き戻す前に退場者を出し、苦しい戦いを余儀なくされた。それでも同点とする力があるのだから、少なくとも勝点1を持ち帰りたかった。
もっとも、指揮官の言うとおりこれが「本来の姿」ではない。次節はホーム開幕戦。ジェフらしいサッカーで勝利をつかみたい。