並々ならぬ意気込みで臨んだ前節・アビスパ福岡とのアウェイ戦は、完全なる「自滅」によって星を落とした。船山貴之が言う。
「守備でも攻撃でもミスが多く、判断も悪くシュート数も少なかった。サッカーではミスが多いほうが負けるのは当然です。ゴールをしただけでは意味がありません。チームを助ける仕事ができなかったことが反省点です」
キックオフ直後にPKを献上して失点。船山のゴールですぐに追いついたものの、イージーなミスから何度もピンチを招いてリズムをつかめず、その流れのままCKからオウンゴールを招いてビハインドを負った。後半も最終ラインでのミスから失点を喫して2点差に広げられると、選手交代でも流れを変えられず、そのまま完敗を喫した。
熊谷アンドリューが振り返る。
「やはり失点を引きずる感じが少し出てしまって、相手も徹底してきた中で苦しい展開になってしまいました。すぐに追いつけたことはいつもと違うかなと思いましたが、集中していないわけではないものの、もったいないミスが続いてしまっているなという感じがします」
近年しばらく結果に表れてしまっているアウェイの苦手意識を、ジェフはなかなか克服できずにいる。今シーズンも現時点で未勝利。迎えるヴァンフォーレ甲府との今節も、敵地での戦いだ。シーズン序盤とはいえ19位。厳しい状況を脱するためには、敵地で勝利を挙げるしかない。
難しい状況にあるのは、甲府も同じだ。
6年ぶりにJ2リーグを戦う今シーズンは、第10節終了時点で2勝4分4敗の戦績。シーズン開幕前には有力なJ1昇格候補の一角に挙げられたチームだが、ここまではホーム戦で未勝利と苦しんでいる印象が残る。最近5試合は1勝2分2敗、最近3試合は2分1敗と勝利から3試合遠のいており、ジェフと同勝点の17位につけている。
フアン エスナイデル監督が言う。
「甲府も難しい状態にいると思います。良い状態ではないと思いますし、それは勝点でもそうです。ただ良い選手がいますし、相手にプレゼントを渡せば渡すほど、我々のやれることが少なくなります。甲府だからということではなく、どんな相手であってもいろいろなことを相手に譲ってしまえば、それだけ相手は大きく成長してしまいますし、勝たれてしまいます」
どんな相手に対しても、プレゼントを渡す、つまりミスによる自滅を招いてしまえば勝利を手繰り寄せるのは難しい。相手の状態にかかわらず、まずはミスを減らして自分たちのサッカーを90分間続けることが、勝利を手に入れるための近道となる。
ここ2試合、スタメン出場している岡野洵が言う。
「(甲府戦に向けては)自分自身が勝ちたいという気持ちを全面に出してプレーをしたいです。熱くなりすぎず、冷静に。勝てていない中でも自分から良い流れを作りたい。“勝利に向かう気持ち”を発信していきたいです」
当たり前のことを、当たり前にやること。敵地では決して簡単なことではないが、何より“勝利に向かう気持ち”をピッチで表現することが求められている。ここが前半戦の正念場だ。
フアン エスナイデル監督
甲府も難しい状態にいると思います。良い状態ではないと思いますし、それは勝点でもそうです。ただ良い選手がいますし、相手にプレゼントを渡せば渡すほど、我々のやれることが少なくなります。甲府だからということではなく、どんな相手であってもいろいろなことを相手に譲ってしまえば、それだけ相手は大きく成長してしまいますし、勝たれてしまいます。自分自身で確実にプレーできるようにすれば、これから先もっと勝てる試合が多くなると思います。昨シーズンもそれは証明できましたし、今シーズンも良い試合を見せたときにはそれが証明されていたと思います。もちろん甲府も本当に良いチームですが、私たちも負けないくらい良いチームだと思っています。実際に、良い試合を見せてきています。私は、このチームは素晴らしいと思っていますし、このチーム自体がそれを実感してほしいと思っています。
佐藤 優也
(福岡戦を振り返ると)先制されてもすぐに追い付いたことまでは良かったのですが、失点が続いてしまったことは反省点です。負けているとはいえチームの雰囲気は悪くありませんし、自分たちでネガティブな方向にもっていきたくもありません。みんなで良い雰囲気を作って現状を打破しようとトレーニングからやっているので、次はしっかりと勝利を収めることができれば良いと感じます。
アウェイの甲府戦で一つ勝って、次のホーム(岡山戦)に勢いをもって来られればと思います。でも(大切なのは)目の前の一つひとつです。昨シーズンから自分たちのスタイルをやっている中で、どう勝利に持っていくのか。それができれば、もっともっとチームは良くなると思います。
増嶋 竜也
トレーニングはずっと変わらずやってきているので、試合の感覚は変わりなくできると思います。楽しみな部分のほうが大きいです。(試合を外から見ていて)一人ひとりの助け合うという部分が少し足りなかったり、カバーし合う距離が少し長かったり、一つのミスで失点になってしまうことがあるので、もし自分が出たら距離感などを埋めて、そういった部分を少しでも直していければと思います。
甲府にいたのは約10年前(2007年)なのでなんとも言えませんが、(柏在籍時の監督で、現甲府監督の)吉田達磨さんのサッカーは自分も好きですし、楽しいサッカー・嫌なサッカーをしてくると思うので、そういうチームに対してしっかり守って勝てればと思います。お互いにあまり勝てていない状態なので、先制点が大事になってくると思います。そこを意識して臨みたいです。
岡野 洵
(福岡戦は)アウェイでなかなか勝てない中での試合で、自分たちがやるべきことは明確だったのですが、裏に蹴られて失点をしてしまいました。ラインを“上げる・下げる”のメリハリをしっかりとやり、臨機応変に対応ができれば結果は変わっていたと思います。
(甲府戦に向けては)自分自身が勝ちたいという気持ちを全面に出してプレーをしたいです。熱くなりすぎず、冷静に。勝てていない中でも自分から良い流れを作りたい。“勝利に向かう気持ち”を発信していきたいです。(失点を)ゼロに抑えたいとみんなが思っています。個人としても何も満足する結果を出していません。もっと自分がやれることはあると感じています。勝つプレーにこだわっていきたいです。
熊谷 アンドリュー
アウェイでは毎試合何か起きていたので、もう何が起きても切り替えてやろうという意識をチーム全体で持って(福岡戦に)臨んだのですが、やはり失点を引きずる感じが少し出てしまって、相手も徹底してきた中で苦しい展開になってしまいました。すぐに追いつけたことはいつもと違うかなと思いましたが、集中していないわけではないものの、もったいないミスが続いてしまっているなという感じがします。なかなか勝てないなかサポーターの皆さんが多く来てくれている中で、やっぱりもう少し自分たちがファイトしている姿を見せないといけないし、応援してくれている人たちのためにも、もっともっとやらないといけないと思います。
アウェイでまだ1回も勝っていなくて、そろそろ勝たないと本当にまずいので、甲府戦はアウェイですが自分たちのサッカーでしっかり勝って、流れを自分たちのものにしたい。流れを良くしたいと思います。
茶島 雄介
アウェイに変な意識はないのですが、この前(福岡戦)のように入りのところで失点をしてしまうのは良くないので、修正したいです。すぐに追い付けたことは良かったのですが、ロングパス1本でやられてしまったのは良くない部分でした。
(甲府戦に向けて)相手はホームで勝っていない状況ですが、油断はできません。J1のときと少し変わっていてどう来るか分かりませんが、攻撃的になっている印象を受けます。対面の相手に負けないようにしたいですし、前線には良い選手もいるので一発でやられないようにしないといけません。失点の仕方が同じように続いているのは良くない。相手の対策というよりは、“個人がどう集中するか”、そこを全員が意識してやらないといけません。
船山 貴之
(福岡戦を振り返ると)自分たちの自滅です。守備でも攻撃でもミスが多く、判断も悪くシュート数も少なかった。サッカーではミスが多いほうが負けるのは当然です。(ゴールシーンは)ラリベイ選手がうまく落としてくれて、冷静に打てました。あの位置であれば決め切る自信はあります。ただ、ゴールをしただけでは意味がありません。チームを助ける仕事ができなかったことが反省点です。
(甲府戦に向けて)チームの雰囲気は悪くありません。しっかりとチームとして前を向いていれば、良い波や状態は必ず来ます。そこまで辛抱強くチーム全体で踏ん張っていきたいと思います。
[前節の結果/甲府]
愛媛 0-0 甲府
[前節の布陣/甲府]
[前節の布陣/ジェフ]
[最近の戦績/甲府]
03/25 岡山 1-0 甲府
04/01 岐阜 3-4 甲府
04/07 甲府 1-1 水戸
04/14 甲府 0-1 松本
04/21 愛媛 0-0 甲府
[過去の対戦成績]
07/06/17 千葉 3-2 甲府
07/10/06 甲府 0-1 千葉
10/06/12 甲府 2-2 千葉
10/10/31 千葉 1-2 甲府
12/06/09 甲府 0-2 千葉
12/07/22 千葉 0-1 甲府