スタメンは4-3-1-2の布陣。GKはロドリゲス。最終ラインは右から茶島雄介、近藤直也、増嶋竜也、高木利弥の4人。中盤は右に山本真希、左に矢田旭、アンカーに熊谷アンドリューが位置し、ラリベイと指宿洋史が並ぶ2トップの背後に船山貴之が入った。
前半は相手を圧倒する素晴らしい内容だった。立ち上がりからボールの主導権を握って相手を押し込むと、16分に先制点を記録。大きなサイドチェンジから中盤で前を向いた山本が縦にクサビのパスを入れ、ラリベイが落としたボールを山本が左に展開。このパスを受けた矢田が外側を走った高木に預け、余裕を持ってクロス。ゴール正面に飛び込んだ指宿が打点の高いヘディングシュートを叩き込んだ。
指宿が振り返る。
「トシ(高木利弥)からすごくいいボールがきたので、僕は合わせるだけでした。前節もすごくいいボールが来ていたんですが、僕がそこに入れていなかった。今日はそこを意識していたし、信じて飛び込めばいいボールが入ってくる。そこはすごく良かったと思います」
その後の時間帯もジェフの攻勢は続き、速く正確なサイドチェンジと2トップのポストプレーを駆使しながら相手を押し込んだ。ところが、迎えた32分に失点。GKロドリゲスのミスキックを相手に拾われ、増嶋の懸命のクリアも相手ボールに。山口のFWオナイウ阿道を起点とするショートカウンターによってジェフの左サイドを突破されると、最後はオナイウにゴールを許し試合は振り出しに戻った。
しかし直後の38分、やや劣勢に立たされていたジェフが勝ち越しゴールを奪う。
左サイドへの展開から矢田が突破を仕掛け、クロスを放り込む。指宿のヘディングシュートは相手GKに弾かれたが、そのボールに反応した指宿が右足を伸ばして押し込んだ。
1失点を喫したとはいえ、終始攻撃的な姿勢を見せた前半は充実の内容。2-1と1点リードのまま、試合は後半を迎えた。
前半から一転、後半は我慢の時間が続いた。
システムを変更した山口はアグレッシブな姿勢を取り戻し、ジェフを押し込んでゴールを狙う。ジェフは55分にラリベイが決定機を迎えるが、これを決めることができずにペースを引き戻せない。57分に、59分には山口の決定機をGKロドリゲスがビッグセーブで阻止。一進一退の攻防は、時間の経過とともに山口へと傾き始めた。
フアン エスナイデル監督は66分に山本に変えてMFホルヘ サリーナス、69分にはラリベイに代えてDF鳥海晃司を投入し、相手に対応するためシステムを3バックに変更。77分には疲れの見えた茶島に代えてDFゲリアを送り込んだ。
しかし、これらの選手起用は劣勢を挽回する特効薬とはならず、試合時間が残り10分を切ると山口の攻勢がさらに勢いを増した。そして、迎えたアディショナルタイム。ゴール前に押し込まれたジェフは無念の同点ゴールを喫し、試合は2-2のドローで決着した。
もっとも、指揮官も選手も充実の内容をポジティブに捉えている。エスナイデル監督が言う。
「唯一のネガティブな点は、結果だけです。最後の15分くらいはあまり良くなかったので少し残念に思いますが、本当に素晴らしい試合をしてくれたと思います」
増島も同調した。
「もちろん、3点目、4点目を奪えるチャンスがあったことを考えれば、それを決めきれなかったことは課題です。でも、全体的にポジティブに捉えていい試合だったと思いますし、自信を持っていいと思います」
次なる戦いは天皇杯。ジェフはホーム・フクアリにラインメール青森を迎える。