支配率で圧倒も「完敗」。

ボール支配率では圧倒的に相手を上回りながら、セットプレーから２失点。ジェフは５試合ぶりの黒星を喫した。

スタメンは４-３-１-２の布陣。GKはロドリゲス。最終ラインは右から山本真希、近藤直也、増嶋竜也、高木利弥の４人。中盤の中央に熊谷アンドリュー、その両脇に矢田旭とホルヘ サリーナスが入り、トップ下に船山貴之が位置。２トップにはラリベイと指宿洋史が並んだ。

落ち着いた立ち上がりだった。

構える山形に対してボールの主導権を握ったジェフは、12分、熊谷のサイドチェンジから高木がクロスを上げ、指宿が競り合ってこぼれたボールを船山がボレーシュート。その後もピッチを広く使ったサイド攻撃を試みるが、決定機を作ることはできず。逆に22分、相手にCKを与えると、FW阪野豊史にヘディングシュートを決められて先制を許した。

攻撃の良い形が見られたのは30分。矢田が左サイドに展開すると、高木が突破を試みてチャンスメイク。セカンドボールを立て続けに拾ったジェフは波状攻撃を見せた。しかし、その流れで獲得したFKは決まらず、その後の攻撃の停滞を見た指揮官は、船山を右、指宿をトップ下、サリーナスを左とする４-２-３-１に変更した。

矢田旭が言う。

「試合の入り方が良くなかったと思います。特に前半はボールを持っているけどゴール前に行けない。もっとボールを速く動かして、いい状況を作って仕掛けなきゃいけない。今日はそれができなくて、相手に対応されていました」

１点のビハインドで迎えた後半も、早い時間帯から手を打った。後半開始と同時に高木に代えてMF為田大貴を投入し、サリーナスを左サイドバックに変更。55分には山本に代えて溝渕雄志を投入した。

しかし直後の56分、またしてもセットプレーから失点。ハーフウェーライン付近からのFKを再び阪野にヘディングで決められ、ビハインドは２点に広がった。

為田は得意とするドリブル突破で存在感を示した。64分には左サイドを突破してクロス。溝渕のシュートは相手にブロックされたが、その後もジェフは左サイドを起点とする攻撃に活路を見いだした。71分には船山に代えてFW清武功暉を投入。ボール支配率はさらに高まり、チャンスをうかがってパスを回す時間帯が続いた。

反撃弾が生まれたのは81分。左サイドでパスを受けた為田が軽快なステップで相手をかわし、クロスを放り込む。ニアサイドで合わせたのはラリベイ。ヘディングシュートがゴールに突き刺さり、１点差に迫った。

ジェフの猛攻は最後まで続いた。残り時間が５分を切ると、近藤が最前線に上がって起点を作った。しかし、４分間のアディショナルタイムを使ってもゴールは生まれず、1-2のまま試合終了。第10節アビスパ福岡戦以来となるアウェイでの黒星を喫した。

熊谷アンドリューが振り返る。

「後半はタメ（為田）が入ってサイドで勝負するシーンは作れましたけど、相手もカバーする選手を入れてきたり、対策を取っていました。そういう中で、攻撃にはもう少し工夫が必要だったと思います。サイドで数的優位を作って、そこからの工夫がないとチャンスを作れない。厳しい状況ですけど、またチーム一丸となって勝ちにこだわるサッカーをやらなければいけないと思います」

次節はホーム・フクアリに戻って愛媛FCと対戦する。ここが正念場だ。