「終盤の失点さえなければ「ほぼ完璧」と言っていい前半だった。
スタメンは4-4-2の布陣。GKはロドリゲス。最終ラインは右から茶島雄介、近藤直也、増嶋竜也、高木利弥の4人。中盤はダブルボランチに熊谷アンドリューと矢田旭、右に船山貴之、左に為田大貴が入り、2トップに指宿洋史とラリベイが並んだ。
松本山雅FCの反町康治監督が「大人と子どものような」と表現するほど、ジェフは立ち上がりから松本を圧倒した。
最終ラインでボールを動かす際には、2センターバックの間にボランチの1枚が下りてきて3人が並ぶ。両サイドMFが高い位置を取った状態からインサイドに走り込み、5バック気味になる相手の両サイドを引き連れてスペースを作った。そこに、サイドバックが飛び込んでフリーの状態でパスを受ける。ジェフの戦略的なサイド攻撃に相手は対応できず、面白いようにパスが回った。
先制点は11分。右コーナー付近で獲得したFKを矢田旭がゴール前に放り込むと、クリアしようとした相手DFの頭をかすめてゴールへ吸い込まれた。追加点は25分。左サイドを突破した高木のクロスは相手に弾かれたが、それを拾った船山が胸トラップから左足ボレーシュート。ボールはゴール右隅に吸い込まれ、ジェフがリードを2点に広げた。
悔やまれるのは前半終了間際の43分に喫した失点だ。
ジェフの右サイド、ゴールまで約40メートル付近でFKを与えた。松本のMF岩上祐三のキックは増嶋の頭を越えてワンバウンド。意表を突かれたGKロドリゲスは反応できず、そのままジェフゴールに吸い込まれた。
DAZNの集計によるボール支配率は72%。内容を見れば「ほぼ完璧」な前半だったが、後半に入ると流れは一変する。
前からのプレスを強めた松本に押し込まれ始めた59分、カウンターを仕掛けようとした瞬間に敵陣でボールを奪われると、押し上げた最終ラインの背後にスルーパスを通される。独走した松本の快速FW前田大然が近藤をかわして放ったシュートは、ゴール右隅に突き刺さった。
さらに直後の61分、相手のハイプレスに押し込まれ、近藤はロドリゲスにパス。しかしトラップが流れて前田直輝にボールを奪われると、そのままゴールを奪われて松本に逆転を許した。
フアン エスナイデル監督は63分に為田に代えて乾貴哉、68分には茶島に代えてゲリアを投入して流れを変えようとしたが、松本の勢いは衰えることなく、その後もプレスを受けてボールロストを繰り返す展開が続き、ジェフは攻撃のリズムを失った。
迎えた80分。ジェフの左サイド、コーナー付近で与えたFKはファーポストまで流れ、飛び込んだ松本のMFパウリーニョがダイビングヘッド。これで2-4となり、ジェフの反撃は最後まで実らず試合終了を迎えた。
船山はこう話した。
「今日は自分たちのミスです。本当に。それに尽きると思います」
悔やまれる敗戦となったことは間違いない。前半戦は残り1試合。この悔しさを、次の一戦にぶつけるしかない。