試合前に選手たちに伝えたことがあります。我々は、昨シーズン築き上げたアイデンティティをもう一度取り戻すと。それは、プレッシャーであり、アグレッシブさです。これほどの大敗を喫した直後に言っても理解してもらないかもしれませんが、こんな試合にもかかわらず、私はかなり満足しています。満足できるプレーを見ることができました。信じてもらえないかもしれませんが、それが事実です。

そうした意味で、次の日曜日にも「勝ちにいきたい」という思いを維持することができれば、間違いなく勝つと思います。負けた試合の後はいつも心が痛いのですが、今日の試合では、試合前に選手たちに話したことがピッチ上でいくつも表現されていました。これを続ければ勝つと信じていますし、もちろん、多くのミスを犯してしまったので、そこは修正したいと思います。

――１失点目の前後でチームが大きく変わってしまったように見えました。

確かに、（失点直前の）PKまでは相手より上だったと思います。私はその内容に満足していましたが、１失点目を喫した後に（チーム全体が）迷ってしまった。その迷いが次第に大きくなってしまったのですが、神戸のようなチームを相手にすればその代償は大きくなってしまいます。相手は簡単にゴールを決めたように見えますが、相手がやっていることも決して簡単ではありません。いいクロスを上げなければならないし、マークを外す動きもしなければならない。彼らは彼らでチャンスを作り、それをモノにしました。我々にもチャンスはありましたが、同じように活かすことができませんでした。

ただ、失点以外の部分については、私はチームがいい状態になると信じています。もちろん、良くするためには修正し、改善しなければいけません。

悔しいですけど、結果を受け入れて次のリーグ戦に向かいたいと思います。僕が出場した時はすでに４失点していたので、まずは１点でも取り返そうという思いでピッチに入りました。悔しいですね。ただ、前半はすごく良かったと思います。失点するまではウチの形ができていたし、前からしっかりとプレスに行くこともできていました。相手にチャンスを作らせることもなかったので、そこはポジティブに捉えたいと思います。

（得点シーンについては）とにかくやるしかないと思っていたので、いい形で前を向けた時に「勝負しよう」と思いました。それが、思ったよりうまくいったという感じです。シュートがいいコースに飛んでくれたので良かったです。

１点入れられてからバタバタと崩れてしまいました。これはリーグ戦でもあったことなので、自分が入ってどうにか変えたいと思っていましたけど、いい波を作れずに失点を重ねてしまったという感じです。最初のほうは形を崩さずに、僕とマスさん（増嶋竜也）、エベ（エベルト）とマスさんの間でうまく連係が取れていたと思うのですが、１点取られてから全体的に重心が後ろになってしまったと思います。ワンテンポ遅れて相手のFWにフリックされるようなシーンがいくつかあったので、ああいうところでも“行き切る”ようにしないといけないかなと。もっとメリハリを持って、もう少しアグレッシブに戦えていれば結果は違ったのかもしれません。

チームにとっても自分にとってもこの試合は大事で、チームとしてはJ1のチームを相手にどこまで通用するかを確認する試合でしたし、自分としてはめぐってきたチャンスを活かせるかという試合でした。自分の長所を試合の中で出したかったのですが、結果のとおり、もっと何かできたんじゃないかと思うシーンがあるし、大量失点は悔しいです。ただ、下を向いても仕方がないので、しっかりと今後につなげたいと思います。

スコアだけ考えるとネガティブな意見が出やすいと思います。もちろんいい結果ではありません。ただ、試合後の選手の発言にネガティブなものはなく、逆に「やれる」という手応えが多くありました。失点するまでは完全にウチのペースだったし、個々の能力についても差を感じなかったと。そういう言葉が選手たちの口から出るということは、自分たちはまだ死んでいない。まだ立ち直れると感じたからこそ、下を向く発言がなかったんだと思います。これをリーグ戦で証明しなければいけないと思います。

今日はこれまでよりも前から奪いに行く姿勢を強く出せた試合だったと思います。失った後にしっかりと守備をして、相手のミスを誘うこともできていた。そういう姿勢が出せていたと思うし、ボールの動かし方についても、なるべく前に運ぼうとする意識がありました。そこはウチのストロングポイントでもあるので、次につなげたいと思います。