第22節を終えて8勝4分10敗。シーズン後半戦に突入して16位という順位を考えれば、厳しい状況に追い込まれていると言わざるを得ない。
リスタートの意気込みで臨んだ後半戦の初戦、前節の大宮アルディージャ戦はラリベイのゴールで先制点を奪いながら、攻撃陣にタレントを揃える大宮の反撃を受け、3失点を喫して逆転負け。指揮官は「またしても前半と後半でまったく違う内容のゲーム」と話し、なかなか改善の兆しが見えないチームの現状を口にし「顔を上げて戦い続けるしかない」と続けた。
その3日後に行われた天皇杯3回戦では、J1リーグに所属するヴィッセル神戸と対戦。このゲームでも前半30分まで主導権を握り、むしろ相手を上回る内容でゴールに迫った。しかし、獲得したPK失敗を機に流れが変わり、前後半いずれも3失点ずつを喫して1-6で大敗した。
それでも、この試合には光明もあった。
試合前、選手たちに「昨シーズン築き上げたアイデンティティをもう一度取り戻す」と語ったフアン エスナイデル監督は、特に前半立ち上がりから見られたアグレッシブなハイプレスと攻撃姿勢に確かな手応えを得た。試合後には佐藤勇人も同様の感触を口にし、「自分たちはまだ死んでいない」と力強く話した。
大敗を喫した直後の強気のコメントだ。それを次のゲームで証明する必要がある。
ホーム・フクアリに迎える相手は、ツエーゲン金沢。天皇杯3回戦ではJ1のセレッソ大阪に0-3と完敗したものの、J2リーグでは最近5試合で2勝3分と無敗。ジェフと同勝点の13位だが、前節は上位争いを演じるレノファ山口FCと対戦し、強い雨が降る悪条件の中で一時は逆転に成功した。試合は2-2のドローに終わったが、チーム状態が上向きであることは間違いない。特に、マラニョンや清原翔平ら個性豊かなタレントが揃う攻撃陣には警戒が必要だ。
もっとも、ジェフが立ち向かうべき相手は“己”にある。指揮官が言う。
「すべてが私たちに依存をしていると思っています。昨シーズンより、自分たちへの依存度は、高くなっているでしょう。なので、昨シーズンのあの“魂”を呼び起こすというか、取り戻すことが大切だと思います。また、見ている人へ伝染させるような試合をすること。それが必要です」
攻撃陣のキーマンでチーム内得点王の船山貴之は、「ガムシャラ」さを強調した。
「(金沢との)アウェイでの対戦では負けています。自分たちはチャレンジャーという精神でガムシャラにやれなければいけませんし、上位に行くためにも一戦をしっかりと戦って相手を食っていかないといけません。今は目の前の試合に集中して、プレーをするだけです」
前に進むためには、結果を残すしかない。天皇杯でつかみかけた「昨シーズン築き上げたアイデンティティ」を取り戻し、それをピッチで体現してホームでの追求する。勝点3のために、ガムシャラに戦うだけだ。
フアン エスナイデル監督
(金沢のことよりも)私たちのことを考えたほうがいいと思います。私たちは良い状態にあります。金沢がどのようにやってくるかは分かっていますし、それは金沢にとっても同じだと思います。ただ、大宮戦、神戸戦でも、それは同じでした。
少し大げさかもしれませんが、このあいだの神戸戦、多くの時間帯で相手より上だと感じたところがありました。1-6で負けたあとに「相手より上だった」というのは(本来は)言えません。ですが、感覚としては(ジェフが)良いサッカーをしていたというのが、正直な感想でした。もちろん、良いディフェンスをしなければいけませんし、そういう意味ではすべてが私たちに依存をしていると思っています。昨シーズンより、自分たちへの依存度は、高くなっているでしょう。なので、昨シーズンのあの“魂”を呼び起こすというか、取り戻すことが大切だと思います。また、見ている人へ伝染させるような試合をすること。それが必要です。
近藤 直也
勝点3は(金沢戦に限らず)毎試合欲しいものですし、次はホームの試合なので負けられません。1週間前のリーグ戦では大宮に敗れていますし、金沢とのアウェイゲームでもやられているので、しっかりと勝たなければいけない試合だと思います。どんな相手でも勝てるという保証はありませんが、まずは自分たちがやるべきことをやって、勝利をつかみたいです。後ろ(守備陣)から見て気になることは、前線の選手に伝えています。細かいことをそれぞれが実践することで、失点を減らせていけるかが大事になると感じます。後ろがラインを上げて前が行くという順番ではなく、前がプレスかけることで連動することを徹底したいと思います。
乾 貴哉
前回の金沢戦は自分はまだリハビリ中で試合に出ていなかったということもあり、“金沢に対して”ということはあまり考えていません。出場した前の試合からの修正と、試合に出たときの自分のプレーのイメージを持って、試合に臨みたいと思っています。(負傷から復帰してからの)プレーは問題なくできているので、あとは味方ディフェンスとの声のかけ方やポジショニングなど気をつけていきたいと思います。トレーニングではそういったところもできてきているので、あとは試合でどう表現していくか次第です。
大宮戦でも相手の良い時間帯に失点を許してから流れを渡してしまいましたし、天皇杯を見ていても、流れは大事なものだと感じました。流れが相手に渡るときがあったとしても、そこからまた取り戻すプレーをしていきたいです。守備だけでなく、セットプレーの攻撃でも自分の能力を出せたらと思います。
熊谷 アンドリュー
(天皇杯の神戸戦は)前から行ってしっかりボールも奪えていたのですが、ミスから立て続けに失点してしまいました。今シーズンはずっとそういうシーンが続いているので、そこは今すぐ改善しなきゃいけないですね。神戸戦は本当に悔しかったですが、切り替えて次の金沢戦に向けてやっていくしかありません。まずはミスをなくすということが一番なので、そこは一人ひとりが気を付けて、あとはもう勝ちたいという気持ちでやっていくしかないと思います。
(金沢は古巣で)お世話になった人もいっぱいいるし、成長した姿を見せないといけないと思いますが、自分たちはどの相手に対しても勝利しか求めていないので、どこが相手でもしっかり勝ち切れるようにやっていくだけです。サポーターの皆さんも多く来てくれているので、自分たちも戦っている姿をしっかり見せて、みんなで勝利の喜びを分かち合いたいと思います。
小島 秀仁
(天皇杯の神戸戦は)難しい時間帯から入りましたが、交代で出たからには何か変えないといけないと思っていました。プレー云々ではなくて、全部の気持ち、球際や一つひとつのプレーに気持ちを込めるということを意識してプレーしました。失点したあとのリアクションとして、どうしても続けて失点してしまうのが今のジェフの現状です。そこで(相手を)抑えられないというところに、自分たちの気持ちやメンタルの弱さが出ていると思います。そこは全員で意思統一して失点しないことを考えないと、この先勝っていけないと思います。
(金沢に対しては)一度負けた相手にまた負けたら男としてやっていられない。この2試合(大宮戦、神戸戦)で無様な試合を見せてしまったし、でも自分たちのやっていることを信じてこれからもやり続けるだけだと思います。勝つことだけを考えたプレーを見せていきたいです。
清武 功暉
天皇杯(神戸戦)では途中出場でトップ下に入って、良い形で(ボールを)触ることも多かったし、良いクロスを上げることもできました。自分の中の感触は悪くなかったです。ただ、迎えたチャンスで決めていかないと、今後のリーグ戦でも厳しい戦いになってくると感じました。
(リーグ戦では4試合連続で先制点を取っているものの)先制後の試合運びが難しくなっているところはあります。守備の大事さもありますけれど、僕はやはり攻撃の選手なので、複数得点を取っていくことを大事にしていかなければいけないと考えています。金沢はいま調子も良く、良いサッカーをしている印象です。一人ひとりにマンツーマンでついてくることが多いイメージなので、攻撃陣としてはそのマークをはがしてプレーすることが大事になります。結果でサポーターの皆さんを喜ばせたいですし、しっかり勝利をつかみたいと思います。
船山 貴之
神戸戦を見た正直な感想は、そこまで本当に差がないというか、(勝敗を分けたのは)“1点を決め切る力”だと感じました。負けているので良くは言えませんが、全部が全部悪かったというわけではないと思っています。
(前回の金沢戦で決めたゴールの)あの距離感は良かったと感じます。今はワイドをやっているので、右サイドで三角形を作れたら良い形になります。茶島選手との連係もお互い気を使いながらできていますし、彼はスピードがあるのでポジションが悪くても追い付くことができます。ただ、(金沢との)アウェイでの対戦では負けています。自分たちはチャレンジャーという精神でガムシャラにやれなければいけませんし、上位に行くためにも一戦をしっかりと戦って相手を食っていかないといけません。今は目の前の試合に集中して、プレーをするだけです。
[前節の結果/金沢]
金沢 2-2 山口
[前節の布陣/金沢]
[前節の布陣/ジェフ]
[最近の戦績/金沢]
06/16 金沢 2-0 栃木
06/23 金沢 0-0 熊本
07/01 岡山 3-3 金沢
07/04 甲府 1-3 金沢
07/07 金沢 2-2 山口
07/11 C大阪 3-0 金沢(天皇杯3回戦)
[過去の対戦成績]
16/04/09 千葉 1-0 金沢
16/11/06 金沢 1-2 千葉
17/05/07 金沢 2-1 千葉
17/07/22 千葉 2-0 金沢
18/04/08 金沢 3-1 千葉