立ち上がりの悪い流れから先制点を奪われ、それでも前半のうちに同点ゴールを奪い、後半に入ってギアを入れ替えると相手を圧倒して2点を奪った。しかし、勝利に近づいたかに思えたゲームも、そこからまさかの3失点。再びツエーゲン金沢に傾いた流れを止めることができず、3-4で敗れた。
スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは佐藤優也、3バックは右から岡野洵、増嶋竜也、エベルトと並び、中盤の右サイドに茶島雄介、左サイドに乾貴哉、ダブルボランチに熊谷アンドリューと小島秀仁が入った。2列目は右に船山貴之、左に為田大貴。1トップにはラリベイが位置する。
天皇杯3回戦のヴィッセル神戸戦で攻守における“アグレッシブさ”への手応えをつかんだチームは、しかしこの試合の立ち上がりはそれを発揮することができなかった。
6分、11分、12分と立て続けにピンチを招き、迎えた13分に失点。左サイドを崩されるとアーリークロスを放り込まれ、最後は宮崎幾笑に押し込まれて先制点を献上した。その後もピンチは続き、連続でCKを奪われるなど押し込まれる時間が続いた。
フアン エスナイデル監督は、20分を過ぎたあたりで動いた。システムを4-2-3-1に変更し、岡野を右サイドバックにスライド。35分にはその岡野に代えて山本真希を投入し、ここに攻撃の起点を作ることで流れを引き寄せた。38分と40分には右サイドからチャンスを演出。42分には小島、茶島、ラリベイとつなぎ、最後は茶島がシュートを放って惜しいシーンを作った。
相手を押し込んだジェフは、最高のタイミングで同点ゴールを奪った。45+1分、CKに飛び込んだ増嶋のヘディングシュートは枠を外れたが、ファーサイドで待ち構えたラリベイが押し込む。前半のうちに試合を振り出しに戻したジェフは、迎えた後半、さらに勢いを加速させて相手ゴールに迫った。
2つのゴールはいずれもセットプレーから生まれたものだが、そのチャンスを作る原動力となったのは“ハイプレス”だった。前線から激しく、連動した守備で相手を押し込み、ことごとくセカンドボールを拾って連続攻撃を仕掛けた。
50分、その結果として呼び込んだFKからエベルトのヘディングシュートが決まり、逆転に成功。さらに55分にはCKから増嶋のヘディングシュートが決まり、リードを2点に広げた。後半開始から70分までの25分間は、間違いなく試合の主導権をジェフが握り続けた。
しかし、ここから金沢の猛反撃を受ける。茶島に代えてホルヘ サリーナスを投入したジェフは4-3-3にシステムを変更したが、相手の攻撃にうまく対応できずに押し込まれる時間が続いた。74分と76分には、いずれもサイドを崩されて失点。3-3の同点とされると、迎えたアディショナルタイム、PKを決められて再逆転を許す。70分以降は崩れてしまったチームをピッチ内で立て直すことができず、3-4のまま試合終了を迎えた。
「これが現実」。厳しい表情を浮かべた為田は、こう続けた。
「監督を信じて、チームメイトを信じて、もう一度練習からやっていくだけだと思います。自分たちがやりたいことができる試合とそうでない試合があって、ただ、それはどのチームにも言えることだと思います。そういう中で、今日みたいに1点取られても3点取るという展開を作ることが大事だし、そこまでは良かった。そこからの試合運びをもう一度整理して、分析して、次の試合に向かいたいと思います」
ショックは小さくない。それでも、信じて前に進むしかない。