4試合ぶりの勝利に、フクアリが沸いた。
この日のスタメンは4-3-3の布陣。GKはロドリゲス。最終ラインは右から溝渕雄志、近藤直也、エベルト、乾 貴哉の4人。アンカーのポジションに熊谷アンドリューが入り、両脇に茶島雄介と工藤浩平が位置。前線は右サイドに船山貴之、左サイドに清武功暉、中央にラリベイが並んだ。
試合の立ち上がりから、ジェフは“やるべきこと”をまっとうした。近藤直也が言う。
「昨シーズンに作り上げたサッカーをもう一度取り戻そうということで、最終ラインを高く設定して、前から積極的に奪いにいく。いろいろとチャレンジしてきましたけど、原点に戻ることで監督が求めるジェフらしさを取り戻そうとしました。そういう意識を徹底できたゲームだったと思います」
最終ラインを高く保ち、前線からアグレッシブなプレスを仕掛けてボールを奪う。奪ってから素早くサイドに展開し、相手を押し込んでチャンスを作る。昨シーズンに築き上げたスタイルで、ジェフは相手を圧倒した。
さらに、8年ぶりのフクアリ帰還となった工藤浩平が、縦横無尽の動きとテンポの良いパスワークで攻撃にアクセントを加えた。工藤は積極的にパスを受けて配り、配っては前線に飛び出して突破口を作る。5分には左サイドからチャンスを演出。清武のクロスを引き出した。
中盤の活性化は明らかだった。茶島が振り返る。
「(工藤)浩平さんと(熊谷)アンドリューとの距離感をいつもより近くすることを意識しようと話していました。自由に浩平さんと自分が入れ替わったりしながら流動的にプレーできたと思います。僕自身もパスを出して動いて、出して動いてを繰り返しながらゴールに向かっていくプレーを得意としているし、そういうプレーは出せたと思います」
ところが、先制点は甲府に生まれる。いい流れで迎えた15分、右サイドで与えたFKから金園英学にヘディングシュートを決められた。
それでも、今日のジェフは崩れなかった。21分には乾のクロスをラリベイが落とし、ペナルティエリアの外で待ち構えた茶島がミドルシュート。これがゴール左隅に決まって同点とした。その後は再び流れを引き戻し、1-1ながら大きな手応えを持って後半の戦いに臨んだ。
やや運動量が落ちて後半は選手間の距離感が徐々に遠くなり、セカンドボールを拾われて押し込まれる時間が続いた。ハイラインの裏を突かれるピンチもたびたび迎えたが、チーム全員で身体を張って相手の勝ち越しゴールを阻止した。
挽回を図るジェフは58分に茶島に代えて矢田 旭、68分に清武に代えて為田大貴を送り込み、サイドを広く使う攻撃で再びチャンスを作り始める。そして迎えた82分、前線で相手ボールを奪った工藤が右サイドに展開し、矢田がクロス。ファーサイドに飛び込んだ為田がヘディングで合わせ、これがゴール右隅に飛び込んでジェフが逆転に成功した。
いつもと変わらず、最後まで走り抜いた船山が言う。
「チームとして大きな1勝であることは確かです。でも、自分たちはまだまだやれる。次はアウェイですけど、とにかく“いい試合”をしたい。自分たちがやれることをしっかりやる。そういう試合をしたいですね。極端な言い方ですけど、負けても納得できる試合をやらなきゃいけないと思います」
「いい試合」という言葉が持つ意味は、いまのジェフにとって大きい。やるべきことをきっちりとやる「いい試合」をすれば、必ず結果がついてくる。そのことを次の試合でも証明したい。