原点回帰――。
崖っぷちに追い込まれた前節のヴァンフォーレ甲府戦、ジェフは昨シーズン築き上げた「アイデンティティ」を取り戻す“原点回帰”によって待望の勝点3を手にした。
前線からアグレッシブにボールを追いかけるハイプレスでボール奪取を狙い、最終ラインを高く保つハイラインで全体をコンパクトに保ってセカンドボールを拾う。ボールを奪ったら素早く攻撃に転じ、持ち味とするサイド攻撃からチャンスを作った。さらに、8年ぶりにフクアリに戻ってきた工藤浩平がアクセントとなり、積極的にボールを受けて中央攻撃を仕掛けた。
攻撃的なスタイルに伴うリスクから先制点を献上したものの、茶島雄介の豪快なミドルシュートで同点。対策を高じてくる相手の攻撃に対してはチーム一丸となって身体を張り、やや押し込まれた後半も我慢を重ねてサイド攻撃から決勝ゴールを奪った。その戦い方は、まさに昨シーズン終盤を想起させるものだった。
値千金の同点ゴールを奪った茶島雄介が言う。
「みんなの意識は『とにかく次が大事だ!』となっているし、甲府戦の勝利が『次につながる勝利だった』という形にしなければいけないと思うので、とにかく次につなげていけるようにやっていきたい」
フアン エスナイデル監督に代わって指揮を執ったギジェルモ ヘッドコーチは、試合後の記者会見でこの試合を「リスタート」と位置づけた。今シーズンにおけるポジティブなターニングポイントとするためには、もちろん続くアルビレックス新潟戦でも勝点3を手に入れる必要がある。巻き返しの狼煙(のろし)を上げるなら、いましかない。
新潟とは5月12日の第14節で対戦。先制点を奪ったものの後半は主導権を握られ、逆転負けを喫した。ジェフと同様、J1昇格候補の一角に挙げられながら第25節終了時点で17位に位置しているが、個性の強いタレントがそろっている。今夏にはFC東京からMF梶山陽平、ドイツのインゴルシュタットからMF渡邊凌磨を獲得しており、その選手層はさらに充実しつつある。
乾 貴哉が言う。
「新潟とは前回の対戦で逆転負けを喫した嫌なイメージもありますが、自分たちは自分たちのサッカーをやり続けるだけです。ただ、(新潟の)前線には足の速い選手がいるので、相手の布陣などは関係なく、しっかりと目の前の相手について行くこと、守備面でも連係を怠らずにケアをすることを徹底していきたいです」
フアン エスナイデル監督は、この試合に向けても「自分たち次第」であることを強調した。
「私たちが勝利を必要とするのは、私たち自身のためです。相手がどういう状況であるかは、そこまで関係ありません。我々の状況をいち早く解決することが大切だと思っています。甲府戦のあのメンタルの状態をキープし続けることが大切で、あれが我々です。あれができれば、我々のサッカーはできる。それは確信しています。“我々が強くあること”、それが一番のテーマです」
狙うは勝点3のみ。原点回帰で連勝を目指す。
フアン エスナイデル監督
(新潟との前回対戦を振り返り)あの試合は、勝てたと思っています。我々の不注意で、負けてしまった。ただ、勝つだけのことはやったと思います。そして今度の日曜日の試合に関しては、何が起こるかは分かりません。試合が始まるまでは、彼ら(新潟)も私たちも、何が起こるかは分からないでしょう。
新潟も難しい状況で、彼らも勝ちが必要だという状況には変わりないと思います。そういう意味で、今まで以上にメンタル的な勝負になると思っています。緊張感をうまくコントロールできるほうが有利だと思っています。
私たちが勝利を必要とするのは、私たち自身のためです。相手がどういう状況であるかは、そこまで関係ありません。我々の状況をいち早く解決することが大切だと思っています。甲府戦のあのメンタルの状態をキープし続けることが大切で、あれが我々です。あれができれば、我々のサッカーはできる。それは確信しています。“我々が強くあること”、それが一番のテーマです。
ロドリゲス
甲府戦は、非常に良い形でハイプレスをかけることができました。そのおかげで2点を取ることができたと感じます。次の新潟戦でも引き続きハードワークを続けることを止めてはいけません。(大事なのは)相手側に自由にプレーをさせないこと。プレスをかけることで相手にミスが起こるので、毎試合これを続けたいと思います。我々がやってきている“良いところ”を繰り返しプレーをするだけです。自分たちの特長を出せるか出せないかにかかっています。良くも悪くも自分たち次第です。
(失点については)得点をなかなか決めることのできていないゲームでは、特に失点をしてはいけません。失点するのはチーム全体の問題でもありますが、ゴールキーパーとしてもこの問題を真剣に捉え、失点を減らすことに努めたいと思います。
乾 貴哉
甲府戦の勝利は、次につながる勝利です。この勢いを新潟戦につなげたいと思います。新潟とは前回の対戦で逆転負けを喫した嫌なイメージもありますが、自分たちは自分たちのサッカーをやり続けるだけです。ただ、(新潟の)前線には足の速い選手がいるので、相手の布陣などは関係なく、しっかりと目の前の相手について行くこと、守備面でも連係を怠らずにケアをすることを徹底していきたいです。
チームとしては、甲府戦の前半に2点、3点を取れるチャンスがあったと思いました。個人としても相手の背後を狙って行くプレーを増やして、楽な試合運びができるように、最後のクオリティーを上げることを意識したプレーをしたいと思っています。
溝渕 雄志
(久々の先発だった甲府戦は)前からプレッシャーをかけるという戦術の中で、後ろの4枚としてどう相手の攻撃陣を見るのか、自分としてはワイドの選手と3トップの外側の選手の2枚をしっかり見ながら、とにかくまずはそこに集中してやろうと思っていました。ドゥさん(近藤選手)のカバーや、相手のダイアゴナルの動きに対するカバー、ゴール前でのライン上でのクリアなど、そういう部分で気持ちを見せられればいいなと思っていて、その部分でしっかり仕事ができたので、そこは前向きに捉えています。(次のアウェイ新潟戦では)誰が出ても、甲府戦のような力強いサッカーをするべきだと思うし、この勢いをもって新潟にも挑んでいきたいです。アウェイですが、みんなの勝ちたいという気持ちが最後の1点につながると思うので、またそういうサッカーをしていきたいです。
茶島 雄介
とにかく今自分たちに必要だったのは勝つことだったので、(前節の甲府戦で)そこが一つできてホッとしました。ただやはり後半は自分たちがボールをつなげずに、自陣でのプレーが多くなってしまいました。そういうときに近くにつなぐのもいいけれど、ゴールキックなどで一回相手の深いところに入って押し上げて、そこからもう一回自分たちでゲームの主導権を握っていくということをやらないと、ずっと相手の攻撃を受け続けることになってしまいます。そこは次に向けて修正しないといけないと思います。
(新潟戦に向けて)みんなの意識は「とにかく次が大事だ!」となっているし、甲府戦の勝利が「次につながる勝利だった」という形にしなければいけないと思うので、とにかく次につなげていけるようにやっていきたいです。個人的には、甲府戦でちょっと早めに途中交代したので、(連戦でも)体力的には大丈夫です。次も頑張ります。
矢田 旭
(新潟戦に向けては)チームとして自分たちを信じてハイプレスを徹底し、再確認し、あらためて意識付けをして試合に臨みます。新潟戦もその気持ちを出さないと勝てません。それを出せば、良い戦いができて結果も付いてくるので、チャレンジしなければいけないと思っています。
新潟は、勢いに乗せたら怖い相手です。前回、ホームでの対戦では逆転負けをしました。前半は僕らが良いサッカーをしていましたが、受けに回るとやられてしまいます。気持ちの部分からアグレッシブにいければ問題はありません。ここ数試合は良い攻撃ができていなかったり、不安定な戦いが続いていましたが、甲府戦はテンポ良くダイレクトでの崩しもあり良い戦いができていたので継続をしたいと考えます。個人としては、先発出場でもベンチスタートでもしっかりと準備をしていきます。
指宿 洋史
甲府戦で勝てたことは本当に良かった。それに尽きます。何よりもチームとしてアグレッシブな姿勢を出せていたことが大きいです。
(古巣・新潟戦に向けては)久しぶりのビッグスワンでのプレーは楽しみでもあります。新潟サポーターの皆さんも熱いので、その雰囲気に戸惑わされないようにして、自分たちは自分たちらしいサッカーをして、しっかりと勝点3を取りたいと思います。新潟は(自身の在籍時から)選手もかなり入れ替わっていますが、一緒にプレーをしていた加藤大選手はうまい選手です。ただ、そこだけ抑えたら勝てるという保証はありません。(ジェフは)あくまでも自分たちのサッカーで戦うこと、自分たちのアイデンティティーである“ハイプラン・ハイプレス”をピッチで表現することが大事です。とにかくウチは勝点3が必要なので、理想のサッカーを目指しつつ、あとはチーム一丸となって戦うだけだと思っています。
[前節の結果/新潟]
東京V 4-3 新潟
[前節の布陣/新潟]
[前節の布陣/ジェフ]
[最近の戦績/新潟]
06/30 新潟 1-1 水戸
07/07 松本 2-0 新潟
07/11 FC東京 3-1 新潟(天皇杯3回戦)
07/15 新潟 0-1 横浜FC
07/21 山形 1-2 新潟
07/25 東京V 4-3 新潟
[過去の対戦成績]
2008/07/16 新潟 2-2 千葉
2008/10/18 千葉 0-0 新潟
2009/04/29 新潟 2-2 千葉
2009/09/12 千葉 0-1 新潟
2018/05/12 千葉 1-2 新潟