「３つのPKで３点のビハインドを跳ね返し、ジェフは敗戦濃厚と見られたゲームで貴重な勝点１を奪った。

スタメンは４－３－３の布陣。GKは佐藤優也。最終ラインは右から溝渕雄志、鳥海晃司、近藤直也、下平 匠の４人。アンカーのポジションに熊谷アンドリューが入り、両脇に茶島雄介と工藤浩平が位置。前線には右に船山貴之、左に為田大貴、中央にラリベイが並んだ。

迫力を欠いた前半だった。

互いに様子を見合う静かな展開で幕を開けた前半、ジェフはカウンターやサイド攻撃からいくつかのチャンスを作った。11分には新加入の下平が縦パス。相手最終ラインの背後に抜けたラリベイがシュートを放ち、20分には熊谷のロングフィードを受けた為田が得意のドリブルで仕掛けてクロス。こぼれ球を拾った溝渕がミドルシュートを放ち、徐々に相手ゴールに迫った。

人数をかけて厚みのある攻撃を仕掛ける町田と、最終ラインの背後を狙ってカウンターを仕掛けるジェフ。その力関係は、ほぼ互角に見えた。しかし、先制点はジェフにとって不運な形で町田にもたらされる。25分、町田のFKをクリアしようとした鳥海のヘディングは、ジェフのゴールに吸い込まれた。

前半のうちにこの流れを断ち切れなかったことは、この試合の反省点だ。前半終了間際の45分には、ジェフの左サイドから崩され、町田の平戸太貴にゴールを許して２点差となる。フアン エスナイデル監督は後半開始と同時に工藤に代えてMF矢田 旭を投入。その効果はすぐに表れ、矢田はファーストプレーで左サイドを突破し、茶島のヘディングシュートにつながる決定機を演出した。

矢田が振り返る。

「前半は外から見ていて、ウチのリズムも出ていないと感じていたし、相手の勢いに押された展開だったと思います。ただ、相手のハイラインの裏、特にサイドバックの裏については抜ければチャンスになると感じていました。もちろん、ピッチに入る時もそのことを意識していました」

いい流れを予感させた後半の立ち上がりにも、ジェフは失点を重ねた。64分、右サイドから入れられたクロスを再び平戸に決められて、ついにビハインドは３点となった。ところが、ここから流れが変わる。その主役を担ったのは、後半の立ち上がりにチャンスを作った矢田と、３失点目の直前に投入されていた指宿洋史だった。

指揮官が言う。

「流れを変えたのは矢田と指宿です。指宿はゴールに直接的なプレーをしたかもしれませんが、矢田もしっかりとプレーにかかわっていました」

75分には相手のハンドのファウルから、79分には指宿の巧みな反転ドリブルから、そして83分には船山のクロスから再びハンドのファウルを誘って３つのPKを獲得。１点目を指宿、２点目と３点目を船山が冷静に沈め、ジェフはわずか８分間で３点を返し、試合を振り出しに戻した。

大逆転となる４点目を奪うことはできなかったが、３点のビハインドを帳消しにする同点劇の手応えは大きい。佐藤優也が言う。

「０－３の状況でも「チームの雰囲気が落ちなかった」と言うのは嘘になってしまいますけれど、みんなで声を掛け合いながら戦い続けることはできたと思います。そういう姿勢が、勝点１につながったのではないかと思います」

アウェイ戦は続く。次節の相手は水戸ホーリーホック。この勝点１をポジティブに捉え、次なるアウェイ戦の勝点３につなげたい。