記者会見の席に着いたフアン エスナイデル監督は、「不公平な結果に終わってしまいました」と切り出した。
「とても難しいシーズンが続いています。ディフェンスのわずかなミス、個人的なミスによる代償があまりにも大きい。相手のチャンスは少ないのですが、それをゴールに結び付けられています。少ないミスを、さらに少なくするためのトレーニングをして改善しなければなりません」
スタメンは4-4-2の布陣。GKは佐藤優也。最終ラインは右から溝渕雄志、鳥海晃司、近藤直也、下平 匠の4人。中盤はダブルボランチに佐藤勇人と熊谷アンドリューが並び、右に船山貴之、左に為田大貴が位置。2トップに指宿洋史とラリベイが入った。
指揮官の言葉どおり、立ち上がりからジェフが主導権を握った。
前線からプレスをかけて相手のパスコースを限定し、球際を厳しく寄せてボールを奪う。「相手の最終ラインと中盤の間のスペースで指宿にボールを受けてもらいたかった」という監督の狙いどおり、ボールを持てば中間ポジションを巧みに取った指宿の足元に当て、そこから両サイドに展開してチャンスを作った。
先制点は10分。左サイドから攻撃を仕掛け、得意のドリブルから為田がクロス。ファーポスト際で指宿が競り合い、こぼれ球に飛び込んだ下平が冷静に流し込んだ。
「もしかしたらこぼれてくるかなと思っていました。GKがファーサイドのコースを切っていたのが見えていたので、そこは冷静に流し込みました」
ジェフのプレスに押し込まれた東京ヴェルディは、直後にシステム変更を試みて状況の打開を図った。ボール保持時は最終ラインを3枚としたことで、それまで機能していたジェフのプレスに乱れが生じる。
迎えた28分、プレスをかいくぐられたジェフは、右サイドから攻撃を許してクロスを放り込まれ、飛び込んだ佐藤優平に豪快なヘディングシュートを決められて同点。さらに38分、今度はジェフの左サイドからクロスを上げられ、中央に飛び込んできたサイドバックの奈良輪雄太にミドルシュートを決められた。
船山が振り返る。
「ただ、1点取ってから、チームとしてプレッシャーをかけるべきところでかけられなかったり、そういうシーンが出てきてしまって、一発でやられる失点につながったのかなと思います。今日は自分も失点に絡んでしまっているので、自分自身も、先制点を奪ってから安心してしまった甘さが出てきてしまったんだと思います」
巻き返しを狙うジェフは、後半開始と同時にラリベイに代えて町田也真人を投入。システムを4-2-3-1に変更して指宿を1トップ、船山をトップ下、町田を右サイドに据えた。さらに、59分には溝渕に代えて茶島雄介を投入。選手同士の距離感が改善され、ショートパスをつないで何度もチャンスを作った。しかし、決定機がゴールにつながらない時間が続き、72分には一発のカウンター攻撃から藤本寛也にミドルシュートを決められた。
ジェフは81分に途中出場の矢田旭が直接FKを決めたが、“あと1点”が遠く2-3のまま試合終了。鳥海は相手の“一発”を防ぎきれなかったことを悔やんだ。
「僕の感覚では、いい形が作れていると思っていました。そういう状況で、本当に1本のピンチから失点してしまった。後半も相手のチャンスを本当に少なく抑えることができたのに、同じように1本のピンチから失点してしまって。本当に悔しいです」
手応えが結果に結びつかない厳しい状況が続くが、あきらめるわけにはいかない。次節の相手はレノファ山口FC。アウェイの地で、大きなきっかけとなる勝点3を奪いたい。