悔やまれるドロー

スリリングでエキサイティングな試合だっただけに、悔やまれるドローだった。アビスパ福岡を迎えた第33節は、打ち合いの末3-3で引き分け。ジェフは勝点1を手にした。

GKは3試合連続スタメンの大野哲煥。最終ラインは右から溝渕雄志、鳥海晃司、近藤直也、下平匠の4人。ダブルボランチは熊谷アンドリューと小島秀仁。2列目は右に町田也真人、左に矢田旭、トップ下に船山貴之が入り、指宿洋史が1トップに据えられた。

中盤で激しい主導権争いが繰り広げられる、緊張感のある立ち上がりだった。

フィニッシュには至らなかったものの、ジェフは連動したプレスでボールを奪い、攻撃に転じてチャンスを作った。特に、左サイドに流れた指宿が起点を作り、最前線中央に船山が飛び込むコンビネーションからチャンスを演出。積極的に縦につないで攻撃を仕掛け、徐々に相手を押し込み始めた。

しかし、先制点は福岡に生まれる。

13分、ジェフの左サイドからレオミネイロの突破を許し、マイナス方向に転がったグラウンダーのクロスに合わせて後方から走り込んだ鈴木惇が強烈なミドルシュート。これがゴール右上に決まり、ジェフは1点のビハインドを負った。

それでも、わずか1分後の14分、相手最終ラインの背後に飛び込んだ町田が福岡のGK圍 謙太朗に倒されてPKを獲得。ペナルティスポットに立った船山は、これをゴール左隅に冷静に決めて試合を降り出しに戻した。

その後、特に30分以降は福岡のパワフルな攻撃に押し込まれる時間が続いたが、前半は相手の攻撃をよくしのいで1-1のまま終了。勝負の行方は後半に委ねられた。

その立ち上がり、逆転ゴールは意外な形で生まれた。

49分、左サイドのペナルティエリア外で得たフリーキックの場面。船山が直接狙ったシュートは見事な曲線を描いてゴール右上に吸い込まれた。このゴールで勢いに乗ったジェフは、54分、熊谷のスルーパスを受けた船山がクロス。後半から途中出場した為田大貴が胸で落とし、走り込んだ熊谷がミドルシュートを放った。完璧な流れだったが、シュートは枠の外。しかしこの日一番と言える見事なパスワークで相手ゴールを脅かした。

その後は攻勢を強める福岡に押し込まれ、ジェフにとっては我慢の時間が続いた。72分にはフリーキックから失点。吉本一謙にヘディングシュートを決められ、試合は振り出しに戻る。

しかし迎えた82分、近藤が素晴らしいインターセプトからショートカウンターを発動し、右サイドに展開。途中出場の茶島雄介がグラウンダーのクロスを入れ、飛び込んだ船山がこの日3点目となるスライディングシュートを決めた。残り10分弱。勝点3が見えた瞬間だった。

だからこそ、アディショナルタイムに喫した同点ゴールのショックは計り知れない。フアン エスナイデル監督は努めて冷静にこう話した。

「いろいろな要素が詰まった試合でした。勝つために素晴らしい努力をしてくれましたし、それが勝ちに値するものだったかどうかはわかりませんが、チームは最後までハードワークしました。結果を受けて、今はこういう気分ですが、やはり最後の最後まで“勝てそう”というゲームだったわけですから残念です」

次節もホーム。相手は上位争いを演じる横浜FC。この勝点1をポジティブに捉え、前を向いて次の試合を迎えたい。