ホームに横浜FCを迎えたこの一戦は、なんとしても勝利を手に入れたい重要なゲームだった。しかし、ジェフは運を味方につけることができず、圧倒的にゲームを支配する内容を示しながらも勝点3を得ることはできなかった。
スタメンは4-2-3-1の布陣。GKは大野哲煥。最終ラインは右から溝渕雄志、鳥海晃司、近藤直也、下平 匠の4人。ダブルボランチに熊谷アンドリューと小島秀仁が入り、2列目は右に町田也真人、左に為田大貴、トップ下に船山貴之が位置。1トップに指宿洋史が入った。
前半は“構える相手”に対し、ジェフがボール支配率で圧倒した。
守備時に5バックのシステムになる横浜FCは、全体が引いて構え、スペースを消してカウンターを狙う。対するジェフは最終ラインと中盤でパスを回しながら隙を探り、長短のパスを織り交ぜて打開策を模索。「あと一歩」の膠着状態が続く展開の中で、相手を揺さぶって両サイドから攻撃を仕掛け、溝渕のクロスや為田のドリブルからいくつかの決定機を作った。
12分にはゴール正面、ペナルティエリア内で指宿が強烈なボレーシュート。15分には熊谷が長い距離を走って相手最終ラインの背後に飛び出し、近藤からのロングフィードを受けてチャンスを作った。
カウンターを狙う横浜FCに対しては、近藤を中心とする守備陣が冷静に対応。ペナルティーエリア外からいくつかのミドルシュートを受けたものの、決定機を作らせない堅実な守備が光る。迎えた32分、為田が獲得したフリーキックのチャンスから、飛び込んだ近藤がヘディングシュート。しかし惜しくもクロスバーに阻まれると、38分にも下平のクロスからチャンスを作ったが指宿のスライディングシュートはわずかに届かなかった。
ゴールこそ生まれなかったものの、膠着状態の中からジェフはいくつかのチャンスを作った。
後半もゴールに迫ったのはジェフだった。55分には指宿がヘディングシュート。直後の56分には溝渕のクロスがゴールに向かい、わずかに枠を外れた。さらに、60分には再び指宿がヘディングシュート。いずれも“可能性”を感じられるチャンスだったからこそ、ゴールへの機運は高まっていた。
しかし61分、均衡を破る先制点は横浜FCに生まれる。ジェフの右サイドからクロスを入れられ、最初のシュートはポストに当たったものの跳ね返りを齋藤功佑に押し込まれて失点。フアン エスナイデル監督は65分に町田に代えて茶島雄介、76分に船山に代えてラリベイ、同じく76分に溝渕に代えて矢田 旭を投入し、攻撃的な布陣で反撃を試みた。しかし、84分の茶島のミドルシュート、87分の矢田のシュートがいずれもゴールポストに嫌われ、最後の最後まで、ジェフはゴールを奪うことができなかった。
指揮官が振り返る。
「結果については公平なものではなかったと思います。負けに値するゲームではありませんでした。ただ、こういうゲームは今シーズン何度もありました。「運」と表現するのは正しくないかもしれませんが、こちらに傾いていない試合も多くあります。ポストに当たったボールが相手選手の元に転がってしまったり、逆に、ウチの場合はそれが相手に渡ってしまったり。そういう意味では、とても難しいことですが、それでも続けるしかありません」
残り8試合という“現実”を考えれば、厳しい状況と言わざるを得ない。それでも、ジェフの“姿勢”を崩すことなく1戦1戦を全力で戦う。