堅守・大分を崩せず4失点完敗。

ジェフにとっては今シーズン初の3連勝を懸け、わずかに残されたJ1昇格の可能性をつなぐために何としても勝たなければならないゲームだった。しかし、大分トリニータをホームに迎えた一戦は、4失点完敗。力の差を見せつけられたゲームだった。

スタメンは4-3-3の布陣。GKは大野哲煥。最終ラインは右からゲリア、近藤直也、エベルト、下平匠の4人。アンカーのポジションに熊谷アンドリューが入り、両脇に小島秀仁と矢田旭が位置。前線は右に町田也真人、左に船山貴之、中央に指宿洋史が並んだ。

試合はキックオフ直後から大きく動いた。

1分、GK大野が自らペナルティーエリア内にボールを運んでキャッチしようとしたが、一瞬の隙を逃さなかった大分のFW三平和司がスライディングタックルでボールに触り、そのまま自陣ゴールへ。まさかの失点で、ジェフは試合開始早々にビハインドを負った。

それでも、そのミスを取り返そうとするチームの気持ちはすぐに結果になって表れた。11分、相手守備陣の連係ミスを突いて粘り強くボールをつなぎ、最後は町田が左足を振り抜いた。GK高木駿の股間を抜けるシュートが相手ゴールに突き刺さり、理想的な時間帯に試合を振り出しに戻すことに成功した。

しかし、その後はもどかしい展開が続いた。

ジェフはボールを保持して攻勢を強めたが、5バック気味の陣形を敷く相手に対し、なかなか局面打開の糸口を見いだせない。最終ラインと中盤でパスをつなぎながら相手を揺さぶろうとしたが、ミスでボールを失うと相手の鋭いカウンターを受け、大きなピンチを迎える展開が続いた。迎えた16分、警戒しなければならないカウンターからFW藤本憲明の独走を許し、再びビハインドを負うことになった。

小島秀仁が振り返る。

「試合の立ち上がりにミスがあって、でもそれを全員でカバーできなかったということにチーム力のなさを感じています。やっぱり、1点取られると力を使うし、全員で前から行こうという焦りもありました。同点にできたのは良かったと思いますが、その後の失点も、もっと落ち着いていれば対応できたと思います。相手に先手を取られると後手に回ってしまうということを、改めて強く感じた試合でした」

その言葉のとおり、ジェフは取り返そうとする気持ちを前面に出してプレスを試みたが、組織としての連動性は見られず、逆に相手のシンプルなロングフィードからピンチを招いた。37分にはジェフの左サイドを突破され、グラウンダーのクロスを三平和司に押し込まれて3失点目。2点のビハインドで後半を迎える。

フアン エスナイデル監督はハーフタイムに動いた。指宿に代えて為田大貴を送り込み、船山を1トップ、為田を左とするフォーメーションに切り替える。さらに、63分には小島に代えてMF茶島雄介を投入。町田をインサイドハーフに下げ、茶島を3トップの右サイドに配置した。その狙いについて指揮官が言う。

「外からの崩しのスペシャリストである為田（大貴）を入れましたが、そこから崩し切ることはできませんでした。一方で、茶島（雄介）を入れた右サイドからはある程度の攻撃はできたと思います。相手もうまく守りましたし、球際のインテンシティも非常に高かった。そこで勝てなければ、試合に勝つのは難しいと思います」

80分にはまたしてもカウンターから失点。アディショナルタイムにラリベイのゴールで1点を返したが、力及ばず、ジェフは大分に完敗を喫した。

試合後、しばらくピッチに膝を落としていた熊谷は声を振り絞るようにして話した。

「目指しているサッカーが形にならない状況が続いているのは、やっぱり選手の責任なので不甲斐ない思いでいっぱいです。ただ、ここで下を向いても仕方がないので、みんなで切り替えて戦い続けるしかないと思います」

残り4試合。他会場の結果によってJ1昇格の可能性は消滅したが、下を向かず、全力で戦い続ける。