徳島ヴォルティスを迎えた第40節、ジェフは2つのゴールを奪って見事な完封勝利を記録した。
スタメンは4-3-3の布陣。GKは佐藤優也。最終ラインは右からゲリア、鳥海晃司、増嶋竜也、下平 匠の4人。アンカーのポジションに熊谷アンドリューが入り、その両脇に小島秀仁と矢田 旭が位置。前線の3トップは右に茶島雄介、左に町田也真人、中央に船山貴之が並んだ。
試合は立ち上がりから、両者がボールを激しく奪い合う展開となった。町田が振り返る。
「中盤でのファイトが素晴らしかったし、それがいい流れを生んでくれました。特に(熊谷)アンドリューが何度もボールを奪ってくれたので、優位に試合を進めることができました」
9分にはその町田が高い位置でボールを奪い、サポートに入った矢田にパス。クロスは相手DFに当たってCKとなったが、守備から攻撃への理想的な流れが先制ゴールを生む。その流れで獲得した船山のCKにニアサイドで合わせたのは、久々のスタメン出場となった増嶋。相手選手と競り合いながらも見事なヘディングシュートを放ち、ジェフに貴重な先制点をもたらした。
その後も両チームによるプレスの応酬は続いた。16分には徳島のMF表原玄太がミドルシュート。ジェフはその流れで生まれたCK、さらに19分にもピンチを招いたが、20分には船山が前線で身体を張ってCKを獲得。22分には熊谷のスルーパスから町田がシュートを放つなど押し返す。
前半は増嶋、鳥海、ゲリアがそれぞれイエローカードを受ける激しい展開となったが、ジェフは組織的なプレスからの速攻・遅攻をうまくチャンスにつなげて優位に立ち、充実の45分間を1点のリードで終えた。
迎えた後半、フアン エスナイデル監督は先手を打つ形でシステムを4-2-3-1に変更した。
「相手の中盤にいた8番の選手(岩尾 憲)、特に前半の最後のほうで相手のボール回しが機能していたのは彼の存在が大きかった。それに対して、旭に『ついてほしい』と伝えました。もちろんマンツーマンではなく、意識するという意味です」
徳島のリカルド ロドリゲス監督は、試合後、このシステム変更にうまく対応できなかったことを敗因のひとつに挙げている。
立ち上がりからジェフが攻勢を強めた。51分にはカウンターから船山がシュート。52分には立て続けにFKとCKを獲得し、その流れから茶島と町田がシュートを放った。さらに、56分には船山が決定的なチャンスを迎え、ヘディングシュート。惜しくもゴールを割ることはできなかったが、ジェフのチャンスはしばらく続いた。
守備陣の安定感も見事だった。増嶋が言う。
「今日は、みんながいい距離を保って、仲間をカバーし合うということを話していました。それが体現できて良かったと思うし、理想的な守り方ができたと思います」
徳島は次々に交代策を打ったが、ジェフは冷静に対応した。迎えた終盤の86分には、CKの流れから町田がクロス。ニアサイドに飛び込んだ増嶋が頭に当て、流れたボールを小島が押し込んだ。
指揮官が言う。
「コンプリートな試合だったと思います。いい試合でした。他の試合と比較しても、今日が一番“チーム”というものを見せられた試合だったと思います」
残り2試合。ひとつでも上の順位でシーズンを終えるために、大きな手応えを感じられた90分間だった。