栃木SCをフクアリに迎えたシーズン最終節は、“無念”のスコアレスドローに終わった。
スタメンは4-3-3の布陣。GKは佐藤優也。最終ラインは右からゲリア、増嶋竜也、エベルト、下平 匠の4人。アンカーのポジションに熊谷アンドリューが入り、その両脇に小島秀仁と矢田 旭が位置。3トップは右に町田也真人、左に為田大貴、中央に船山貴之が並んだ。
静かな立ち上がりとなった序盤、ジェフは5バック気味のシステムを採用する栃木の“穴”を探しながらパスをつないだ。8分には右サイドでFKを獲得し、増嶋がヘディングシュート。11分にはゲリアの攻撃参加からチャンスを作ったが、シュートには至らなかった。さらに21分にはサイドのスペースを広く使ってテンポのいい攻撃を仕掛け、27分には熊谷の縦パスからチャンスを作ったが、いずれもフィニッシュには持ち込めず。次第に膠着状態となり、ジェフにとってはボールの主導権を握りながらも攻めあぐねる時間が続いた。
しかし後半に突入すると、試合が徐々に動き始める。フアン エスナイデル監督は「中央からの攻撃を増やしたい」とシステムを4-2-3-1に変更。熊谷と小島をダブルボランチに、2列目の中央に矢田を配置し、中央に厚みをもたせて攻撃の変化を促した。
ところが、迎えた50分、一瞬の隙きを突かれて最終ラインの背後を取られると、懸命に戻ったエベルトのプレーがファウルの判定となりPKを献上する。しかし、ベテランFW大黒将志のシュートコースを読み切った佐藤優也が会心のビッグセーブで失点を回避。このシーンだけでなく、その後もビッグセーブを連発して無失点に貢献した佐藤優也に対し、指揮官は「全員が活躍したというより、(佐藤)優也が活躍した試合だった」と称えた。
60分に矢田に代えて指宿洋史、71分に町田に代えて工藤浩平を投入したジェフは、2人のキープ力を起点とする攻撃でいくつかのチャンスを作った。79分にピッチに入った乾 貴哉も果敢なドリブル突破で好機を演出したが、残念ながら最後までゴールは生まれず。2018シーズン最終戦は無念のスコアレスドローに終わり、今シーズン初の3連勝も実現しなかった。
この試合で「年間20得点」を目指していた船山は、それが達成できなかった悔しさをにじませながらこう話した。
「最後がこういう試合になってしまって残念です。みんなが「取らせたい」と言ってくれていたので、その気持ちが嬉しかった。今日は本当に相手に守られてしまったというゲームでしたけど、最後の2、3試合は内容も良かった。プレスもできるし、速攻も遅攻もできる。複数のオプションを持って戦えたので、こういうサッカーは来シーズンにつながると思います」
試合終了後、シーズン終了のセレモニーでマイクの前に立ったキャプテンの佐藤勇人は、サポーターへの感謝を述べ、こう続けた。
「来シーズン、自分たちの今の立場からどこを目指すのか、そこがすごく重要だと思います。やっぱりJ1を目指すべきだと思うし、目の前の1試合を勝たなきゃ難しい。始まる前から、上を目指すことをあきらめるわけにはいきません。だから、また、ここにいるみんなで戦ってJ1昇格という目標をみんなで勝ち取りましょう」
最終節のボール支配率は67パーセント。700本近いパスをつなぎながらシュートは8本にとどまり、ゴールを奪うことはできなかった。
この現状をいかにして打開し、勝利につなげるか。ジェフはこの挑戦を決して諦めることなく、覚悟を決めて次のシーズンに臨む。