手応えの感じられる90分だった。
スタメンは4-2-3-1の布陣。GKは佐藤優也。DFは右からゲリア、増嶋竜也、エベルト、下平匠の4人。ダブルボランチに熊谷アンドリューと矢田旭が並び、2列目は右サイドに堀米勇輝、トップ下に船山貴之、左サイドに茶島雄介が位置。1トップにアラン ピニェイロが入った。
熊谷は「ボールに足がつかなかった」と振り返ったが、確かに、立ち上がりの10分間は両チームともボールを落ち着かせられない時間が続いた。次第にリズムをつかみ、ボール主導権を握り始めたのはアウェイのジェフ。フィニッシュまでつなげることはできなかったものの、10分には最終ラインから中盤、サイド、逆サイドへと丁寧にパスをつないで相手をゆさぶり、徐々に相手を押し込んでチャンスをうかがった。
しかし16分、先制点は柏に生まれる。
縦に速いカウンター攻撃を受けると、ジェフの左サイドから右サイドへとボールを振られ、瀬川祐輔がペナルティーエリア外からミドルシュート。ジェフ守備陣の足に当たってコースが変わり、GK佐藤優也の脇をすり抜けてゴールに吸い込まれた。
試合後、増嶋はミスから招くカウンターを修正点に挙げた。
「カウンターからピンチを招いたシーンもあったので、そこを自分たちで調整すれば、もっと安定した試合運びができるんじゃないかなと思います。やっぱり、課題となるのは攻撃している時に起こるミスからのカウンターですよね。ウチのGKまで運ばれるシーンが何回かあったので、ああいう展開を減らさないと」
それでも、攻撃面ではたびたびいい展開からチャンスを作った。特に存在感が際立ったのは右サイドに位置した堀米だ。タッチライン際でボールを受けるとレフティーらしいボールの持ち方で中に切り込み、クロスとシュートを匂わせて相手に的を絞らせなかった。サイドバックのゲリア、前線の船山やアラン ピニェイロとの連係はまだまだだが、指揮官もその活躍を評価した。
「ホリ(堀米)のパフォーマンスについてはクラブに来た初日から満足しています。同じように続けてほしい」
同点ゴールはその堀米の左足から生まれた。19分、堀米のCKに強烈なヘディングシュートで合わせたのはエベルト。同点としたジェフはさらに勢いを強め、22分にはアラン ピニェイロがシュート、34分には茶島が持ち味のスピードを活かした突破などいくつかのチャンスを作って前半を折り返した。
後半に入ると、55分、ジェフは再び堀米のCKからゴールを奪う。見事なヘディングシュートでゴールを奪ったアラン ピニェイロは、58分には下平のスルーパスから決定的なシュートを放つなど、期待される得点源としての働きをきっちりと示した。一方、68分に投入されたクレーベもまた得意のポストプレーとスピードで限られた時間ながら存在感を示した。
その後、ジェフは80分に船山に代えて新井一耀を投入し、3バックに変更。同点ゴールを狙う柏に押し込まれる時間が続いたが、粘り強い守備で失点を回避して試合終盤を迎えた。しかし、迎えた87分にサイドから崩されて失点。試合はPK戦に突入した。
ジェフはクレーベ、新井、エベルト、佐藤勇人、為田大貴と5人連続で成功し、6人目の小島秀仁も成功。その直後、佐藤優也が柏のDF古賀太陽のキックを止め、実に3年ぶりとなるちばぎんカップでの勝利を手にした。
「今日は90分では引き分けだし、リーグ戦ではこういうゲームを勝ち切る力が必要になるので。この試合を「まだまだ」と捉えて1週間後の開幕を迎えたいし、スタートダッシュしたいと思います。アウェイの難しさはあるけれど、初戦をしっかり取りたい」
船山はそう意気込んだ。1週間後、いよいよ2019シーズンのJ2リーグが幕を開ける。